隈研吾のレビュー一覧
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ほら ご神体は「鏡」だし
建物の材料は 全て「木」と「土」で
できあがっているでしょう
そうなんですよ
最終的には 全てが自然に還っていく
それが 本来の「神社」なのです
と 知り合いの宮司さんから
教えてもらった話を思い出した
本書は何気なく手に取って
さほど、思い入れもなく
なにげなく読みだたのだけれど
これが とてつもなく 面白い
単なる「建築」の話にとどまらない
その場所にどうあるべきか
その時代にどうあるべきか
それを どうとらえるのか
それを どう考えるのか
まるで 一人の哲学者のお話を
聞かせてもらっているようでした
反ハコ、反コンクリートの建物を
なぜ そういうふうに -
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前に読んだ2冊は対談の書き下ろしで、著書は初めて。ひとことで言うと面白い本だった(陳腐ですみません)。
隈さんという人は、先人にすごく憧れたかと思ったら割と簡単に失望したりする。はっきりしてて良い。歴史的建築家の先輩方に毒を吐きながら、それは悪口を言ってるのではなく、自分の価値観をしっかり確かめながら生きてきたということだ。
建築家や、建築が社会に与えた影響や、世界の建築行政などの歴史が、新書らしくきっちり書かれていて興味深かった。
国立競技場で、ザハが却下されて隈さんに変わった時、国の御用学者だから選ばれたのかと思っていた。予算オーバーの物件を上手くスケールダウンする技能を買われたのかと。 -
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安藤忠雄はあまりにも有名だが、ひとつ上の世代。それに対して隈さんはリアルタイムで活躍してる建築家である。
とは言っても、初めて認識したのは太宰府のスタバなので、最近なんだけど。(そんなに建築家に興味が無かっただけです。すみません。)
でも時々ネットやマスコミの記事でお見受けしてて、そうしていると、ザハで話題になった新国立競技場を設計されることに。一躍時の人になられて、どんな人物か気になってました。
建築をアカデミックに学んだ戦後第4世代だからこその、反コンクリート志向。世界の国々や歴史と対峙しながら、ブランドに留まることなく、現場にこだわっておられる。バブル期の挫折があったからこそ、90年代の -
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隈研吾の 生い立ちから、建築家を目指し、
そして、建築家とは何かを 問いながら、建築家として行動する。
自分の中にある、真摯な心の叫びを 自分なりに受け止めながら現在の在りようを、真摯に認めて、どうあるべきかを問う。
自分の中にある建築家としての自己矛盾。
実に 思い切って、赤裸々に語る。その姿勢が尊いと思う。
高度経済成長は、自動車産業や家電製品の急速な発展だけでなく、自分の家を持つという住宅産業とそれを後押しする政府の政策に成り立っていた。
あまりそのように考えていなかったが、言われてみればそうだ。
近代化、高度経済成長は、鉄とコンクリートによって、大きさと高さを目指した。
しかし、それ -
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ネタバレ日本人はどうも「妥協」という言葉をネガティヴにとらえがちですが、妥協とは大人が備えるべき高い能力のひとつであり、社会が必要とするのは、美しい妥協であるとぼくは考えています 木という素材は人々を調整する最高の道具です ヨーロッパ大陸は、ゲルマン的な価値観が支配する場所で、しぜんは制圧すべきものであり、崇拝の対象にはなりません ロジックでオレたち本当に幸せになれるかな なぜコンクリートのオフィスが必要だったかというと、柱のない大空間にたくさんの人を閉じ込めないと、効率的な仕事が出来なかったからです 里山資本主義 藻谷浩介 雲の上のホテル 日本人は、行間を読み合う人たちで、思考の強みは、茶道
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原発事業、植林の山崩れも戦後のつけ。戦後は続いている。
「家がプライベートな空間だと思ったときから、いろいろな間違いが始まったのではないかと僕は思っています。プライベートという思いがさらに進むと『私有』になる。自分の一生の財産であり、人生の目標だと思い込むと、ペンキのヒビ一本も許さなくなるでしょう。そうして、ヒビの入らないビニールクロス張りのマンションができあがり、サブプライム・ローンの破綻に行き着く。」
「人工圧力設計」とエネルギー問題。
「自分が快適に思える街ではなく、サラリーマンとしての自分の地位が保たれる街が、日本全国どこにでもできてしまっている。」
「だましだましをやるには現場が必要 -
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都市化が進み村は衰退したが、しかしその都市の中に新しい形で「ムラ」が形成されていた、というのは面白い。やはり人間には村的なものが欠かせない、あるいは人間の性として形成せずにはいられないものなのだろう。街並みを見る際の建築家の独特の視点が面白い。 ・社会と建築の関係に変化。建築の「動機」に変化。 ・1つは持ち家願望。アメリカ型解決法single-family house。社会主義的解決法、集合住宅。村的な粘っこいつながりは排除された。 ・「空間の商品化」というフィクションが村を破壊した。がそのまやかしも自壊を始めた。サブプライム。 ・311で我々は破壊され尽くした空間になお残る何かを感じた。そ
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金融手法の発達・外部経済環境の変化と街のデザインとの関係が興味深かった
面白かったくだり
・証券化の発達により、創造性のある芸術家ではなく、リスクの少ないブランドとしてエスタブリッシュされた建築家が求められる
→世界の大プロジェクトは少数のブランド建築家が独占、プロジェクトが大きくなるほどデザインの陳腐化が進む
→とりわけ地価が高い東京の再開発プロジェクトで一番大事なのはリスク分散。創造性よりもリスク分散が建築家には求められる
・歴史的な建物が残されると、その対価として街が超高層化する(容積率緩和のテクニック)ex.丸の内
・代官山(経済的に閉じて空間的に開かれている)と六本木ヒルズ(経済 -