木爾チレンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
若く才能溢れる女性作家の冴理と天音。片や貧困から、片や病から抜け出して名声を手にし、互いの才能を認め合いながらも真反対に行き違う2人の天才の愛憎の物語。
書ける/書けない
売れる/売れない
期待される/期待されない(応えられない)
成功の影にある焦燥と孤独⸺どれも作り話とは思えない生々しさがあって圧倒された。冴理と天音の互いへの嫉妬と羨望が混ざり合い、渦巻きながら紙面越しにこちらに押し寄せてくるような感覚。
2人の視点が変わると見え方もがらりと変わる。嫉妬心が生んだ狂気の行く末が悲しくもあり、美しくもあり。
決して軽く読み流せない内容の重さなのに文体は軽やかで読みやすく、あとがきから作者の -
Posted by ブクログ
「二人一組になってください」いつも自分とペアになってくれる子がいる人にはなんの気もなしにこの言葉を聞けるが、いつも余ってしまう子、特定のペアがいない子にとっては、処刑レベルの言葉である。私も女子校に憧れがあったが、生々しい女子の友だち関係、嫌いなのに媚びを売って嫌われないようにしている様子など、本当にリアルに描かれていて、黒い感情と、分かる、分かる、と共感の気持ちと。リサと雨凛がウザすぎる。あの二人が教室にいるだけで、あの子たちに嫌われたら終わりみたいな雰囲気になってしまい、楽しいはずの教室が曇ってしまう。仲良しに見えたはずが、デスゲームになるとお互いを陥れ、早く殺す方法を考えていたなんて。極
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Posted by ブクログ
著隣の芝は青い。他人の屋根は赤い。
いつの時代の誰の人生においても不変であるこの事実は、悲しいことに当人には到底受け入れられないものであり、気がついた時には手遅れであることが多い。
本書の登場人物達も例外ではなく、所謂「腐った」環境に身を置かれ続けた結果、自身の人生をも腐食させていく痛々しさが顕著に表現されており、彼女達の行く末に目が離せなかった。
平成レトロという言葉に傷つく世代になって久しいが、当時の流行や情景、はたまた教室の臭いまで思い出せるような時代描写は、色々な感情を呼び覚ましてくれる。
あの時の自分は誰かを羨んでいたのだろうか?そして誰かに殺したいほど羨まれていた?今となっては知る