『ゆうれい居酒屋』シリーズ第5弾!
山口恵衣子さんの作品を読んだのは、本書で13冊目となりました。
第4弾を読み終えてから3カ月、待ちに待った本書がようやく本屋さんの店頭に並んだので、早速買って来ました。
昨夜遅くに読み終えたのですが、抜群に面白かったですね!
いつもなら、1日に1話のペースで読み進めるのですが、ついつい1日に2,3話のペースとなり、2日で読んでしまいました。
(ちなみに、本書も第1弾~第4弾と同じように全5話で構成されています)
本書『ゆうれい居酒屋 枝豆とたずね人』は、シリーズ最高傑作かもしれません。
(その証が、シリーズ初の☆5です)
さて、本シリーズを含む山口さんの「食と酒」シリーズ(『食堂のおばちゃん』,『婚活食堂』)といえば、魅力的な主人公とレギュラー陣、更に各話に登場する人物の間で絶妙に繰り広げられる、笑いと涙ありの人生模様が描かれているのが大きな特長であり、読者をほっこりとさせるのが人気の源で、私が好きなのも「そこ」ですね。
付け加えるならば、共感できる人生訓が随所に散りばめられおり、それによって読みごたえが増していると言えるでしょう。
今回、本書の評価が☆5になったのも、以上の点が最上級に心地よく描かれており、また、収録されている5話全てが「傑作」と言えるほど面白かったことが理由です。
心に残った場面・文章をいくつか抜粋します。
第一話:星空の鰯
最上莉奈という画家を目指している若い女性が登場するのですが、
「働きながらなんとか創作は続けてるけど、本当に私の絵が世間に認められる日が来るのか、考えると心が折れそうになる。画家の卵は数えきれないほどいるのに、誰が私の絵に目を留めてくれるんだろうって」
という莉奈の声は、「画家を作家」に、「絵を本」に置き換えると、作家としてデビューする前の山口さんの声に聴こえてきました。
第二話:枝豆とたずね人
相良という若い夫婦が登場しますが、家柄の格差もあって、夫側の家からは反対されており、夫のためを想った妻が一芝居を打って自ら身を引きます。
自分のせいで、妻をひどく傷つけたと思っている夫に、秋穂が言うセリフ
「奥さんはあなたの愛と誠意に出会って、幸せでした。あなたに出会わない人生より、ずっと幸せでした。ただ、世の中は複雑で、気持ちだけではどうにもならないことがあります。奥さんはそれを分かっているからこそ、進んで身を引いたんです。・・・」
第四話:戻るカツオ
平哲二という直木賞作家が登場します。
哲二が小学生の頃に父親が急死してしまいますが、母が同僚の男(二人とも薬剤師)と共謀して毒をもったのが原因ではないかとずっと疑っていました。それ以来、母とは疎遠になっていましたが、秋穂の助言で、母と話をすることになり、母の潔白が証明されたところで、哲二と母のセリフ
「どうして再婚しなかったの?」
「だって、お父さんと暮らして、すごく幸せだったんだもの。他のだれと再婚しても、あれより幸せになれるはずないから」
第五話:カボチャの心
「私、ご飯・味噌汁・おかずの三点セットが日本食の基本だっていう話に、すごく共感しました。だから日本食は、世界中の料理を日本食に出来るんだって」
・・・
「おかずに位置に何でも入れられるってことです。トンカツもビフテキも鶏の唐揚げも豚の生姜焼きも餃子も焼売も、おかずにしちゃえば日本食だって仰ったんです。私、すごく腑に落ちました。だから日本はおかずがこんなにいっぱいあるのかって」
また、第一話と第五話には、『食堂のおばちゃん』シリーズの読者の方なら、頬が緩むこと間違いなしのサービスまで仕掛けられています。
流石、最高のエンターティナーである山口さんですね!
第6弾が本屋さんの店頭に並ぶ日(12月?)が、待ちきれません。