【感想・ネタバレ】いちまい酒場のレビュー

あらすじ


累計25万部『珈琲屋の人々』シリーズ著者が描く、
酒場“人情”小説。

串揚げか味噌おでん、漬物、酒。
千円「いちまいセット」と、人々の物語に。
あなたの心が温まる。

ひとときの安らぎを求めて、酒場『いっぱい』に、
今宵も客がふらりとやってくる。

西武新宿駅に近い裏通り。酒場『いっぱい』には、店主室井諒三自慢の「いちまいセット」――千円でビールか焼酎、串揚げ四本か味噌おでん、漬物の小鉢がつく――と、ひとときの安らぎを求めて今夜もふらりと客がやってくる。
しみじみ心温まる人間ドラマに定評のある著者が描く酒場人情小説。
〈文庫オリジナル〉

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Posted by ブクログ

池永陽『いちまい酒場』講談社文庫。

連作短編形式の酒場人情小説。設定や大筋は『珈琲屋の人々』シリーズに似ている。

最後の最後に驚愕した。これだけ結末に驚愕したのは何年振りだろうか。個人的にはこの結末のまま完結してしまった方が、室井諒三の一本気な性格に適うものだと思うのだが。

西武新宿駅に近い裏通りに佇む酒場『いっぱい』は、千円札1枚で串揚げ4本または味噌おでん5つと漬物、ビールか焼酎が付く『いちまいセット』を売りにしていた。店主の室井諒三は時に鬼の目で良からぬ輩を追い払い、店の客の相談に乗るなどするが、何かしらの過去を抱えているようだ。

『味噌の味』。女性に比べると男性の方が幼く、女々しい生き物なのかも知れない。いざという時には女性の方が肝が座るのだ。会社でリストラになり、妻と離婚して独り身になった村橋豊が偶然再会した同級生の理代子と身体の関係になり、半ば脅迫しつつ結婚を迫る。店の常連の理代子から相談を受けた店主の諒三は……

『エアギターの嘘』。やはり女性に比べて男性の方が頼りないのは時代の流れなのだろうか。少子化が進むのは経済的な原因だけではないのかも知れない。八王子に小さな洋風居酒屋を開店しようとしている里美と年下の悠也。悠也はエアギターの世界大会出場を夢見て、里美のヒモのような生活を送っていたのだが……

『不似合いな恋』。男は幾つになっても純情だ。女子高生売春とは時代なのか。悲しい気持ちになってしまう。離婚して69歳で独り身の沼田正造は高校2年生の森下潤子が良からぬ輩に絡まれていたのを助けたことを切っ掛けに潤子に恋心を抱く。しかし、潤子にさらなる不運が見舞い……

『おやごころ』。今度は薬物。時代を反映しているとは言え、かなり深刻なテーマだ。『いっぱい』の常連でタクシー運転手の磯村は死んだ娘への想いから、マンガ家志望の樋口知子に50万円を騙し取られる。そんな知子に偶然再会した磯村は知子がクスリに手を出していることを知る。

『姥桜が咲いた』。自身の身をわきまえず、相手の気持ちさえも考えずに恋をする男性の愚かさよ。夫の介護に明け暮れ、たまの息抜きに『いっぱい』で『いちまいセット』のおでんを楽しみにする静枝に長友が執拗に結婚を迫る。

『しあわせごっこ』。本当の幸せは手を伸ばせば、すぐ近くにあるのに何故か人びとは気付かないのだ。いつも仲良く2人で『いっぱい』を訪れる平太と皆子の似合いのカップル。ある日、平太が独りで『いっぱい』を訪れ、皆子が謎の置き手紙を残して、失踪したと話す。

『トラック女子の困惑』。いよいよ諒三の過去が少し明らかになる。『いっぱい』の常連の超距離トラックの運転手、美咲は柔道の黒帯で上背があり、立派な体格をしていた。男性と付き合ったことの無い美咲を見初めたのは……

『幻の右ストレート』。続きがあるのか、無いのか。どちらとも取れる驚愕の結末。まさかこれまでの展開はこの結末だけのための前振りだったのだろうか。諒三の過去を知った理代子は諒三に恋心を抱きながら、なかなか『いっぱい』に顔を出せなくなっていた。久し振りに『いっぱい』を訪れた理代子に常連のヤクザの新藤が諒三の過去を語る。しかし、それが悲劇の引き金になろうとは……

本体価格900円
★★★★★

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

出だしにアレッ、途中持ち直してラストにアレッアレッと やぶさか好きな自分にはしっくりこないというか好きじゃないです、じんわりがないので。昭和の色濃く出る表現は上手いと思う。あと今どきの若者=息子とかよく観察してるなと→心がないよね 自分も聞いたら引っかかって一つも受け付けない んで泊まらず帰るとか なんだかなぁ。 いちまいの題名と展開と分かりやすくて ブレずにさすが

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2024年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どの章も少し物足りない感じだった。
内容は居酒屋に来る人たちを中心に色々な人達の人生ドラマを描いている物語。
章ごとに居酒屋に来る人達は変わって話は進んでいくがやっぱりもう一歩踏み込んだ内容が知りたかった。特に「不似合いな恋」の話は正直一番知りたいその後が全く書かれてなくて読み終わってもモヤモヤした気持ちが残った。
まぁ居酒屋という舞台を背景に考えたらそこまで深く関わる事がないのかもしれないが、もう一歩その後の後日談見たいのがあればすごくいい小説だったと思う。

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2025年04月30日

Posted by ブクログ

わけありの男が1人でやっている小さな居酒屋に来る客が、色々問題を起こす所から展開していく、連作短編集。
あとは想像にまかせます的な感じで終わっていくので、少し物足りなさを感じた。特に最後は、どうなったのかわからず終わりイラついた。

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2024年08月06日

Posted by ブクログ

「いちまい」は千円札1枚のこと。味噌ダレが自慢の酒場“いっぱい”では、その1枚で串揚げ4本か味噌おでんの皿にビールか焼酎が付いてくる。 店主は強面ながらイケメン。傷痕のせいか、“侠飯”シリーズの柳刃を思い出しながら読みました。

穏やかに進む連作短編を想像していたら、穏やかどころか、出来事がかなり生々しい。ストーカー、詐欺、覚醒剤などなど。そしてこんな酒場の常連客はそれなりに歳を食っている人ゆえ、私の苦手な「オッサンあるいはオバハンの妄想」的な話も多いんです。そういう私もオバハンなだけに、現実を見せられているようで、余計に(笑)。

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2024年07月09日

Posted by ブクログ

村井諒三の店、安らぎを求めて来る客1枚セット。こんな店が近くにあるといいな。少し過去がわかってきた。昔ボクサーだった。事故で1人試合中に死んだ。その後姿隠す。ボクサーを辞めて現在に至っている、2人の幸せはいつ?

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2024年06月28日

Posted by ブクログ

池永さん名前は存じてますが初読みです。
タイトルからしてのほほ~んとした居酒屋のお話かと思いきや訳アリと思わせる店主とそこに来る癖のあるお客たちのストーカーまがいの話へと流れていったのでリアルすぎて怖かった。結局店主ってどんな人だったの??

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2024年06月22日

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