山田蘭のレビュー一覧
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前半部分はあまりにもたくさんの登場人物と何だかよくわからない断片的な資料の山がしんどく読み進めるのに時間がかかったが、後半に事が起こり推理パートに入るととても面白く、グイグイ引き込まれた。
推理パートは、優秀な弁護士見習いコンビが謎解き挑戦状の出し主である弁護士へ向けて、資料に基づいて導かれるいくつかの仮説とその論拠を提出するという形式で進んでいき、仮説に至るまでの途中式もわりかし丁寧に書いてくれるので、謎解き音痴の自分にとっても分かりやすく親切で良かった。これがあるので、前半部もあまり肩肘張らずスルスル読んでしまっていいかも。
ラストがヤバすぎて笑ってしまった。最高。 -
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ネタバレ“〈21世紀のアガサ・クリスティー〉・・だと・・?”
てな感じで、触れ込みに惹かれて手を出した本書。
イギリスのとある田舎町。地元の目有力者でアマチュア劇団も主宰するマーティン・ヘイワードから、彼の孫娘・ポピーが難病に罹ったことが告げられます。
高額な治療費を工面するために、劇団員たちが中心となって募金活動を開始しますが・・・。
いわゆる“地の文”がなく、関係者達がやりとりする、メールやメッセージ、チャットなどの“テキスト資料”のみで構成されています。
最初のうちは、多すぎる登場人物紹介のページを何度も見返しながら、“何を読まされているんだろう・・”と思っていましたが、ある程度関係性がつかめてくると、いつの間にか、やめられないとまらない“かっぱえびせんモード”でのめり込んでいました。
閉鎖的な町特有のヒエラルキーだったり、人によって言う事や態度が違うなど、メール等を読み込んでいくうちに、人間性や錯綜した利害関係が浮かび上がってくる様が見事で、こういうところが確かにクリスティー感あるかも、と思いました。
そうしてじわじわ不穏な雰囲気が続き、中盤を過ぎてからやっと(?)決定的な事件が起こるという展開です。
司法修習生による真相解明部分では、伏線確認の為に過去のメールを読み返しながら、一緒に謎解きをしている感覚も楽しかったです。
ただ犯人の意外性はそんなになかったかな。という印象です。
因みに、キャラではもうイッシーにつきる感じで、イッシーがイタい、ツラい・・そして、コワい!
ラストのメールには思わず戦慄しましたね・・・フェミ!逃げて!! -
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ホーソーン&ホロヴィッツのシリーズ第3作。
今作の舞台は英国領チャンネル諸島のオルダニー島。
一応二人の共作という形で落ち着いた著作『メインテーマは殺人』の
プロモーションの為、島で初開催される文芸フェスに招かれる。
フェスには一癖も二癖もある作家たちが集まり、島の空気はどこか不穏。
そんな中、フェスのスポンサーであるチャールズ・ル・メジュラーが
自宅の隠れ家で殺害された状態で発見される。
椅子に座らされ、両足と左手はテープで固定されていたが、
右手だけは自由という不思議かつ謎の体勢。
そして喉にはペーパーナイフが突き刺さっていた。
さっそく今回も著作のネタのために捜査に加わるホーソーンとホロヴィッツ。
今回はいわゆるクローズドミステリーの様相を醸し出す雰囲気。
閉鎖的な島社会と文芸フェスという舞台設定をとても上手く活かしていた。
毎度繰り広げられる、誰が嘘をついているのかというミステリーの決まり文句を
この舞台と設定を以て、とても緻密かつ巧妙に描いていた。
アンソニー・ホロヴィッツのここまでの多作っぷりに驚かされてばかりである。
チープではないトリックに複雑かつ重厚な動機。
これを毎年クオリティを下げることなく描く作者に脱帽である。 -
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まさかのカササギ殺人事件の続編。
あの傑作の続きが読めるなんて予想すらしていなかった。
元編集者のスーザンは前作『カササギ殺人事件』での壮絶な体験を経て、
今は恋人のアンドレアスの故郷、ギリシャのクレタ島で暮らしていた。
アンドレアスと共にホテルを経営していたのだが、その雲行きはだいぶ怪しい。
そんな彼女の元に、イギリスから裕福な夫妻訪れスーザンにある依頼をする。
彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた
──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵アティカス・ピュントシリーズの『愚行の代償』
それは、かつてスーザンが編集したミステリだった。
今回においては頭から物語の構造を明かしていくスタイル。
そりゃ続編なのだから当たり前なのだが。
とは言え、一冊で二度おいしいというスタイルは変わらず。
今作はよりアテュカス・ピュントが誕生するまでの裏側が堪能できる。
良くも悪くも、輝かしい物では決してないのだが。
下巻に向けて、良い塩梅で謎が深まっていく。 -
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カササギ殺人事件からの2冊目。
カササギはアガサ・クリスティへのオマージュと紹介に添えられていたけど、今回の作品はシャーロック・ホームズへのオマージュなのかな。
シャーロック役のホーソーンの慇懃無礼さ。ワトソン役ホロヴィッツの人の良さ。小説よりもむしろカンバーバッチさん主演のドラマSHERLOCKに近い感じ。
最初は白黒だったホーソーンがどんどん色彩豊かになり魅力を放っていく。
カササギの時は、小説家の書いたミステリの謎解きと同時に進行するリアルなミステリという構成。
今回は実在の人物、作者であるホロヴィッツが巻き込まれたリアル事件の取材という形で事件が進んでいく。
リアルとフィクションの境目が朧気になる不思議な演出。
ホーソーンの人間像も少しづつ明かされそうで、次作もまた読んでみたい。 -
購入済み
最近海外ドラマのノベライズ版なの?という感じ本をミステリーとして読まされガッカリするパターンが多かったので、ちゃんとした?ミステリー小説で本当に良かったです
でもこういうのを読むと、クリスティやドイルは凄いなーと改めて思いました
いつ読んでも面白いですもんね
このカササギ〜が同じランクにいられるかはまた別の話かなと上から目線で思いました -
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何故今になってガリバー旅行記を改めて読んでみようと思ったのか全く覚えていないのだが、絵本しか知らなかった私がそのイメージで気軽に挑んでいい本ではなかった。絵本の筋書きは本当になぞっただけで、全く子供向けではない。読み終えた今ではむしろ、なんでここだけ抜粋して絵本にした?という感じ。
旅行記と名のつくように、主人公があらゆる国(もちろん架空の国)を渡航した記録なのだが、国を巡っていくにつれて文章全体が厭世的になっていく。最初は旅行記らしく、その国の政治や風土、慣習など詳細に記しているものの、ページを捲るにつれて政治や科学への言及が多くなり、遂には人間の愚かさや醜さについての記述が対話文のまとめとして半数を占めるようになる。著者の人間嫌いや、当時の社会への批判・失望を諸々ぶちまけました!感がすごい。けれどただ闇雲に感情に任せて書き連ねたものでは勿論なく、ちゃんと物語として成立しているところが面白い。主人公の思想が段々と変化して、遂には自分の家族と触れ合えなくなるほど人間嫌いになってしまう過程は興味深いし、フウイヌムのヤフー(人間)に対する見解はこちらがハッとするほど鋭く容赦がない。読み終えてから改めて巻頭の手紙を読むと、なるほどこういうことかと納得できるようになっている仕掛けも面白かった。
ところでラピュタがガリバー旅行記に出てくるとは思わなかったので驚いたのだが、ここがきっと初出なんだろうな。日本もフレーバー程度に出てくる、ということは当時のヨーロッパ世界から見た日本はラピュタ並に得体が知れなくて空想的な国だったのかもしれない。