岡本太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一人の人間としての、人生の芯、価値観、尊厳を自分の中だけに持ち、人生の結果を他責せず、周りがどうなろうとも強く生きるための格言が詰まっている。根性論かも知れないが、理屈ではない熱情的な確固たる意思がひしひしと伝わり、読みながら胸が熱くなった。
本書を読むと、自身の心の拠り所がいかに自分の外に依存しているかが分かる。家族、友人、会社、周囲からの評判や期待、等々。己の弱いところを全部ありのまま受け入れるのは正直辛い。岡本さんはそれを乗り越えたからこそ、自分の人生に賭け、結果にこだわらない挑戦を続けられたのだと思った。
特に好きだった言葉をいくつか抜粋する。
- 弱いのなら、弱いまま進めばいい -
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Posted by ブクログ
ほんとうにわからないものならば、気にするはずがない。そういう時はまったく無関心で、たとえ目に入っていても認識されない。わからないわからないと言いながら、気になり、ひっかかっている。酒飲みにとっては、灯ともしどころのバーの看板はいやに気になるし、女性は美しい衣装やアクセサリーを売っている店がパッと目に飛び込んでくるという。近代絵画がわからないわからないと言いながら気になるのは、すでにそこから何かを感じ取ってるから。言い換えれば、ある意味でもうわかっている。関心を持つのは、すでにこちらが共感し、受け入れるものがあらかじめそなわっているということであり、また疑問が成り立つためには、何らかの形でそれを
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Posted by ブクログ
誰もが当たり前のこととして見過ごしている世界に目を凝らし、瞬間瞬間に発見し、驚きを開いていく。これが芸術の役割。
おとなの中にこどもがいるし、こどもの中にもすでにおとなが目覚めている。身内以外のものは敵視する、排他的な心情のなかに、本当の愛があるとは思えない。
本当のことを言うとマズイ。日本人の中に生きている心理である。現実を突きつけられることに抵抗を感じ、むきつけな表現を嫌味ととる。そっとしておかなければならない約束事が、あまりにも多い。このムードのようなものをお互いにそっとしておくことで、大切な何かを流してしまうのである。
代用の生きがいにうつつをぬかして、自分をごまかしてしまうのは空しい -
Posted by ブクログ
ベルトコンベアーの上で誰もが踊っている、これが近代、英雄不在。しかし、問題はこの世界に何の爪痕も残せないという惰性的な虚しさを感じていることである。しかし、もし世界が変えられないなら、返ることの出来るものがある。それは自分自身である。自分というミクロ宇宙。こういう時に我々は自分自身を宇宙として、猛烈に彩られなければならない。たとえ自分自身がささやかでも生きる喜びは世界をおおう。そのためには、自分を、瞬間瞬間に分断し、切り捨てていくことだ。その切り口から彩りが生まれる。今日もし多くの人が誠実に、勇気をもって、そして平気で、己を変えていったのならば、絶望的と言われた世界の状況、非人間的なシステムも
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