岡本太郎のレビュー一覧
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岡本太郎が米軍統治下の沖縄を訪れて書いた、名高いエッセイ集。そもそも沖縄にひかれたきっかけが料亭で見た琉球古典舞踊だったというだけあって(124頁)、とくに「踊る島」と題された章はダンス論としても秀逸。日本舞踊ともバレエとも異なる琉球舞踊の特徴を言葉で書き起こした部分は描写の見事さにゾクゾクしてしまう。
「情感がもり上り、せまる。そのみちひきのリズムの浮動の中に、私はとけ込んでしまう。目で見ている、観賞している、なんて意識はもうない。一体なのだ。しかし、にもかかわらず、踊り手はまるでこちらを意識していないかのようである。見る者ばかりではない。世界に、身体が踊ってるということの外には何もないとい -
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岡本太郎氏の発言を集めたイースト・プレス社発行の作品は、
本作の「壁を破る言葉」の他に
「強く生きる言葉」「愛する言葉」があるが、
この「壁を破る言葉」は、他の二作が万人に向けて
放っているメッセージであるのに比べて、
モノ作りをする人(クリエイター)を
ターゲットに絞ったメッセージを集めたものである。
しかし、そうでない人に対しても、
本作で発せられているメッセージは、
容赦なく心を掴み、叩きつけてくるだろう。
生きている人全てに、岡本太郎は
己の持つ何某かのエネルギーをぶつけてくる人なのだ。
ある意味「芸術は爆発の無差別攻撃」である。
その事からも、岡本太郎という人は、
「創る事が生 -
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「今日の芸術」岡本太郎著をやっと読み終わりました。
ただいま私の中に岡本太郎ブーム到来という感じです。
実はこの本、ちょっとショックなことに文庫版の再販を買えば500円前後らしいのに、廃刊と勘違いして、中古のしかも文庫版初版を入手。マニア的には価値がありかもですが倍の値段を出して買ってしまいました。でもまあそれを補えるほどの内容なので、良し。としましょう。
この本は1954年にはじめて出版され、その10年後1964年に新版、さらに9年後の1973年に文庫版が出ているのですが、文庫版の序文に岡本太郎氏自身が「この本は、十年、二十年と、ますます若返ってくるようです。」と書いているいう言葉通り -
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ネタバレ「ザ・岡本太郎」という感じで、今の自分に勇気と希望を残してくれる素晴らしい自己啓発本だと思います。旧装版の表紙の本人のにらみつけ方が怖いというのもありましたが、「力強く生きろ」と言われているような気がして、自分はこの写真は好きです。
力強いメッセージが多かったです。
「一度死んだ人間になれ」
「人生=芸術」
「爆発発想法」
「幸福」という言葉が大嫌い 代わりに「歓喜」という言葉を使う
「成功は失敗のもと」
「芸術はきれいであってはいけない。うまくあってはいけない。心地よくあってはいけない」
「美しいと綺麗は違う」
「芸術・政治・経済の三権分立」
そして、有名な「芸術は爆発だ -
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ネタバレ本書より抜粋
・人間にとって成功とはいったいなんだろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。
・たとえ食えなくても、本当の生き方の方向に進みたい、そう決意したいという情熱が自分を突き動かしてくる。
・恐れずに自分の内側を直視していいじゃないか。必ず心のどこかに満たされていないものがあふはずだ。
・いわゆる教育やしつけで教えたりできないものだけに、その人のセンスがひとりでに行なわしめるコケットリーが問題なのだ。
・世界中の子どもはみんな自分の息子だ、世界中の親はみんな自分の親だ、そういうおおらかな豊かな気持ちを持ちたいと思う。
・ほんとうに -
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夢を見ることは青春の特権だ
これは何も暦の上の年齢とは関係ない。十代でも、どうしようもない年寄りもいるし、七十、八十になってもハツラツとして夢を見つづけている若者もいる。
自分自身の生きるスジは誰にも渡してはならないんだ。この気持ちを貫くべきだと思う。
人生を真に貫こうとすれば、必ず、条件に挑まなければならない。命を賭けて運命と対決するのだ。そのとき、切実にぶつかるのは己自身だ。己が最大の味方であり、また敵なのである。
"いずれ"なんていうヤツに、ほんとうの将来はありっこないし、懐古趣味も無責任だ。
しかし、人間がいちばん辛い思いをしているのは、"現在&q -
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ネタバレ私は現代の功利主義や収入の多寡や学歴、読書においては年間どれだけ読んだかだけに執着するなどすべてを競う対象にしたりする風潮にひどく落胆していた。岡本はそんな社会に鋭いメスを入れ、どのように生きていくべきかを考えさせられる、人生のバイブルになりうる数多くの金言を自身のストーリーとともに語っている。我々は年を取るにつれて、日本社会特有の型にはめられ、がんじがらめにされ若き頃の純粋さや希望は消されてしまう。自分自身も時に自由奔放に遊ぶ子供たちを見て強い憧憬の念を持ちあの頃に戻りたいと思うほどだ。岡本はそんな若かりし頃のピュアな心をうちに秘め、そして自分に厳しく、社会や周りに屈しない強い芯を持ち続ける
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ネタバレパワー溢れる本だったと思う。
自分はあまり自己啓発系の本を読まないが、この本はほぼ岡本太郎の伝記であって、濃厚な太郎の生き様が込められていたと思う。
太郎の思想はとにかく強烈で、語彙の一つ一つはかなり強いものが使われている。しかし、その内容は思ったよりシンプルで溜飲が下がる。
私が一番イイなと思った考え方は「上手くやろうなんて考えてはいけない。下手なら下手なりに自分の歌を歌えばいい。」というもので、下手でも元気に本気で歌うほど、人間は情熱を持つことができるし、人間のエネルギーをむき出しにできるというものである。これは大分励みになった。
この本は、自信を無くしがちであったり、劣等感に苛まれて