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強く合理的で大きなシステムは、大災害の前にもろくも崩れ去る。大きなものに依存する受動的存在ではなく、小さく自立した能動的な存在として、「小さな建築」は人間を世界とつなげる。小さな単位を「積む」、大地に「もたれかかる」、ゆるやかに「織る」、空間を「ふくらます」。斬新な発想から建築の根源を問う。
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Posted by ブクログ
隈研吾の「小さな建築」の定義を確認したい用事があったのでざっくり読み直した。やはり、これには洋風に表現するところの「soft architecture」に通ずる物があり、本書は隈研吾の作品の解説以外にも建築史・建築論に関する非常に重要な考察が語られていると思う。
「小さな建築」隈研吾(著) 東日本大震災によって、建築物がいかに弱く、脆いものかを実感させられた。自然の猛威に破壊される。これまでの建築の考え方では通用しない。大きな災害が建築の世界を変えてきた。1666年ロンドン大火、1755年リスボン大地震、1871年シカゴ大火、1923年関東大震災、20世紀に...続きを読む入って、インドネシアの津波、アメリカのハリケーン、イタリア、中国、ハイチの大地震、そして東日本大震災。「強く、合理的で、大きく、高い建築」から「小さな建築」へ転換するときだ。 大火による多数の死者が出たことで、木造建築から石やレンガに変わり、鉄とコンクリートによって高層ビルが作られるようになる。高さ制限のないアメリカでは、高いビルが続々とたった。1930年クライスラービル 、1931年エンパイアステートビル381m、1972年世界貿易センター411m、2004年台湾101ビル508m、2010年ドバイBuriKhalifa828m。高さを競い合っていた。 超高層ビルは、金持ちの自己顕示欲にすぎないと言われるようになってきている。 小さな建築とは、大きな建築を縮小したものではない。みじかな材料を使って、自分の手と足で作り出すものである。自分の空間を認識して、自分で取り扱える単位が基準となる。 レンガは、自分で組み立てることができるサイズであるが、結局塗り固められてしまうので、小さな建築に向かない。そこから隈研吾は、水のレンガ、ポリタンクの活用、そしてウォーターブロックで家を作り始める。ふーむ。どうも、方向が、行き詰まっていく。屋根もウォーターブロックでつくる。まぁ。これは、日本の建築基準法では却下でしょうね。 模様替え、柱を入れ替える、取替え可能というのが、ポイントになる。 「積む」ウォーターレンガ。 「もたれかかる」竪穴住居はもたれかかることでできる。テントもそんな風だ。 「織る」木を織る。日本の伝統技術「千鳥」の応用。 「ふらます」東京ドーム、そして傘の家、空間を広げる。 ふーむ。小さな建築が、様々なアイデアが出されるが、どうも住みたい家にはならない。 隈研吾の頭の中では、小さな建築が重要だとわかっていても、自分で組み立てるような小さな家は、建築家として、総工費が少なくて、建築設計料が取れず、「建築家としてのビジネス」が成り立たないというジレンマがあるのでしょうね。結果として、大きな合理的な建築しか仕事はできず、趣味としての小さな建築づくりになる。その思考の始まりとアイデアは重要だ。 「組み立てやすく、移動性があり、軽くて耐震性があり、安い」という「小さな建築」を作るには、もっと工夫が必要だと思う。今 作ろうとしている特許を取った、ハニカムパネル建築が今後の展開になるのかな。
聡明さ+真面目さ=創造性。という事を教えてくれる隈研吾の新書。彼は非常にモラリスティックで、そうした真面目さが凄く魅力的。建築の面白さを分かりやすく語ってくれた本です。
東日本大震災を機に、建築の在り方を再考した隈さんがたどり着いたのが「小さな建築」。 単にサイズが小さい建築ということではない。 人間と世界のつながりを絶たず、衣服のように人を包み込むような建築。 鉄筋コンクリートやガラスを素材とし、電気、ガスや水道などのインフラという大きな構造に依存しないと成り立た...続きを読むない、近代建築へのアンチテーゼである。 もちろん、近代建築は、人間と災害との闘いの中で考えられてきたものであることは、冒頭にしっかり確認されている。 3・11は建築家に対して、その建築の歴史をも否定するほどのインパクトをもったということだ。 水を入れたポリタンクのブロックを積んで作る家。 