池永陽のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【本の内容】
頭の上に猿がいる。
話しかければクーと鳴き、からかえば一人前に怒りもする。
お前はいったい何者だ―。
近所の仲間と茶飲み話をするだけの平凡な老後をおくっていた作次。
だが、突然あらわれた猿との奇妙な「共同生活」がはじまる。
きっかけは、同居する嫁にほのかな恋情を抱いたことだった…。
老いのやるせなさ、そして生の哀しみと可笑しさを描く、第11回小説すばる新人賞受賞作品。
[ 目次 ]
[ POP ]
年をとったらこんなジイサンになりたいと思う(私はなれないが・・・)。
きっとバアサンではこうはいかないだろう。
妻に先立たれ、同居する息子の嫁にほのかな恋心を抱く69歳の主人公。
老境にさしかかり、不安や孤独、怒りなど様々なストレスを感じつつ、ボヤきつつの毎日を送っている。
ジイサンはじめ登場する人々、みんな哀しく切なく滑稽で愛おしい。
そんな中、ジイサンが恋に悩む近所の明ちゃんにかける言葉、「誰だっていやらしいんだ。・・・人間なんてみんな似たようなもんなんだ。やっかいなもんなんだ。」は単なる慰めというより、諦めも含んだ人間肯定の優しさなのだ。
主人公の頭の上に、ある日突然現れた幻想の猿は一体何者なのだろう?
人生の喜怒哀楽をくぐり抜けた後で生まれた自分の分身か、飄々としてすべてを見通す高次の存在か、それとも守護霊?
平凡だけど味のある、やっぱりこんなジイサンになりたいなあ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
人間生きていれば必ず老いる!体臭もあるし排泄物もある!しかし自分が老いたときの心境なんて全く想像つかない。祖父は物心つく前に亡くなり、祖母も一緒の暮らしたことがく、今まで身近に老人がいたことがないうちは、等身大の老人を知らない。いくら老いても男なわけで、息子のヨメを女と見てしまい、ゴムを買ってはみたがもう自分の一物は勃つことはなく伸びきったまま。頭の上に猿が見えるのも、痴呆の始まりなのかと不安になる。気をつけていることは尿意を感じたらすぐトイレ。失禁をしないこと・・。一緒に住む女の匂いに敏感になっている様子や、自分の臭いを気にする様子など、まさに生きている老人の姿が書かれている。作次さんは、明ちゃんが描く絵の赤色の違いで悩み事があるのかと気づいたり、京子さんの悩み事にも優しい気遣いをする。自分が建てた家なのに息子に二階に上がるなと言われれば素直に従ってしまったり、台所にあるものも気を遣って好きに使えない。そんな作次さんが哀しくて滑稽で愛おしい。
-
Posted by ブクログ
妻に先立たれたジイサンが主人公で、新婚のヒトリムスコ(こいつは優しくない)とそのヨメ(こっちはなかなか骨のあるヨメサン)との3人暮らしをしています。家族とジイサン仲間とのつきあいというこじんまりとした日々のお話、なのですが、ジイサンはある日自分の頭の上におサルがちょこんと座っているのに気づきます。そもそも自分の頭の上が見えるわけも無いし、ましてやおサルなんかが乗るわけがない、頭がおかしくなったのではないか、と不安になりながらも、居るものは居るんだしなぁと、割とすんなりおサルの存在を受け入れてしまい、ときには「サルよ、お前どこから来た。やっぱりサルの国か。」などと話しかけたりしてヨメに「このところ独り言が多いですよ」と言われたりします。少し哀しいような寂しいような、独特の雰囲気のある話でした。