山田蘭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
安定の面白さ!
間違いないし、多分今後も間違わないシリーズ。
作中のホロヴィッツは若干頼りない奴に描かれているけれど、実際の作家としては実力充分の技巧派だ。
ただ、不謹慎ながら今回の被害者には全くもって100%同情の余地を感じなかった。
大概、冒頭から嫌なヤツって、話が進むにつれて『実は!』みたいに…異なった一面が見られるのが王道だったりするものが、コイツはただただ終始嫌な女のままだった。
一時期、『ワンピース』など人気の漫画を考察した攻略本的なモノが結構出回っていたが、何でも商売になるんだなぁと思うと同時に、他人様が心血注いで作った作品をはたが好き勝手言う事で自分の懐を潤そうなんざ、やってることは寄生虫と変わらないんじゃないかと思った。
本に限らず、今作のように舞台や音楽、絵画など、兎角表現を批評し、それを生業とする者達には、その内容を斟酌したり改竄する必要性は皆無だけれど、そのお陰様で飯が食えるのだと言う敬意はあって然るべきだとも思う。
何せ批判や揶揄なんて簡単で誰にでも出来る割に俯瞰で物を見ている様な神様的錯覚に陥りがちで、けれどもその実、自分は何も生み出してはいないのだから。
とまぁ、ここまで綴って考えたのは、
今これを記している自分も、これでお金を頂くでもなく、あくまで読書感想文ではあるものの、あんまり辛辣に書いていると、いつかナイフをひねられかねない…のでは? -
ネタバレ 購入済み
あ
面白かったです。ミステリーがふたつあって倍楽しめた気がします。始まりが不穏だったのでいろいろあったけど主人公の編集者さんがハッピーエンド?でよかったです。
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Posted by ブクログ
ネタバレなんとなく読み始めたら止まらなくなった
5時間で読み終わった。
アガサクリスティーの作品や、宮部みゆきの『理由』を読んだ時と同じ感覚で読み進めてとても面白かった。
舞台はイギリスの街でアマチュア劇団を主催する一家の孫娘ポピーが難病にかかったことから始まる。ポピーの病を治すために、一家が大規模な募金活動を始めることで、物語が動き出す。
メールや手紙の形をとってたくさんの登場人物の心理描写や状況が描かれていくのが面白い。誰が死ぬのか?中心人物は誰なのか?明かされないままどんどん話が進んでいく。
人が死ぬのがかなり後半になってからなのに、中弛みを感じる部分は少なかったのは途中に散りばめられた謎の人物からのイタズラメールや登場人物の裏の顔を知る第三者からの電話などが挟み込まれていたからかもしれない!
最後には、ネットを全く使わずこれまで他人のメールの中にしか出てこなかった劇団の看板女優ヘレンが代理ミュンヒハウゼン症候群であることが明かされた。話の流れとして納得はできるが、最後は急足で物語をたたんでいるようだった。ヘレンの過去やポピー自身の話をもっと読みたかった。
また、途中差し込まれていたティッシュ医師の弟の件は結局有罪で活動家と言いながら現地の助けを求めてきた女性や子どもを傷つけていたことが後半になってわかる。話のメインではないし、"人は言葉の裏に別の世界をもてる"ということを伝えるためのストーリーだったんだろう。個人的に、弟のダンがどうして酷いことに手を染めたのか?家族にはどう誤魔化していたのか?裁判はどのように行われたのか?をもっと読みたかった。
特に感情移入したのが劇団にも職場にも馴染めないイザベラ(イッシー)だった。彼女の秘密としてローレンという架空の友達に罪をなすりつけたり、話し相手としてメールを送っていたことが明らかになる。それはとても孤独なことで、彼女は被害者なばかりではなく相手にストーキングまがいのことをしたり嘘をつく面もある。弁護士がイッシーのことをサバイバーと言ったことが忘れられない。壁を乗り越える力をつけてきたサバイバーと、全てから逃げることで自分を改善せずに壁の抜け道を探して生きてきたサバイバーの違いは大きい。
集団に馴染めないことを解決するために話を聞いてくれる人に執着したり、頼まれてもいないことを周りに確認せずどんどん進めてさらに人が離れていく様子は見ていて辛い。最終的に彼女がスポットライトを浴びるために、また、その地域で権力をもつ一家に貸しをつくるために自白までするほど彼女は何者かになりたかったんだろうと思う。
保釈後のメールでは、次は自分を助けてくれた司法修習生に執着し始めている。
これは自分にも言えることだが、何においても不器用でやることなすこと批判されると、人が気まぐれに褒めてくれたことや優しくしてくれたことを自分の気持ちと関係なく人生の指針にしてしまう。それは自分が無いことでもある。イッシーはかつてどんな子供時代を送ったんだろう。彼女には他人に執着しない人生を送って欲しい。
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Posted by ブクログ
前半部分はあまりにもたくさんの登場人物と何だかよくわからない断片的な資料の山がしんどく読み進めるのに時間がかかったが、後半に事が起こり推理パートに入るととても面白く、グイグイ引き込まれた。
推理パートは、優秀な弁護士見習いコンビが謎解き挑戦状の出し主である弁護士へ向けて、資料に基づいて導かれるいくつかの仮説とその論拠を提出するという形式で進んでいき、仮説に至るまでの途中式もわりかし丁寧に書いてくれるので、謎解き音痴の自分にとっても分かりやすく親切で良かった。これがあるので、前半部もあまり肩肘張らずスルスル読んでしまっていいかも。
ラストがヤバすぎて笑ってしまった。最高。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ“〈21世紀のアガサ・クリスティー〉・・だと・・?”
