池永陽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前にドラマでこの話を見たことがあった。この原作の雰囲気を壊さない、いい出来栄えだったなと原作を読み終えて思った。
刑務所を出所した前科者が生きていくことは、日本社会ではなかなか難しい。さらに殺人犯ともなれば、周囲からの風当たりもいっそう強い。『珈琲屋』のマスター宗田行介はそんな現実を隠したり、逃げたりすることなく、出所後も自分の罪を背負いながら生きているのだなと感じた。
そんなマスターだからこそ、話せることがあり、相談できることがある。自分の中の隠したい、どろどろした気持ちをここでなら話せるかもしれない、そして答えをもらえるのかもしれないと思うのだろう。
7つの話があるが、どの話も読みやすく入 -
Posted by ブクログ
『珈琲屋』の店主・宗田行介(そうだ こうすけ)は、義憤に駆られて人を殺め、服役していたことがある。
彼の「人を殺した手」を見に来る物好きな人々は決まって、屈折したものを抱えているのである。
人間は弱い生き物で、そこいらじゅうに罪の誘惑が転がっている気がする。
警察のお世話になるような大きなものから、自分の心の中に沈むだけの小さなものまで。
罪を抱えたままでは、何を手に入れても幸せにはなれないのだ。
どこで行動に線を引くか、どこで怒りを収めるか・・・
自分で決められないから珈琲屋を訪れるのだろうか?
重厚な作りのレトロな喫茶店。
高い窓から注ぐ光、十字架を背負った店主。
その前で懺悔する人々 -
Posted by ブクログ
池永陽『珈琲屋の人々 どん底の女神』双葉文庫。
シリーズ第4弾。殺人事件を犯して服役した過去を持つ喫茶店の主人・宗田行介とかつての恋人・冬子の恋の行方を軸に様々な人間模様を描く連作短編集。
未だに自分を許すことの出来ない行介、河川敷に犬と暮らす男、パパ活に走る女子高生、コンビニで働く訳ありの女性、母親と二人暮らしのニート、夫への仕返しで不倫に走る妻、癌であることを告げられた浮気な男、医学部を目指して勉強中という闇を抱えた若い女性……様々な人びとが悩みながら幸せを夢見る……
『ひとり』『女子高生の顔』『どん底の女神』『甘える男』『妻の報復』『最終家族』『ふたり』の7編を収録。
本体価格6 -
Posted by ブクログ
賑わってるけど乾いた場所。コンビニ。
オーナーは珈琲店を開きたかったが、妻の希望でコンビニを始める。しかし、その矢先、子供が轢き逃げに遭い他界。間も無くして、まるで後を追うように妻も交通事故で鬼籍に入る。
生きる意味を見失い、なりやげな経営のコンビニに人々は集う。七篇の物語。
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