隈研吾のレビュー一覧
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シリーズというわけでなないのでしょうが、前書 『新・都市論TOKYO』があります。こちらは大規模開発の町がトピックであったので好みではなくざっと
目を通しただけでしたが、本書は下北、高円寺、秋葉原、子布施といった、住みやすそうな町ランキングにあがってきそうな町が語られていて好感でした。
エリートが計画する大規模開発にではなく、地に足が着いている人たちが主役になっている町特集でしょうか。
隈研吾がいう「ムラ」がどんなものか。成長し続ける町、TOKYOに求められているものは? とか、秋葉原をちょっと知りたい、という興味がある人はぜひ読んでみて。いろんなヒントがありそうです。 -
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★日本の都市計画の限界。それは分かっているのだが‥★隈研吾流れで。現代の日本の都市開発は巨額の資金を必要とするためにリスク管理が最大のポイントとなり、収益性を高めるために容積率を上げ都市としては成立しない、と指摘する。これを「経済的に開くと空間的には閉じる」と表現。その稀な反対例が、朝倉家が自身の資金だけで30年もの長い月日をかけ、優れた坊ちゃん建築家である槇文彦に設計させた代官山だという。これは「経済的に閉じる(自己資金で完結する)と空間的には開く」とする。ただそれも、そのユートピアが皮肉にも呼び水となって代官山アドレスのような巨大開発も引き込み、やはり街を凡庸にしてしまうとのこと。金融とデザインはトレードオフの関係にあるという、至極納得できる分析だ。
ただやはりすっきりしない。ではどうすればいいのか、と。上からの都市計画の無力さは明らかだし、住民参加は飽きるほど時間がかかるうえに資本の論理には勝てない。建築家としては著者のように海外に向かうという選択肢はあっても、暮らす人にとって選べる道ではない。著者はドンキホーテのように信じられないほど長い時間をかけながら日本の再開発に立ち向かう森ビルの森稔を評価する。それは理解できるが、結局バブル臭しか漂わない六本木ヒルズは悲しい。この本の結論も「迷い続けるしかない」とのこと。確かにそれが真実だとは思うが‥。
もうひとつ、読み物としては面白いが、建築家の言葉としてはどうもずるい気がする。その理由は磯崎新への言及で腑に落ちた。70年代の筑波学園都市での磯崎新について、「自身がこの都市はどうしようもないインチキなフィクションだと言って、シニカルな自己否定をしてみせた。(中略)建築家当人がシニカルだと、まわりはそれ以上の批評ができなっくなる。それが磯崎の戦略だった」と説明。これは(読んではいないが「負ける建築」を書いた)隈自身にもそのまま相当するのではないか。
また印象に残ったことを2つ。
・分析の枠組みが20年前と似ている。たとえば、現実の都市の理想像であったはずのテーマパークを再び都市がコピーしている、といった「逆流」という手法。
・バロックは壮大さをもって個人を世界につなぐ。 -
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[ 内容 ]
景気回復の実感はいまだ薄い。
にもかかわらず、東京では空前の大規模再開発が進行中だ。
林立する高層ビル、変貌する街の風景。
これは、本当に"東京の再生"につながるのだろうか?
「都市は失敗の集積にほかならない。
失敗を重ねた都市ほど偉大な都市だ」と語る建築家が、二一世紀TOKYOを象徴する、五つのスポットを巡った。
汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田。
そこに見えてきたのは、どんな「失敗」と「未来」の姿だったのか。
[ 目次 ]
都市開発の手法を概観する
第1回 汐留―悲しい「白鳥の歌」が響き渡る二一世紀の大再開発
第2回 丸の内―東京の超一等地に三菱の「余裕」がどこまで肉薄するか
第3回 六本木ヒルズ―森稔の執念が結実した東京の蜃気楼
第4回 代官山―凶暴な熊に荒らされる運命のユートピア
第5回 町田―「郊外」かと思っていたら「都市」だったという逆説
対話篇 そして北京
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
汐留・丸の内・六本木・代官山・町田の5都市を
建築家の隈研吾が語る本。
この本では、汐留・丸の内・六本木という
にょきにょきとした21世紀の開発に対して、
代官山の「ブランド化」したユートピア的開発イメージや、
町田の「リアル」なのか「フィクション」なのか
なんだかよくわからない開発イメージを対比させている。
この本で学んだ視点は「リスクマネジメントと都市空間」
汐留の「細切れ街区」や、丸の内の「あんこだけ超高層」は
短期的なリスクは回避できそうだが、
果たして都市のストックとなるのだろうか?
六本木ヒルズはミッドタウンが出来た今、
開発の個性で生き残る新たな段階にきている。
基準階の巨大さを活かして、「垂直都市」を実現できるかが楽しみではある。
代官山の都市空間を悪く言う人はあまりいないが、
同じような都市空間を金太郎アメのように実現させる
開発手法や制度研究はリアリティに欠ける気がする。
そう考えていくと、町田の開発は
「リスクマネジメント」しきれていない面白さがある。
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Posted by ブクログ
ネタバレ隈研吾のざっくりとした経歴とどのようにして建築と向かい合ってきたか、彼なりの考えをある程度知ることができた。印象に残ったのは建築物にはその建築家の思想や時代背景を象徴する場合が多いということ、建築だけができても意味がなく、謙虚で、好奇心旺盛、周囲に気遣える“普通の”人間であることが大事だということである。名高い著者だからこそ説得力はある一方で、著者自身が“ひねくれもの”と言っていた所以かもしれないが、他を下げて自分を高める、どうだすごいだろといわんばかりの文章が目立った。また隈氏は一部の建築家の悪い部分である芸術として建築を求めるあまりにクライアントの要望に応えられず失敗するケースを非難していたが、この本の内容も隈氏が手掛けた建築物がどのようにクライアントの要望に応えているのかという部分が少なく、結局自身も芸術としてしか見ていないのでは?と思ってしまった。建築の奥深さを知れたが、その本質は今後も考え続ける必要はあると痛感した。隈研吾のみならず他の建築家の著書も読み、深めていきたい。