池永陽さんの作品を読んだのは、本書『下町やぶさか診療所』が初めてです。
いつも立ち寄る本屋さんの文庫コーナーで手に取った一冊で、裏面のあらすじ
虐待、認知症、癌など、診療所に持ち込まれる病気や患者の問題に、真摯に向き合う医師と型破りな女子高生が織りなす切なくて温かい下町物語。
に惹かれ、そのまま手に持ってレジに向かいました。
さて、本書は東京浅草の診療所を舞台に、主人公である医師・真野麟太郎をはじめ、心に大きな傷を負って診療所を訪れ、同居人となる元ヤンキーの(アイドル並みに可愛い)女子高生・麻世、麟太郎の息子で(麻世に惚れる)大学病院の医師・潤一、診療所のすぐ隣の店「田園」のオーナーで麟太郎のマドンナ的存在・夏希など、登場人物が非常に魅力的なところがいいですね。
また、7章で構成されている、それぞれの物語も読みごたえがありました。
とりわけ、第2章「二人三脚」は、認知症を患った妻を一人で介護している年老いた夫の老々介護を題材とした作品で、最終的に哀しい結末を迎えることにはなりますが、そのなかでも夫婦の愛を見事に描き出している、ミステリー的要素もありの「傑作」だと思いました。
と、本書は非常に面白い作品であるのは間違いないのですが(現時点で第4弾まで出版されているのがその証拠ですね)、評価は☆3となりました。
その原因を一言で言えば、(第2章を除いて)各章の終わり方がちょっと私には合わなかったということです。
うまく説明するのは難しいのですが、尻切れトンボ感を拭えなかったとでも言いましょうか。
ラストはもう少し丁寧に描いてほしいな、という気持ちで読み終えていたのはとても残念でした。
好みの問題であり、仕方ありませんね。
最後に少しケチをつけるような事を書きましたが、物語として非常に楽しめましたし、麻世がどのように立ち直るのか、潤一の想いは成就するのか等が気になりますので、シリーズ第2弾も読むことになりそうです。