池永陽のレビュー一覧
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池永陽『下町やぶさか診療所 モナリザの微笑み』集英社文庫。
シリーズ第5弾。7章で構成される連作短編形式の小説。
今回も下町の人びとの様々な思いが交錯する人情物語。ストーリーの根幹を成すのは元ヤンキーの武闘派美少女高校生の麻世。麻世は迷いながらも自らの進むべき道を見出す。
今の時代は近所のつながりが希薄になり、孤立している人達がたくさん居る。東日本大震災の時は、街を行き交う人びとがお互いに温かい挨拶を交わしていたことを思い出す。皆が不安な気持ちを抱えていたので、無意識に人とのつながりを求めていたのだろう。
東京浅草にある真野浅草診療所の真野麟太郎は、ご近所から大先生と慕われる医師であり、訳あり武闘派女子高生の麻世を預かっていた。そんな麻世は何やら悩み事を抱えている様子で、麟太郎はそれを気に掛けていた。
看護師の知子の姑である久枝が、故郷での散骨を遺言して病死する。麟太郎たち診療所の面々は、島根への珍道中で久枝の壮絶な過去を知る。
島根での散骨を終え、浅草に戻った後、麻世は麟太郎に抱えていた悩みを打ち明ける。
本体価格840円
★★★★ -
Posted by ブクログ
この本は前巻の時に続きないの?と言ったあの本の続きでございます。
他の本に寄り道した後ちゃんと戻って参りました!!わーい
でもなぁ一筋縄じゃいかねってぇのがこの本なんだよなぁ。
もう少しのほほんほんわかでもいいじゃあねぇかと思うんだが、それじゃあこの本は面白くなくなっちまうんだよなぁ。
とここまでエセべらんめぇ口調でやってはみたものの、難しいなこれ。
ともあれ、麻世ちゃん私もずっと見守ってるからね。
看護師さんも向いてると思うけどなぁ。
あ、看護師さんで思い出した。
私が看護師さんに向いてない理由。
注射だけじゃなかった。
具合悪い人見るとほっとけないの。
え?いいじゃんって?
問題はそのあとでね。
精神的負担がものすごく大きくて、具合の悪い人目撃したり助けたりするとそのあとストレスで調子が悪くなる。
だからダメですね。向いてないですね。 -
Posted by ブクログ
池永陽『下町やぶさか診療所 傷だらけのオヤジ』集英社文庫。
シリーズ第4弾となる東京の浅草にある診療所の医師・真野麟太郎を主人公にした人情物語。
いつの頃からか日本は殺伐とした世の中になり、誰もが自分のことに精一杯で他人など構う余裕もゆとりも無くなってしまったかのようだ。『人情』などという言葉は死語になりつつあるのだ。
そんな『人情』の温かさと有り難さが伝わる物語が連作短編形式で展開していく。登場人物に誰一人として悪い人間は居ない。こういう物語のような世の中になって欲しいものだ。
東京の下町、浅草に診療所を構える真野麟太郎は大先生と呼ばれ、下町の住人に慕われていた。
麟太郎の元で看護師を務める湯浅知子は、幼い頃に北海道で親に捨てられた挙げ句に親戚の家を盥回しにされ、逃げ出した東京で同棲していた半グレグループの男に刺された壮絶な過去を持っていた。大学病院で知子の診療にあたったのが麟太郎の息子の潤一で、潤一に頼まれた麟太郎が知子を引き取り、看護学校に通わせたのだ。
その知子がある日、結婚を前提に付き合っているという介護士の下谷元也という男性を連れて来た。知子の幸せに喜ぶ麟太郎だったが、何故か元也の母親が突然、2人の結婚に猛反対する。
果たして……
本体価格900円
★★★★ -
Posted by ブクログ
総武線沿いのちっぽけな商店街にある珈琲屋を舞台に、いろいろな事情を抱えた人達の人間模様が描かれている小説。読み終えた後に美味しい熱い珈琲が飲みたくなる。主人公の珈琲屋の行介にとっては服役しただけでは殺人という罪が償えるものではないと思って自分の犯した過去にあまりにも縛られ過ぎているというか背負いすぎているというか。それだけ自分の犯した罪に真摯に向き合っているということなんだろうが、前に進んでいってほしいと思う。幼馴染みの冬子との静かな大人の愛がすてき。サイフォン式のアルコールランプの橙色の炎を見ていると確かに心が落ち着く。サイフォン式で珈琲を淹れてくれるお店に行ってみたくなった。