紙製のハニカム構造の両側を、ガラス繊維強化プラスチックでくるんだ壁面で構成された「ペーパースネーク」。 傘の骨と防水性のある布を組み立てて作る、携帯できる家、「カサ・アンブレラ」(これは日本人にしかわからないダジャレだ)。 フランクフルト工芸美術館から依頼された茶室は、なんと木や土のような自然素材を使うなとの注文がつく。 そこで、膜に空気をいれたものを構造としたピーナッツの殻のような茶室が出来上がる。 こうした隈さんの「小さな建築」への挑戦が紹介されていく。 こうした作品の一つ一つを追っていくことも、本書を読む楽しみではあるのだが、もう一つはこの本は建築批評であり、建築史という思想の本という側面もある。 自分に刺さったのは、エンゲルスを援用した住宅を私有することへの批判の部分だった。 労働者が住宅を私有しても、家は老朽化してやがてゴミになり、資本を生むことはない。 重い借金を抱え、土地に縛り付けられるだけだ、というのだ。 では、人間はどこに、どのように住むべきか。 残念ながら、まだ「小さな建築」が普及していない。 政府が「小さな建築」、小さな住宅を奨励したり、あるいは住宅を買わずに住み続けられる政策にシフトするとも思えない。 これは、きっとこれからも問い続けられる問題なのだ。
本の内容としては建築を小さな単位として考えようというもの。 飛騨高山の千鳥という継手方法や太宰府のスタバの地獄組にに関する記述があり大変興味深かった。 建築学科に所属している自分の周りには、メディアによく露出する著者の建築を表面的に批判する人がよくいるが、このような本を読むと少し見方も変わるのではな...続きを読むいかと思った。
・「小さな建築」の楽しみを書くつもりが、いつの間にか「小さな建築」という基準で建築史を書き直したような本になった、とあとがきに書かれている。まさにその通りの内容だろう。 ・大きな建築に対する危機感を感じられる。 ・レゴブロックを大きくしたものに水を入れ、それを組み合わせることによる構造体というアイデ...続きを読むア。
本書で述べる「小さい建築」とは、人間の手で扱える程度の小さな単位・ユニットで構成され、設営・撤去が比較的容易な建築を指す。本書で紹介されている例は殆どがpavilion(仮設建築)であり住むことはできないが、「織る」「もたれかかる」等の方法を採用することにより、強度のない部材で実験的な建築を実現して...続きを読むいる。
だまされて家というゴミを買わされている。 住宅の大きさが人を不幸にする。 その不幸はリーマンショックに繋がりアメリカ文明の限界を示した。 ばっさりと評する部分が印象に残ります。 自然に依存する弱さが生物の本質であり、自分ひとりで扱える大きさが面白い。 建築的道具ならフスマとか障子とか移動式の畳と...続きを読むか。 臓器より細胞単位、というものの見方。 薄っぺらな表面に貼り付けるだけの意匠は大嫌いで、構造と意匠が一体化していて、構成している単位が小さい方が良いとか。 原宿にあるパイナップルケーキ屋さんの建築の意匠兼構造はこの様な考え方がありそうですね。 木の構造アイデアの大元は飛騨職人の千鳥が発祥だった!
今…誰しも東日本大震災と無縁ではいられない。 本書は、次のように語りはじめられる… ―建築をゼロから考え直してみようと思った。 きっかけは東日本大震災である。あらためて歴史を振り返ると、 今まで気がつかなかった、重要なことに気がついた。 大きな災害が建築の世界を転換させてきたという事実である...続きを読む。 これまでの災害と建築の変遷を整理し、本書の目的をこう云う… ―自分という弱くて小さな存在を、世界という途方もなく 大きいものにしなやかにつなぐ方法を探す。 つまり、これまで大型、強固、集中の一途をたどった建築を 人の身体にとって適した、小さな単位として見直してゆく… その具体的な方策が、構造的に「積む」「もたれかかる」「織る」 「ふくらます」の視点でまとめられているのだ。 経済社会システムにおいて、「集中メインフレーム型」から 「地域分散ネットワーク型」への転換がすすんでいるという… 本書は建築における方向性を示す、示唆に富んだ一冊であった。 そして、それは、電力においても例外ではない。
建築の専門的なことは難しかったが、筆者の作品の意味がよくわかる本だったとおもう。実際にこの目でみたい。また、現代建築までの歴史の記述に関してはとても勉強になった。カーンやイームズの名前を久しぶりに聞いたのでこれを機にまた調べてみようかな。
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