山田蘭のレビュー一覧
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調子が良かったので前作から続けて読めた。
相変わらず語り手はほどほどに卑屈で適切に察しが悪くリアルに自分本位で人間味があるなぁ。覗き見をしてでも画像は消すとことか読者を引かせつつ見放すラインをぎりぎり超えないいい描写と思う。
本編は慣れもあり断片的な謎も「たぶんこういうことかな」という予測も立てられつつ裏切りや予想の外れも塩梅が良く心地よい。犯人当ては不可能、は言いすぎか。いくつかの知識が必要。
ホーソーンのことが少しずつわかってきて続きも気になるが、もう少し開示されてもいいかなぁという印象。語り手にも「明かしてやろう!」という気概があるわけでもなく、そのために懐柔する手練手管があるわけでもないことはもうわかってしまったので、ここから先も神の見えざる手による天啓のようなカタチで開示されていくことが予感されるので、次の作品をすぐ読むモチベはあまりないかな。でもとても快い体験ができるシリーズなので、読書から遠ざかりそうになったらまた読もう。 -
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ネタバレ下巻に入り、エリオット・クレイスの書く『ピュント最後の事件』が待ってましたとばかりに再開。
こっちの世界の登場人物とあっちの世界の登場人物の繋がり、共通点が次第に明らかになってくると共に2つの世界線が溶け合うようなある種の混乱が生まれる。
小説の中で現実世界の人物や出来事を模すというのは間々あるけれど、作中作の中で小説世界の人物達を模すというのがこのシリーズの特徴であり、ときに「あれどっちのことだっけ?」となり(特に今回はあっちに行ったりこっちに行ったりが多いので)、わけわからなくなるのだが、その感覚に酔わせてもらうことがこの作品の楽しさ。
舞台で起きている事件や筋自体はクラシックオマージュとばかりにありきたりで陳腐とさえ言ってしまって良い類のものなのだが、この枠組みの中ではそれが逆に良い。
そこが混み入り出したり、凝り始めたらやり過ぎ感が出るところ。
陳腐な筋をホロヴィッツの飄々としたユーモアのある語りが演出することで絶妙なバランスのリーダビリティと惹き込み、気安さを備えた読み心地となっていると感じる。
あらを探せば、スーザンととある人物の関係性の発展に「そんなことなるかね」と安易さ軽薄さも感じたりもしたし、スーザン側の悪意ある人物は「まぁそうだよね」ではあったけれど、全体としては満足。
途中で解説読んだのだけれど、″見事なアガサ・クリスティへのオマージュ″がどこなのか感じられたときの驚きと嬉しさもあって、改めてこのシリーズ、娘にお勧めしたいなーと思うのだけれどアラン・コンウェイの悪意の強さが引っかかるんだよなぁ。
シリーズ進むにつれてマイルドになってはいるような気はするものの。。
この入れ子構造のミステリは知って欲しいんだよなぁ。。
anthonyhorowitz.comを覗くとホーソーンシリーズの最新作『A Deadly Episode』が発刊されている模様。
順調に筆が進んでいるようで何より。
邦訳が楽しみ。
このミス2026年度版海外編第2位。 -
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■形式は『カササギ殺人事件』と同じ
「現実世界」と「作中作」が両方とも収録され、1作品で2回のフーダニットが楽しめる上、作中作が現実世界に関係する、という作りは前作と同じ。
ただ今作の方が前半部分が若干退屈な感じがあり、「あまり調査が進展しないな」という感を受ける。
■絶対解けない
「アラン・コンウェイの『愚行の代償』を読んだら8年前の殺人事件の真犯人がわかった」というセシリーが翌日失踪。
この謎自体はワクワクするものの、実際解けるかといったら絶対無理だな、と思った。
というのも、英語で読まないとわかるわけない(英語で読んだとしても無理だと思うが)だろ系のため。
また、ミスリードが大量発生し、核となる部分は非常にわかりづらく描写され、登場人物が全員何かしら隠していたり不確定情報しか言わなかったりするので、ガチで解こうとするより内容を忘れない程度に読むと疲れず楽しめそう。
なお、謎解きについて一部納得できないというか「そりゃないだろ」という点があった。
■『愚行の代償』の方が好き
古典が好きな自分としては、「現実世界」よりも「作中作『愚行の代償』」の方が好き。
ポアロのような名探偵が登場し、現代技術は登場せず、小さな村での出来事であり、全体像がスッキリしており、下ネタがない、という点から。
■下ネタ?多し
これまで読んだアンソニー・ホロヴィッツ作品は、どれも「同性愛」に関する描写が多いように感じる。
それ自体は別に良いが、今作は特に下ネタ描写が多い気がして、そこが苦手ポイントではあった。 -
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わりと短い期間で読み終えたのは面白かったからか、ミステリというフォーマットのおかげか。解説によれば情報の開示のうまさもあるらしい。
前の2作よりフラットに読めた感じはしてて、とりあえずこれはオビに書いてあるような犯人当てミステリではないと思う。普通に無理じゃない?それ以外の可能性を否定できなくない?そうでもないのかな。どちらにせよ物語として面白いのは間違いないと思います!
