隈研吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
清野由美が隈研吾から聞き取り、書かれた本なので、
話し言葉がメインになっているので、わかりやすい。
隈研吾の本音がよく出ていて、面白い。
確かに、隈研吾は、世界を駆け巡っている。
建築家としての世界的にブランドが確立されている。
日本人の建築家のブランド力はすごいが、常に現場に行き
ナマに話し合うという姿勢を崩していないのは重要だね。
「コンクリートに頼ってできた、重くて、エバった感じの建築が大嫌いだ」
「エラい建築家が作った、エライ建築」ということをはっきり言う。
現在では、隈研吾が エライ建築家になっているのだが。
弱い日本に生まれざるを得なかったがゆえに、悩みや迷いがある。
結局は、建築 -
Posted by ブクログ
東京の都市論。街をどう見るのか?
隈研吾と清野由美が対談し、歩きながら感じたままを話す。
こうやって都市を見るかと、面白い視点が与えられた気がした。もっと、都市には、物語が埋め込まれていると思った。
汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田。
都会に立つ高層ビルは、オフィイスビルが多い。
汐留のダメダメ感は、なんとなくわかるものがある。
統一性やコンセプトがなさすぎると思う。
それは、ある意味では、機能的で、味気ない空間と言える。
とりわけ、東京駅から丸の内の界隈は、息が詰まりそうな空間である。ビジネスの戦場という殺伐感があるかなのか。
街並みに感じる「風情」を削ぎ落としたというか、喪失した空 -
Posted by ブクログ
好きな建築家は?と聞かれたら間違いなくあげる一人。
新国立競技場でさらに有名になった隈研吾さんの建築家人生を振り返りながら、原点を知ることのできる一冊です。
なんであんなに「木」にこだわるのか?という最大の謎も「なるほど!」という確かな納得感を得ることができました。笑
ちなみに環八沿いにある「東京メモリードホール(M2)」については一切触れていなかったなあ。。。(Googleで「隈研吾 環八」と検索したら、隈研吾建築事務所のホームページには実績としては掲載されていました。)
どこかのインタビューか本に、あの物件は自分の実績として抹消したいと言っていたような記憶がしていたので、あえて触れ -
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建築に全く疎いのですが、新国立競技場をデザインした人ということで、手にとってみる。
建築家、走る。
この題名が、本文を読むと、競走馬としての建築家、実際の土地と物を見に世界中をタフに泥くさく走り回る著者をうまく表せているなと思った。
バブル崩壊後の日本での建築需要が減り、建築家もなかなか世知辛い話だけど、その中でいかに自分の求めていくものを見つけるか。この人の作った建築物をカラー写真で見て、さらに現地に行きたくなりました。歌舞伎座や石の美術館とか、能楽堂とか。
反ハコモノ、反コンクリート、土着の繋がり、人が、素材が、土地が見えるもの。そこにしかそこでしか生み出せないもの。美しい古び方。限ら -
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「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。
この本の中で出張授業をされる先生たちは
もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました
その「語り口」を読んでいて
冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです
本当の専門家は
ただ感心させるだけでなく
それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
そんな気にさせてくれる方なのです -
Posted by ブクログ
世界に誇る日本の建築界第四世代の旗手・隈研吾が、直近の大作「歌舞伎座」に取り組んだ際の苦労や、20世紀の建築界の潮流と21世紀の建築の目指すべき方向について、自伝的に語った、聞き書きによる作品である。2013年に出版され、2015年に文庫化された。
著者は、建築に関わる人類史を大きく変えたのは、1755年に発生し5~6万人もの死者を出したといわれるリスボン大地震で、こうした災害から人類を守るために「対災害システム」としての「文明」が大きく発達し、その中核を担ってきたのが「建築」であるという。即ち、中世において人の命や人生を規定していた「神」に代って、「科学」という新しい知恵を用いて強い建築を作 -
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルの通り、現在の都市、都市開発について論じた本。
納得感のある話がたくさんあった。
<メモ>
・都市の巨大化は資金獲得の手法を激変させ、資金調達のテクノロジーが飛躍的に発展した。複数の主体から調達しなければならなくなった。一人のクライアントが建築家のデザインを評価して設計を依頼するという古典的関係性は過去のものとなった。顔の見えない複数の投資家から集金するために必要とされるのは、創造性の芸術家ではなく、すでにブランドとしてエスタブリッシュされた建築家。投資家は芸術品に対しては投資しないが、ブランドに対してならば割高でも安心して投資する。都市のイメージを決定するほどに重要な大プロジェクトで