村岡花子のレビュー一覧
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空想好きなアンも大学生となり、過去二作には無かった、戸惑いや、嫌な一面が垣間見えたのが印象的で、そこには大人になっていくにつれて、ものの見方もそうだし、周囲の友人たちも変わっていくことへの、一種の諦観に近いものを感じたからではないでしょうか。
健全な物語といいながらも私には、そうした年齢を重ねるにつれて、どうしても向き合わねばならない鬱陶しい思いをアンも味わうのだといった、予想だにしなかった思いは、逆に言えば、アンに何か神々しい偶像めいたものを、私が勝手に抱いていたんだなと悟り、こうした現実的な描写も見せてくれるところに、名作と呼ばれる所以があるのかもしれないなと思いました。
また、「見えないものは永遠に不滅」、「わからないほうが素敵」と思っていたアンが、初めて、自分のそうした思いと相反する気持ちに立ち会えたことに、人生の複雑さと、生きていることのありがたみを思い知り、とりあえず、ほっと胸をなで下ろしたが、結末を知らなかった私は、読んでいる途中から、もうアンのことだけが気懸かりで、他の登場人物はあまり目に入らなかったことに、少々申し訳ない思いがしました。
実際、物語の内容として、アンのことだけではなく、今を生きているからこそ共感できる、現実的なフィルのキャラクターや、マリラのアンへの思いの深さを改めて知ったり、アンの両親の家を訪ねて、その愛の深さを知ることができたなど、色々、読み所はあったのですがね。
まあ、次はもう少し落ち着いて、ゆっくり読むことができそうです(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ孤児院にいたアン・シャーリーは、女の子がほしいという家に引き取られる。でも、それは男の子の間違いだった。元気なアンのドキドキする毎日が始まる…。
アンがグリーン・ゲイブルスに来てからの生活はすごいものです。男の子を引き取るつもりが、結局女の子を引き取る事を決心したクスバート兄妹と一緒に暮らすようになった後は、ダイアナという素晴らしい友達ができたり、教室で騒動を起こしたり…。それでも美しく成長するアンの姿は、とても素晴らしいと思いました。
「10歳までに読みたい名作」というシリーズですが、すっかり大人になってしまった私がこのようなシリーズに興味を持つなんて大人げないような気がします。
でも、挿絵はとってもカラフルで想像力の余地があって素晴らしいし、読みやすくなっているし…。
ところどころはしょられている所がちらほらありますが、これがもとで、たくさんの名作を読みたいと思っています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミーガン・フォローズ主演の映画『アンの青春』では原作の2、3巻が下地になっている。
本巻は映画には現れない様々な人物が登場する。古き良き大学といった感じで好ましい。
フィリパのお嬢さんぶりはまるで若い世代にジェネレーションギャップを感じつつ感心するような気持ち。面食らう発言が多いのに全く嫌味がなく、ここぞと言うところでグッとアンの人生を後押しする。
パティの家に住むみんなが学生生活を振り返るシーン、猫たち、帰省した時のアヴォンリーの様子、手紙のやりとりなど本筋に関係ない場面も面白い。
アンが数名から求婚されて屈辱を感じる気分など、ひどいけど、でもわかる、若いなあと思う。人に好かれるという事実はその人を慰めもするし傷つけもする。特に本命と出会っていない、あるいは気がついていないうちは。
まあロイについては長く付き合いすぎた感はあるが、現代でいえば学生時代の恋人と必ずしも婚約しないのは普通だし、アンが自分の理想に酔っていたのと同様ロイも持って回ったような振る舞いをし、二人とも恋愛ごっこっぽかったのではないかと思う。若者はこんなものということで。その点やはりギルは頭がいい。
ギルバートが異常に辛抱強いのは1巻で証明済みだが、まあ女子に都合の良いキャラ設定ではある。作者の夢かもしれない。