あと語り手のアンソニーはこんなだったっけ?自分の信条と相容れないことを頭ごなしに否定して聞こうともしなかったり、ホーソーンの発言の意図をビビるほど捉えられてなかったり、人物評が的を射てなかったり。そりゃホーソーンも答えに困るよ。たぶん描写されないけど憐れみの目で見られてるよ。それをやなやつだな!と憤慨するのはなんだかうーん、、人間味はあるけどね。この語りがしんどい瞬間はけっこうあったかな。作劇の都合?ここから信頼関係を築けるのか!?的な要素の追加?次回作の前フリ?次の話も買っているから読んで確かめよう。
ホーソーンはかっこいいな〜。影がある感じでいいね。推理ロボットみたいなこと言われちゃってかわいい。ホーソーンのことを知りたいというのもシリーズを読み進める理由である。 -
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偶然などというものは存在しないのだ。
人生の全ての出来事には決まった様式があり、その様式が人間の目に止まった一瞬を偶然と呼ぶに過ぎない。(ちょっと細部の文章違うかもしれませんが)
目に見えているものだけが全てでは無い。
そんな主人公の考えが、彼の織り成す推理に繋がっていくところが素晴らしく痛快だなと感じました!
まさかの主人公が余命宣告済みのおじいちゃんとは……!という驚きもありますが
上巻の時点で、ある程度の謎は残されてはいるものの、結構謎が解明されたと思ったのに、ここからまだ続くの!?というか続けられるの!?!?とドキドキ!
下巻を読むのも楽しみです! -
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ネタバレスーザン・ライランドもの第三弾。
もはやお馴染みとなった、まんま作中作をぶち込んでくる入れ子構造ミステリ。
『カササギ殺人事件』では度肝を抜かれたこの形式も、3作目ともなると勿体ぶる意味もないとばかりに開始50ページにも満たないところからその世界に突入。
そして一旦スーザン視点に戻ってきてこれまたお馴染み作中作とこちらの世界の相似点を浮かび上がらせていく展開。
作中作のあの人物はこちらの世界のあの人物に違いない、となると作中作での事件はこちらの世界での出来事も暗示している?作中作の事件の顛末もまだわからない状態で双方の話の行く末に目が離せない。
上巻の締めくくりは作中作の続きへの呼び水で終わる。
一息入れる間も惜しく、誰しもすぐさま下巻へGOとなることでしょう。
個人的にはホーソーンものの方が好きだけど、それでもこの出版ペースでのこの安定感は驚異的。
今回はアラン・コンウェイのパスティーシュをエリオット・クレイス(『カササギ殺人事件』に出ていた?忘れている。。)が手掛けるがという話。
パスティーシュと言えばホロヴィッツ自身も多数手掛けていて、何なら作中めちゃくちゃ言及している007ものすら書いている中での皮肉、メタ感の織り込みがにくいわざ。
クラシックなスタイルの中に現代風味を混ぜ込み、かつ毎回ちょっとずつ新たな試み、おかしみを取り入れるという姿勢には尊敬の念しかない。
「アナグラム解けるかピ」、今更だけど原文ではどうなっているんだろう?anagramの単語だけで7文字なんだけど。byとかatとかなのかな。とすると日本語訳を工夫したってことかな。軽く受けたので気になるところ。
このミス2026年度版海外編第2位。 -
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事件解決一歩手前に明かされた、過去に関する真相がとても苦しかった。
あの状況になったら、もしかしたら私も、あのようにしか動けないのではと思ってしまう。『できることなんて何もなかったんです』そうとしか考えられないのではと。
でもそもそも、分別があれば。良識があれば。何か考えられるような頭があれば。
あたりまえの、愛情があれば。
あんな事態にはならなかったのだから。
と、自戒。
そしてこの真相がつらすぎたため、真犯人の独白の方は終始、生温かい目で読んでしまった。
情報の出し方がとても公平で、それでいて読み物として面白くて、謎解きもすっきり。
上手いんだなあ…! と思う。
