池永陽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
池永陽『指を切る女』講談社文庫。
短編集。『骨のにおい』『真夜中の紙芝居』『悲しい食卓』『指を切る女』の4編を収録。
『骨のにおい』。思い切りが良くて男に依存しがちな女と思い切れない男のスレ違い。主人公の節子の旦那の不倫によるゴタゴタに振り回される伊原が情けなく見える。
『真夜中の紙芝居』。これもまた不倫の話。世の中にはそんなにも不倫に走る男女がいるのだろうか。
『悲しい食卓』。この作品が一番しっくりきた。不倫も描かれるが、夫婦関係、旦那の実母と嫁との関係がリアル。身勝手な男たちの姿は反面教師となる。
『指を切る女』。表題作。泥々した女の情念を描いた迫力のある作品だが、好みではない。