ルビー・ギリスの死によって、「天国での暮らしはここ地上から始めなくてはならないのだ」と悟る場面、ジョゼフィン・バーリーとの別れ、ダイアナの結婚、ダイアナが母になり、自分はダイアナの過去に属しているだけで現在には必要ないのだと侘しく感じる場面など、大人になって読むからこそしみじみする話が多い。
ところでギルバートへの気持ちに気づくクライマックスが案外短かった。
映画ではミニー・メイが危篤をバラしたけど、原作はデイビーなんですね。
どちらにせよシリアスシーンなのに子供が無自覚でサクッとバラす、ちょっと笑える場面。うまいですね、そういう効果も。
大人になって再読して本当によかった。本との出会いはタイミング。慌てて読むものではないと改めて気付かされた。 -
Posted by ブクログ
アンシリーズの4冊目。
メインの物語はちょっと休憩といった体で、
アンをめぐる人々のスピンオフ的なお話。
アンはあくまでも脇役として時々登場する。
モンゴメリは本当に多くの短編を書いているのだが、
「アンの友達」に収められた短編はコメディあり、
涙あり、恋物語ありでどれも本当に面白い。
珠玉の名作短編集だと思う。
その中でも特に好きな話を選ぶとしたら、
「ロイド老淑女」
「ショウ老人の娘」
「隔離された家」。
あぁ、でも「オリビア叔母さんの求婚者」も良かったし、
「ルシンダついに語る」も面白かったなぁ。
結局選べない…。
自尊心が強過ぎて素直になれない人が自ら招く不幸と、
それを打開しハッピーエンドになる物語が多いのも楽しい。
そう、基本的にハッピーエンドの物語なので
安心して読めるのも嬉しかった。
モンゴメリが紡ぎ出す軽快な中にも含蓄のある言葉を、
村岡花子さんがまた絶妙な翻訳で魅せる。
その共演がますます面白さを増殖させているような
一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアンとギルバートの結婚式から始まり
新婚時代を描いた巻である。
若い幸福な二人を取り巻く人々が
個性的で面白い。
ことにジム船長の含蓄のある言葉の
ひとつひとつに心を打たれる。
私は本を読んで気になった言葉や
いいなと思って心に留めておきたい言葉は
書き出しておくのだが、この本に関しては、
ジム船長の言葉ばかりである。
私はもちろん、今生きている人たちにも
響くであろう本質を突いた言葉の数々。
ジム船長の言葉は耳を傾ける若い人たちを導き、
諭し、まさに羅針盤のようである。
10代の頃に読んだ時はレスリーとオーエンの
ロマンチックな恋物語に心を奪われたものだが、
今回はそれも楽しかったが、どちらかと言えば
ミス・コーネリアとマーシャル・エリオットの
結末に大いに惹かれた。
伏線がそこかしこに張り巡らされ、最終的にある形を
とって表面化する楽しさを味わった。
それにしても知れば知るほど著者モンゴメリの
博学なことに驚くばかりである。 -
Posted by ブクログ
アンの新婚生活が始まりました。前作のアンの新婚時代の話は、実はこの本の20年後にリクエストに応えて書いた本だったんですね。
そうするとアンとギルバートが恋愛関係になった次作でこの新婚生活なので、確かにちょっと唐突な感じがしないでもないです。
本書でも基本的にはアンが周りの人々と溶け込むにしたがって、周囲も幸せな方向に向かっていくという内容です。
アンの第一子の死産という悲しいエピソードもありますが、おおむね明るく楽しい新婚生活です。マリラも度々新居を訪れるので個人的にはホッとしました。あれだけアンを愛しているマリラが疎遠になるなんて悲しいですからね。
正直ネタ切れ感が否めない部分もありますが、水戸黄門と同じでアンとその周囲の人がご健在であることが確認出来ればいいのであります。
いい人に囲まれていい人生を送る話を読む、という本になってきているので読んでいて精神衛生上は非常に良いです。その代わり刺激には乏しいと言わざるを得ない。いや、登場人物も魅力的だし盛り込まれたエピソードも読ませるものではあるのですが・・・。
次からは読むか読むまいか思案中。