木爾チレンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「シリアルキラー」がテーマのアンソロジー。
テーマは過激だが、グロ要素は控えめ。内容としては各殺人鬼が「なぜ殺人鬼になったのか?」、「どういう気持ちで行為に及ぶのか?」等の内面の描写が細かく描写されており、短編集ながらに、それぞれの満足感は高い。
『シリアルキラーvs.殺し屋』 阿津川辰海
結末含めてパンチは少し弱いが、このシチュエーションがとにかく面白い。
『脳JILL』 木爾チレン
「ゴトン病」という言葉を初めて知った。
少しショッキングな内容だが、それ故にメッセージも大きい。
『テキストブック・キラー』 櫛木理宇
面白い。
直近に『死刑にいたる病』を読んだが、あの湿度感を短編でも出 -
Posted by ブクログ
ネタバレ思っていたよりもずっと楽しく、夢中で読みました。
言動について、発した側の思いと受け取った側の印象がこんなにも異なるのだと悲しくなりました。私も気をつけなくてはいけないと自戒の念を持ちました。
木爾チレンさんの名字が読めず検索したところ、木爾チレンさんとご主人がこちらの作品について対談している動画があり拝見しました。そちらの動画とこの作品とで、今まで漠然と持っていた作家という職業への印象がガラリと変わりました。気づかせていただき、ありがとうございます。これからも大切に作品に接していきたいです。
サリエリ、気が付きませんでした笑 -
Posted by ブクログ
なにもかも知らないことは強い。なにもかもを知っているより、ずっとずっと強い。
夢があれば、いつだって、どんな状況だって、抜け出せるから。
もしかしたら人は、愛を受け取ってから、誰かを愛し始めるのかもしれない。
才能にはね、果てがあるのよ。その果てに辿りついたときからが、勝負なの。
私はいままで、何にしがみついていたんだろう。なんて狭く暗い世界で生きていたんだろう。
闇の中にこそ本物の、救いの光がある。
希望と絶望はセットです。
いちばんは、自分自身から愛されたかった。
物語を読む意味はふたつ。希望の物語を読み、陽だまりの中にいるように、心があたたかくなること。そして、絶望の物語を読み、その渦中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ木爾チレン氏の小説は初めてでした。
ふたりの対照的な女性作家が主人公になりますが、病弱で入退院を繰り返していた天音は冴理の小説で勇気づけられ、元気になり、憧れの冴理に近づきたいと、同じ高校、大学に進みます。
しかし、近づけば近づくほど緊張で、思ってもみないことを言ってしまったり、余計なことをしてしまったり。。
私もその気持ちが分かります。
そうしたことで、冴理は目の前に現れた後輩であり、天才的な小説家を自分以上の才能を持つ女性に畏怖、妬み、嫉妬心を持つようになります。
友だちであれば近づいて交流することも可能だったでしょうが、同じ小説家として、徐々に自信をなくして嫉妬から殺意に変わるほど、苦し -
Posted by ブクログ
作家の光と影を描く木爾チレン氏の本書は、創作の背後に潜む痛みと矛盾を、平易でありながら情感豊かな文体で描き出した作品である。
若くして才能を認められた女性作家・冴理と天音は、貧困や病を抱えながら筆一本で道を切り開き、互いを敬意と羨望の入り混じった眼差しで見つめ合う。しかし「書ける/書けない」「期待される/応えられない」という葛藤は次第に嫉妬と焦燥を生み、二人の道筋を大きく分かつことになる。視点が切り替わるたびに明暗が交錯し、才能への羨望が狂気へと変わる過程は、凄惨さと同時に奇妙な美しさを帯びて胸に迫る。
文庫版あとがきと町田そのこ氏による解説も、創作の業と救済というテーマを立体的に照らし出 -
Posted by ブクログ
あなたは、「二人一組になってください」と指示されたら、どのように相手を選ぶでしょうか?
『二人一組』で何かをする、学校では思った以上にそのような機会は多かったように思います。これが、教室での授業だとしたら、隣席同士、前後席同士という組み合わせが自然でしょう。しかし、誰もが席から離れて集まる体育の授業では、そういうわけにはいきません。そんな時、実際の指示を出す教師はどのように考えているのでしょうか?
『体育の時間は特に、準備体操があるんだから、生徒を二人一組にさせることなんて、ごく当たり前のことでしょう…だっとら、仲がいいもの同士で組ませてあげようという、配慮ですよ、配慮』
一見、『仲が -
Posted by ブクログ
作家の苦悩を題材に光と闇が交差する物語。
なぜかスラスラと気持ちよく読めてしまう不思議な一冊。
この‘’不思議‘’は、あとがきを読むと解明できた。この「なぜかスラスラと読めてしまう」現象は著者である木爾チレン先生の特徴らしい。私は今年の初め頃から読書の沼にハマった、まだまだひよっこの読書初心者だ。恥ずかしいことに語彙も多くないため、知らない単語や見たことすらない漢字を見つける度に、読む手を止め、スマホに持ち替えて検索をしている。思えば、本作は圧倒的にそのスマホの出番が少なかった。これは意図したものだとあとがきには書かれており、そのせいで著者の本は「若者向け」だと言われ、その事に悔しさを憶えた