ホームズの『三人ガリデブ』を思い出させる部分で思わず笑ってしまった。
ドーパミンが溢れ出てしまうのも仕方ない。あれは。
『おたくらを気の毒にさえ思いそうになりますよ。まあ、実のところ、そうは思いませんがね』
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ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第5作。
今回は、ホーソーンとホロヴィッツが出会う前の事件を、ホーソーン自身の記録と記憶をもとに、ホロヴィッツが小説として描いていく構成となっている。
そのため当然ながら、ホーソーンは最初から犯人を知っている。
犯人をあらかじめ明かしたうえで謎解きを進めるパターンかと思いきや、そう単純ではない展開が続く。
ホロヴィッツが事件そのものに登場しない分、これまでのシリーズにあったドタバタ感はないが、その代わりに当時のパートナーである元警官ジョン・ダドリーが、ホーソーンを堅実に支え全体を締めている。
ラストも印象的で、「こういう終わり方もあるのか」と静かな余韻に浸らせてくれる。
シリーズの中でも、ホーソーンの内面が最も色濃くにじみ出た一作だと感じた。 -
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ネタバレ自分の葬儀を手配したその日に、資産家の老婦人が自宅で絞殺されるという衝撃の事件から始まるミステリーです。
元刑事のホーソーンと、作者本人であるアンソニー・ホロヴィッツが凸凹コンビを組んで真相を探ります。
この小説の最大の魅力は、作者自身が語り手として登場するメタ構造。取材から執筆までの過程が物語に織り込まれていて、「これ本当にあった話?」と錯覚するくらいリアリティがあります。
ホーソーンは頭が切れて観察力抜群だけど、とにかく冷たくて偏屈。
情報をほとんど明かさない彼に振り回されるホロヴィッツの姿がコミカルで、まるで現代版ホームズとワトソンのような掛け合いが軽快に物語を盛り上げてくれます。
誰が犯人かを推理する王道の展開で、伏線が丁寧に張られ、推理しながら読めるのが楽しいです。
ただ、英語圏の文化が絡む謎は少しハードルが高くて、私には完全に解けませんでした。。。
それでも解決の鮮やかさと意外性は十分に面白かった。
本格ミステリ好きにおすすめの一冊。 -
Posted by ブクログ
今やすっかり大家となった感のあるホロヴィッツ。出す作品出す作品評判がいいみたいなので期待して読み始めた。期待に違わず面白かった。
典型的なハウダニットものだが見事に作者の術中にハマり騙された。地名や街路名が本物なのでgoogle earthでストリートビューしながら楽しめたのも雰囲気が味わえて良かった。
本作はホーソンと作者自身がワトソン役で活躍(迷走?)する第一作とのこと。二人のチグハグぶりと、ホーソンの偏屈な上に人をコケにするそっけなさ(意識して演じてる?)、ホロヴィッツのいい意味で常識的で、お決まりのワトソン役がマッチして名コンビとなっている。シリーズ化されているので今後の展開が楽しみだ。
一点、事件のすべての始まりとなる交通事故の顛末が悲しすぎる。 -
Posted by ブクログ
編集者スーザン・ライランドが、名探偵〈アティカス・ピュント〉シリーズを巡る謎に翻弄されるシリーズの第三弾(すでに紛らわしい)。前作『ヨルガオ殺人事件』で幸せを掴んだかと思われたスーザンだったが、作者ホロヴィッツはそんな結末を彼女に与えてはくれなかった。
恋人アンドレアスとうまくいかず、クレタ島を引き払ってロンドンへ戻ったスーザンのもとへ、ある依頼が舞い込む。作者アラン・コンウェイの死によって完結したあの〈アティカス・ピュント〉シリーズの新作を担当しないかというのだ。しかも、なぜかほぼ新人の若手作家エリオット・クレイスが書くことが決定しており、版権も押さえてあるという。どことなく不安を覚えるスーザンだったが、なし崩し的に新作のプロットの素読みをさせられて…。
本シリーズ最大の特徴である作中作が今回も読ませる。最大の要注意人物アラン・コンウェイがすでに故人の設定であり、ノンシリーズなのかと思っていたら、なんと三作目まで来てしまった。恐るべし、ホロヴィッツ。