隈研吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世界に誇る日本の建築界第四世代の旗手・隈研吾が、直近の大作「歌舞伎座」に取り組んだ際の苦労や、20世紀の建築界の潮流と21世紀の建築の目指すべき方向について、自伝的に語った、聞き書きによる作品である。2013年に出版され、2015年に文庫化された。
著者は、建築に関わる人類史を大きく変えたのは、1755年に発生し5~6万人もの死者を出したといわれるリスボン大地震で、こうした災害から人類を守るために「対災害システム」としての「文明」が大きく発達し、その中核を担ってきたのが「建築」であるという。即ち、中世において人の命や人生を規定していた「神」に代って、「科学」という新しい知恵を用いて強い建築を作 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルの通り、現在の都市、都市開発について論じた本。
納得感のある話がたくさんあった。
<メモ>
・都市の巨大化は資金獲得の手法を激変させ、資金調達のテクノロジーが飛躍的に発展した。複数の主体から調達しなければならなくなった。一人のクライアントが建築家のデザインを評価して設計を依頼するという古典的関係性は過去のものとなった。顔の見えない複数の投資家から集金するために必要とされるのは、創造性の芸術家ではなく、すでにブランドとしてエスタブリッシュされた建築家。投資家は芸術品に対しては投資しないが、ブランドに対してならば割高でも安心して投資する。都市のイメージを決定するほどに重要な大プロジェクトで -
Posted by ブクログ
だまされて家というゴミを買わされている。
住宅の大きさが人を不幸にする。
その不幸はリーマンショックに繋がりアメリカ文明の限界を示した。
ばっさりと評する部分が印象に残ります。
自然に依存する弱さが生物の本質であり、自分ひとりで扱える大きさが面白い。
建築的道具ならフスマとか障子とか移動式の畳とか。
臓器より細胞単位、というものの見方。
薄っぺらな表面に貼り付けるだけの意匠は大嫌いで、構造と意匠が一体化していて、構成している単位が小さい方が良いとか。
原宿にあるパイナップルケーキ屋さんの建築の意匠兼構造はこの様な考え方がありそうですね。
木の構造アイデアの大元は飛騨職人の千鳥が発祥だっ -
Posted by ブクログ
どの場所に対してもカンペキな建築というのは、そもそもムリ。だからと言って諦めるのではなくて施主とデベロッパーがアイデアを出しながら納得できるものを建てることは可能。しかし今の分業制の建築方法では、責任の所在がどこにあるのか不透明で誰が何を求めた建築物なのかがよくわからない。
(隈)津波から命を守る建築物といったら「地下」シェルター。土地の上の建物で地震にも津波からも逃れられるカンペキなものを求めるから問題が難しくなる。
だったら「だましだまし」の思想で、とりあえず津波から命を守るために「地下」に逃げ込める設備を作る。津波の表面は波の力が強いけれども、下はわりと弱い。
・ユートピア主義→どん -
Posted by ブクログ
「バカの壁」の養老孟司氏と建築家隈健吾氏の対談集です。
普通のおっさん的風貌の隈氏にはいつも親近感を感じますが、建築家ですので当然建築や都市計画への思考は深く、そこに養老氏の思考と絡まれば、単なる住まいや住み方のテーマから一気に飛躍しそうでなかなかしない感じがとても読みやすかったです。
隈氏の建築家としての個性があまり出てこないのは養老氏の懐の深さだと感じました。
大規模建築を独り歩きさせず、人目線から建築を見つめ直す視点は、その前提として、人間的な思考を繰り返してこそ得られるものだと感じました。
あまり専門的になり過ぎず、難しい言葉も少ないので一気読みできました。 -
Posted by ブクログ
今…誰しも東日本大震災と無縁ではいられない。
本書は、次のように語りはじめられる…
―建築をゼロから考え直してみようと思った。
きっかけは東日本大震災である。あらためて歴史を振り返ると、
今まで気がつかなかった、重要なことに気がついた。
大きな災害が建築の世界を転換させてきたという事実である。
これまでの災害と建築の変遷を整理し、本書の目的をこう云う…
―自分という弱くて小さな存在を、世界という途方もなく
大きいものにしなやかにつなぐ方法を探す。
つまり、これまで大型、強固、集中の一途をたどった建築を
人の身体にとって適した、小さな単位として見直してゆく…
その具体的な方策が、 -
Posted by ブクログ
建築家・隈研吾さんとジャーナリスト・清野由美さんが、TOKYOに残る個性的な街を歩いて、新たにできつつある”ムラ”について論じている。ムラとして登場するのは、下北沢、高円寺、秋葉原、そして小布施。
個性的な街が生まれたのは、歴史的経緯と周辺地域とのバランス、あるいはそこに街を形成するようなキーパーソンが存在していたから。現代の都市再開発はそのような個性や独自性をなるべく見出さない形で、経済効果や効率性を突き詰めてつくられているので面白くないのは当たり前です。
それでもムラというコミュニティが根強く存在しているのは、日本人の精神性にフィットした粘着質な考え方が根強いからであり、宗教観や社会論