てな感じで、触れ込みに惹かれて手を出した本書。
イギリスのとある田舎町。地元の目有力者でアマチュア劇団も主宰するマーティン・ヘイワードから、彼の孫娘・ポピーが難病に罹ったことが告げられます。
高額な治療費を工面するために、劇団員たちが中心となって募金活動を開始しますが・・・。
いわゆる“地の文”がなく、関係者達がやりとりする、メールやメッセージ、チャットなどの“テキスト資料”のみで構成されています。
最初のうちは、多すぎる登場人物紹介のページを何度も見返しながら、“何を読まされているんだろう・・”と思っていましたが、ある程度関係性がつかめてくると、いつの間にか、やめられないとまらない“かっぱえびせんモード”でのめり込んでいました。
閉鎖的な町特有のヒエラルキーだったり、人によって言う事や態度が違うなど、メール等を読み込んでいくうちに、人間性や錯綜した利害関係が浮かび上がってくる様が見事で、こういうところが確かにクリスティー感あるかも、と思いました。
そうしてじわじわ不穏な雰囲気が続き、中盤を過ぎてからやっと(?)決定的な事件が起こるという展開です。
司法修習生による真相解明部分では、伏線確認の為に過去のメールを読み返しながら、一緒に謎解きをしている感覚も楽しかったです。
ただ犯人の意外性はそんなになかったかな。という印象です。
因みに、キャラではもうイッシーにつきる感じで、イッシーがイタい、ツラい・・そして、コワい!
ラストのメールには思わず戦慄しましたね・・・フェミ!逃げて!! -
Posted by ブクログ
ホーソーン&ホロヴィッツのシリーズ第3作。
今作の舞台は英国領チャンネル諸島のオルダニー島。
一応二人の共作という形で落ち着いた著作『メインテーマは殺人』の
プロモーションの為、島で初開催される文芸フェスに招かれる。
フェスには一癖も二癖もある作家たちが集まり、島の空気はどこか不穏。
そんな中、フェスのスポンサーであるチャールズ・ル・メジュラーが
自宅の隠れ家で殺害された状態で発見される。
椅子に座らされ、両足と左手はテープで固定されていたが、
右手だけは自由という不思議かつ謎の体勢。
そして喉にはペーパーナイフが突き刺さっていた。
さっそく今回も著作のネタのために捜査に加わるホーソーンとホロヴィッツ。
今回はいわゆるクローズドミステリーの様相を醸し出す雰囲気。
閉鎖的な島社会と文芸フェスという舞台設定をとても上手く活かしていた。
毎度繰り広げられる、誰が嘘をついているのかというミステリーの決まり文句を
この舞台と設定を以て、とても緻密かつ巧妙に描いていた。
アンソニー・ホロヴィッツのここまでの多作っぷりに驚かされてばかりである。
チープではないトリックに複雑かつ重厚な動機。
これを毎年クオリティを下げることなく描く作者に脱帽である。 -
Posted by ブクログ
まさかのカササギ殺人事件の続編。
あの傑作の続きが読めるなんて予想すらしていなかった。
元編集者のスーザンは前作『カササギ殺人事件』での壮絶な体験を経て、
今は恋人のアンドレアスの故郷、ギリシャのクレタ島で暮らしていた。
アンドレアスと共にホテルを経営していたのだが、その雲行きはだいぶ怪しい。
そんな彼女の元に、イギリスから裕福な夫妻訪れスーザンにある依頼をする。
彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた
──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵アティカス・ピュントシリーズの『愚行の代償』
それは、かつてスーザンが編集したミステリだった。
今回においては頭から物語の構造を明かしていくスタイル。
そりゃ続編なのだから当たり前なのだが。
とは言え、一冊で二度おいしいというスタイルは変わらず。
今作はよりアテュカス・ピュントが誕生するまでの裏側が堪能できる。
良くも悪くも、輝かしい物では決してないのだが。
下巻に向けて、良い塩梅で謎が深まっていく。