山田蘭のレビュー一覧
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髄芽腫を患った二歳の少女の治療費を集めるため、募金活動を始めたヘイワード一家。彼らが主宰する劇団の人たちや友人たちも大々的に協力し、順調にいくかに思えた募金活動だが、そこにつけこむ怪しい輩が現れたり、協力する人たちの中でも意見の食い違いが出たりして、不協和音が目立ち始める。そして、やがて起こる事件。その謎を膨大な量のメールやテキストから読み解くミステリです。
まず、すべてがメールやテキストといった情報の断片からできているところが大きな特徴。もちろんそこには各人の主観が大きく関わっているため、事態を正確に把握するのはなかなかに困難です。誰も彼も思わせぶりなことばかり匂わせてるし。嘘つきばっかりだ -
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ネタバレ現代版クリスティーとの触れ込み。
解説は攻略本の霜月さん、訳者はホロヴィッツ担当の山田蘭さんなので、出版社としてそれなりの気合いの入れよう。
そして「このミス2023」では3位、「本格ミステリベスト10」では1位を獲得。
とある町の市井を実質的に牛耳り、アマチュア劇団を主宰する一族の長マーチン。
孫娘のポピーが難病と診断されたことにより未認可薬品を投与するための義援金プロジェクトが始まる。
アフリカ帰りのサムはきな臭さをかぎとり、個人的な忠告や調査をするのだが、どうにも探られて欲しくない事情がありそうな。。。
いや、確かにすごい一冊。
一部SNSでの相互やり取りがあるが、ほとんどがメールや -
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ホーソーン&ホロヴィッツのシリーズ第3作。
今作の舞台は英国領チャンネル諸島のオルダニー島。
一応二人の共作という形で落ち着いた著作『メインテーマは殺人』の
プロモーションの為、島で初開催される文芸フェスに招かれる。
フェスには一癖も二癖もある作家たちが集まり、島の空気はどこか不穏。
そんな中、フェスのスポンサーであるチャールズ・ル・メジュラーが
自宅の隠れ家で殺害された状態で発見される。
椅子に座らされ、両足と左手はテープで固定されていたが、
右手だけは自由という不思議かつ謎の体勢。
そして喉にはペーパーナイフが突き刺さっていた。
さっそく今回も著作のネタのために捜査に加わるホーソーンとホ -
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まさかのカササギ殺人事件の続編。
あの傑作の続きが読めるなんて予想すらしていなかった。
元編集者のスーザンは前作『カササギ殺人事件』での壮絶な体験を経て、
今は恋人のアンドレアスの故郷、ギリシャのクレタ島で暮らしていた。
アンドレアスと共にホテルを経営していたのだが、その雲行きはだいぶ怪しい。
そんな彼女の元に、イギリスから裕福な夫妻訪れスーザンにある依頼をする。
彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた
──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵アティカス・ピュントシリーズの『愚行の代償』
それは、かつてスーザンが編集したミステリだった。 -
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ネタバレある老婦人が、自分の葬儀の手配をした日に殺害される。自分の葬儀の手配をした日に、たまたま殺害されるなんて偶然があり得るのか。この老婦人の死の真相は何か。この謎に、元刑事で、警察の相談役という立場の「名探偵」ダニエル・ホーソーンが挑む。著者のアンソニー・ホロヴィッツは、イギリスを代表する作家で、テレビ番組の脚本も手掛けている彼が、ホーソーンのワトソン役という形でこの殺人事件に関わる。「メインテーマは殺人」の特徴は、ユーモアとフェアプレイ精神、そしてメタ的な手法の3点だろう。犯人の意外性もあるのだが、ミステリを読み慣れていると想定内に感じる程度。とはいえ、非常に丁寧に描かれた作品であり、この丁寧
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購入済み
最近海外ドラマのノベライズ版なの?という感じ本をミステリーとして読まされガッカリするパターンが多かったので、ちゃんとした?ミステリー小説で本当に良かったです
でもこういうのを読むと、クリスティやドイルは凄いなーと改めて思いました
いつ読んでも面白いですもんね
このカササギ〜が同じランクにいられるかはまた別の話かなと上から目線で思いました -
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何故今になってガリバー旅行記を改めて読んでみようと思ったのか全く覚えていないのだが、絵本しか知らなかった私がそのイメージで気軽に挑んでいい本ではなかった。絵本の筋書きは本当になぞっただけで、全く子供向けではない。読み終えた今ではむしろ、なんでここだけ抜粋して絵本にした?という感じ。
旅行記と名のつくように、主人公があらゆる国(もちろん架空の国)を渡航した記録なのだが、国を巡っていくにつれて文章全体が厭世的になっていく。最初は旅行記らしく、その国の政治や風土、慣習など詳細に記しているものの、ページを捲るにつれて政治や科学への言及が多くなり、遂には人間の愚かさや醜さについての記述が対話文のまとめと -
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ネタバレ〇 総合評価 ★★★★☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★★★☆
〇 インパクト ★★★☆☆
〇 キャラクター★★★★☆
〇 読後感 ★★★☆☆
〇 希少価値 ★☆☆☆☆
作中作『カササギ殺人事件』は、1950年代半ばのイギリスの田舎町を舞台とした本格ミステリ。アガサ・クリスティへのオマージュを感じさせる作風であり、登場人物の多くが何らかの「秘密」を隠し持っているために、真相が隠されるという構成。作中作だけを見ると、ややサプライズ感は薄いが、丁寧に作られた良作。ロバートが14年前に弟であるトムを殺害した事件がベースとなる。メアリが事故死をしたが、彼女が死亡したことで -
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厭世主義的諧謔と人間への嫌悪に満ちたジョナサン・スウィフトによる空想旅行記。全四話で構成されているが、第一話のリリパット(小人の国)と第二話のブロブディンナグ(巨人の国)以外は広く知られていない。現在では児童文学と見なされることが多いが、原書ーー特に第四話のフウイヌム旅行記ーーではモキュメンタリー形式の辛辣な文体で、人間社会における政治・法律・科学・風習・堕落・欺瞞・男女・権力闘争にまつわる悪徳が告発されている。他国の者達との対話の中で登場の英国社会に蔓延する病を浮き彫りにしながら、次の章では何事もなかったかのようにガリヴァーに愛国心を語らせるのも滑稽だ。第三話に登場する過去の偉人達にまつわ