池永陽のレビュー一覧
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池永陽『下町やぶさか診療所 いのちの約束』集英社文庫。
シリーズ第2弾。東京の浅草にある診療所を舞台にした下町人情物語。
本作に描かれる様々な人びとが抱える問題や事情は、全てがハッピーエンドで終わる訳ではなく、各々が精一杯のことをやり尽くした結果だと思えば各々が納得出来る最良の結果なのだろう。今回も難しいテーマを丁寧に描いており、最後まで読ませてくれる。
浅草の診療所の大先生こと真野麟太郎が自殺未遂を起こした男勝りな美貌の女子高生・麻世を引き取り、一緒に暮らし始めて数ヶ月。母親の愛人に傷付けられてから頑なに心を閉ざし、ひたすら武術に没頭し、生来持つ才能を開花させる麻世。診療所に訪れる患者 -
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暴力事件を起こし、田舎の学校に赴任した教師の物語。
暴力事件は教育に真摯に取り組んでた中で起こった事ではあるが、行き過ぎ感は否めない。
ただ、それで腑抜けになってしまったのか、ぐうたら教師と呼ばれることを何とも思わないように。
教師による暴力、行き過ぎた指導、モンスター・ペアレント、などよく耳にするようになり久しい。
が、子供がという視点はないかも。
簡単に情報が入手できるようになり、頭の回転も速い子供たちは、ずる賢く立ち回れるのかもしれない。
でも善悪を判断するにはまだまだ経験が足りないので、容易に悪い方に足を引っ張られる可能性がある。
でもその先に広がる無限の未来を考えて、真摯に向き合 -
Posted by ブクログ
様々な家族の形をテーマにした短編集。8編を収録。
『父の遺言』。不覚にもラストで涙。父と娘の確執の果てには…
『いやな鏡』。年老いた父親が宝くじで一千万円を当てたことから、家族に不協和音が…
『若い愛人』。瓢箪から駒のような物語。
『紅の記憶』。認知症の母親を巡る、少しサスペンスフルな物語。
『不鈴』。二転三転する展開にハラハラする不倫を描いた物語。怖い…
『十年愛』。若者の純愛と大人の女性の優しさの行方は…
『薄いカツレツ』。サスペンスフルな二転三転の物語。結末に驚いた。
『バツイチ』。バツイチの若い母親が恋に落ち、小学生の息子が邪魔になり… -
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池永陽『下町やぶさか診療所 モナリザの微笑み』集英社文庫。
シリーズ第5弾。7章で構成される連作短編形式の小説。
今回も下町の人びとの様々な思いが交錯する人情物語。ストーリーの根幹を成すのは元ヤンキーの武闘派美少女高校生の麻世。麻世は迷いながらも自らの進むべき道を見出す。
今の時代は近所のつながりが希薄になり、孤立している人達がたくさん居る。東日本大震災の時は、街を行き交う人びとがお互いに温かい挨拶を交わしていたことを思い出す。皆が不安な気持ちを抱えていたので、無意識に人とのつながりを求めていたのだろう。
東京浅草にある真野浅草診療所の真野麟太郎は、ご近所から大先生と慕われる医師であ