あらすじ
避けがたい理由で人を殺してしまった喫茶店『珈琲屋』の主人・行介と、かつて行介の恋人だった冬子。ふたりの恋の行方を軸に、『珈琲屋』のある商店街に暮らす人々の苦しみや喜びを描いて人気を集めるシリーズ最新作。まさに〝人間ドラマ〟と呼べる7つの物語がつながる連作短編集。
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2年間なんだね、しかも4冊って、どれだけ人殺しの行介に会いに人が来たのか。みんな心に闇を持ってどうしてら良いのか解決策がなくて、常に同じ態度で接する行介は浩然の気を養うだよ。悩みが無くなると珈琲の熱さと美味しいものと身に染みる。なんだか行介の自分なんだよという気持ちが珈琲に伝わったのかな。話の途中で鬱が深くなり罪は嫌いだと言った回は終わり方が切ないです、もっと続く思うたら終わりって。最後に米倉さんの犬のリクが戻ってくるのが最高だった。大岡さばきの様にみんな丸くなった。まだまだ続く珈琲屋の人々は待ち遠しい
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行介は冬子の気持ちが痛いほどわかる。罪を犯した行介は冬子の心の思いに答えることができず、いつかは氷が溶けるように成ると良い。そして行介のいった「何かを得ると言う事は、何かを失う。逆に何かを失うと言う事は何かを得ること」と言った言葉が自分の心にいつまでも残って居る、島木と冬子は亮介にとって大切な2人である、友たくさんいらない。少なくてもいいから、心から話し合え信頼する友は居た方がいい。
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人殺しの男が営業する珈琲屋での店主、行介と幼なじみの冬子と島木を中心に展開する連絡短編。
先の4作同様ストーリーにいつもの筋書きである、行き詰まった人が人を殺した男がの店に興味を示して来店する、「あついですから」と差し出す旨い珈琲、そして店主に事情を明かす流れが自分にはとても心地よい。その先は読者に想像させる結末があるのもかえって印象的でアリだと思う。長く続いてほしいシリーズの一つです。
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人生に疲れた人たちが、何かを求めて殺人犯である店主の顔を見にやってくる珈琲屋。
そこで得られる答えは、決して安直なハッピーエンドではないけれど、寄り添ってくれる人がいれば何とか生きてゆけるという厳しくも優しい物語。
久しぶりにこのシリーズを読んでみたけど、やっぱり読後感はじんわりくる。
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前にドラマでこの話を見たことがあった。この原作の雰囲気を壊さない、いい出来栄えだったなと原作を読み終えて思った。
刑務所を出所した前科者が生きていくことは、日本社会ではなかなか難しい。さらに殺人犯ともなれば、周囲からの風当たりもいっそう強い。『珈琲屋』のマスター宗田行介はそんな現実を隠したり、逃げたりすることなく、出所後も自分の罪を背負いながら生きているのだなと感じた。
そんなマスターだからこそ、話せることがあり、相談できることがある。自分の中の隠したい、どろどろした気持ちをここでなら話せるかもしれない、そして答えをもらえるのかもしれないと思うのだろう。
7つの話があるが、どの話も読みやすく入り込みやすい。印象に残ったのは『妻の報復』。林田君がかわいそうだった。
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商店街の一角に、宗田行介が経営する喫茶店があった。行介は殺人を罪で刑務所の服役した経験をもつ。八年の刑期を終えて温かく迎えてくれたのは、幼馴染で洋服店をやっている
島木と蕎麦屋の冬子だけだった。
歯を食いしばって生きている人々に、一杯の熱い珈琲が何をもたらすのか?
