あらすじ
愛人宅で頓死した夫の遺骨を買い取れと迫られる女。夫がただ1つ望むおふくろの味を再現できない妻。息子の指が動かないのは、体が疼くあまり自分で指を切り落とした姿を見られたせいだと信じる母。むき出しの情念が燃えるとき人は刹那に生きる。切なくてかなしくて、いとおしい女と男を鮮烈に描く傑作集。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
池永陽 著「指を切る女」、2003.12刊行、2006.12文庫化。あやしげな世界の中で展開する男と女、女と男の哀しく切ない物語。骨のにおい、真夜中の紙芝居、哀しい食卓、指を切る女の短編4話。哀しみを抱いた女性たちの思いがひしひしと伝わってきます。「指を切る女」では、なぜか、映画「STATION 駅」での北海道増毛駅前の居酒屋での高倉健と倍賞千恵子のシーンが重なりました。
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池永陽『指を切る女』講談社文庫。
短編集。『骨のにおい』『真夜中の紙芝居』『悲しい食卓』『指を切る女』の4編を収録。
『骨のにおい』。思い切りが良くて男に依存しがちな女と思い切れない男のスレ違い。主人公の節子の旦那の不倫によるゴタゴタに振り回される伊原が情けなく見える。
『真夜中の紙芝居』。これもまた不倫の話。世の中にはそんなにも不倫に走る男女がいるのだろうか。
『悲しい食卓』。この作品が一番しっくりきた。不倫も描かれるが、夫婦関係、旦那の実母と嫁との関係がリアル。身勝手な男たちの姿は反面教師となる。
『指を切る女』。表題作。泥々した女の情念を描いた迫力のある作品だが、好みではない。
Posted by ブクログ
みんな何だかホンキでトチ狂っていて,すげー冷たくて暗いんだけど,そーいうのって誰しも持ち合わせてるよね?ね?って擦り寄ってくる雰囲気が全編とおして迫ってくるかんじ。