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池永陽「どん底の女神」、珈琲屋の人々シリーズ№4だと思いますw。2021.1発行。連作7話。第1話「ひとり」と第7話「ふたり」、河川敷で暮らす米倉とイル(犬)、イルが大雨で川に流され、3ヶ月後ボロボロの姿で帰って来たのに大拍手ですw。第6話「最終家族」もいい話でした。普通の家族、普通ということの有難さ、古稀を過ぎてわかりかけてきました(^-^) タイトルの「どん底の女神」は、その先がどうなるのか、気にかかったままで終わりました。(めっ、ですw)
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『珈琲屋』の店主・宗田行介(そうだ こうすけ)は、義憤に駆られて人を殺め、服役していたことがある。
彼の「人を殺した手」を見に来る物好きな人々は決まって、屈折したものを抱えているのである。
人間は弱い生き物で、そこいらじゅうに罪の誘惑が転がっている気がする。
警察のお世話になるような大きなものから、自分の心の中に沈むだけの小さなものまで。
罪を抱えたままでは、何を手に入れても幸せにはなれないのだ。
どこで行動に線を引くか、どこで怒りを収めるか・・・
自分で決められないから珈琲屋を訪れるのだろうか?
重厚な作りのレトロな喫茶店。
高い窓から注ぐ光、十字架を背負った店主。
その前で懺悔する人々・・・
なんだか『珈琲屋』は教会のようで、行介のストイックな佇まいは、僧侶を思い起こさせる。
『ひとり』
犬だけが家族だった。
河川敷に暮らす老人の凄まじい孤独。
『女子高生の顔』
女の人生は顔で決まるのか。
良くても不幸、悪くても不幸。
それでも彼女は整形したい。
『どん底の女神』
やりきれない。
この世の不幸を全部肩代わりしてしまったかのような、ついてない人生の男。この後、どうなってしまったのか・・・
『甘える男』
明るいニートを続けるカッコつけの息子のために、母は歯を食いしばる。
『妻の報復』
本人たちはめでたしめでたしかもしれないが、浮気の道具に使われた男の子の気持ちはどうなるのか?という疑問が残る。
『最終家族』
仕事ばかりで家族を顧みなかった編集者が癌になる。
不仲だった妻の反応とは。
長年、妻の代わりに心の支えを務めてきたおでん屋の女将の決断が立派。
男はどこまでも甘ったれで自分本位、と思ってしまう。
『ふたり』
この本一冊を通してのヒロイン(?)黒木舞がしてきたことと、やっと出した答え。
米倉と犬の絆。
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主人公・宗田行介の幼馴染で、刑務所から出所してきた時にも、昔と変わらぬ態度で接してくれた、島木と冬子だが・・・
すみません、島木がうっとうしい。
今でもこういう人種はいるのか?
ちょっと綺麗な女性を見ると、たちまち目の色を変えて、歯の浮くようなセリフを恥ずかしげもなく並べ立てる。
昭和のプレイボーイ(死語)それも、バブル夜明け前の。
現代では、島木の行動と発言は、セクハラのイエローカード、それも限りなく赤に近い。
でも、島木がいなかったら、この物語はもっとずっしりと、暗く重くなってしまうのだろう。
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シリーズ五作目。
終わったのかと思っていたら続いていて嬉しかったです。
ずっとこのままなのかと思われる2人の関係でしたが少し胸の内をさらけ出すかのような発言がありそうで思わず心の中でキャーと叫びました。…邪魔が入りましたが。
短編ですが、中にはその後の展開はどうなるのと思わせて終わるものもありモヤモヤ。
Posted by ブクログ
池永陽『珈琲屋の人々 どん底の女神』双葉文庫。
シリーズ第4弾。殺人事件を犯して服役した過去を持つ喫茶店の主人・宗田行介とかつての恋人・冬子の恋の行方を軸に様々な人間模様を描く連作短編集。
未だに自分を許すことの出来ない行介、河川敷に犬と暮らす男、パパ活に走る女子高生、コンビニで働く訳ありの女性、母親と二人暮らしのニート、夫への仕返しで不倫に走る妻、癌であることを告げられた浮気な男、医学部を目指して勉強中という闇を抱えた若い女性……様々な人びとが悩みながら幸せを夢見る……
『ひとり』『女子高生の顔』『どん底の女神』『甘える男』『妻の報復』『最終家族』『ふたり』の7編を収録。
本体価格690円
★★★★