木爾チレンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ゴミ屋敷と表現されたシーンが、目の前に広がった。
何回も色んなシーンがありありと目に浮かんで、描写の表現が上手な作品だなと感じた。
冴理は色んな才能があって、自覚してるよりも人の心を惹き付けてるのに、天音の存在をずっと意識し続けて、みんな違っていいはずなのに、それを言ってくれる人がいなかったのが可哀想に感じた。
神のように称えられても、隣には誰もいてくれなかったんだなと思った。
冴理は、きっと隣にいてくれる誰かを求めていたんだと思う。
天音視点を読んだ時にはかなり驚いた。
才能があるとは思うが、こんなにも一途で、こんなにも愛に溢れていると思わなかった。
愛に似た、執着の物語だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきまでが小説だな___
それがこの作品の印象です。
小説家でしか感じられない嫉妬とか喜びとか、歪な愛情とかセンシティブな10代後半から20代にかけての、まだ幼い子供から大人にかけての感情がありありと表現していました。
俯瞰して読んでいるとああ もどかしい!と思いつつ、上手にお互いが交差しないのがリアルで、自分の視野でしか判断できないから、すごく読んでいても歯がゆくなる自分がいました。
結構、作者のあとがきを読み終わってから、ぐっと本作が素敵な作品だなと感じていて。
作者がこの作品を本当に愛していて大好きな物語で、登場人物たちが勝手に喋って行動して、まるで天音のように音に乗せてタイピングをしている人なんだなと感じました。
執筆の難しさなど全くわからない素人だけども、登場人物の痛みや苦悩がぎゅーっと伝わるのは、作者も同じように経験されてきたからなのかな、と感じたり、
逆に喜ばしい幸福感も、作者のままに紡いでいるほんとうに誰が読んでも大切な作品になりそうだと思いました。
本作を読み終わってから振り返るととっても良かったな___と感じていて。
各年齢の出来事とそのときの心情を誰かに吐露している内容で進むので、話に入りやすくとっても読みやすく、登場人物の渦巻く感情がすごく伝わりました。
ずっと読みたかったので、ほんとうに読めて良かったです。 -
Posted by ブクログ
これは小説家だからこそ書ける小説なのかも。小説家としての苦しい思いを知っている人だからこそ…というのが第一の感想だった。
自分の才能を信じること、そして他人の才能に嫉妬すること。芸術やエンタメの世界に生きる人なら、同じように感じたことのある人は多いのかもしれない。
主人公の冴理は、若くして賞を獲得して小説家としての道を歩み始めたが、同じ高校の文芸サークルの後輩にあたる天音が小説家として華々しくデビューしてから彼女と関わったことがきっかけで突然筆を折り、以来小説を書くことはないまま60代を迎えた。
そんな冴理の元を、とある編集者が訪ねてくる。「もう一度小説を書いてくれませんか」と。
冴理はその編集者に、天音との間にあった出来事を語り始める。
愛や憧れが行きすぎると、相手の心をぽきりと折ってしまうことになりかねないのだな、と思う。冴理と天音の間にはお互いに憧れや嫉妬が渦巻いていて、それがお互いを破滅に向かわせていった。
その強い想いを素直に表明し合えたら…とは思うものの、冴理は物書きの先輩としてのプライドや同じ女性としてのプライドがあり、天音はシンプルに歪んだ愛情を真の愛情と信じ込んでいたことが2人をすれ違わせた。
女同士のドロドロなのだけど、単純な憎しみ合いとは違うもっと深い沼に浸かるようなドロドロ。愛や憧れが混ざる分、純度が高いドロドロというか…。
だからこそ、ラストは綺麗な物語になっているところが良かった。予想はしやすいかもしれないけれど、救いがあったから。
自分が努力を重ねているカテゴリのなかで、圧倒的な才能を持つ人に出逢ってしまったとき、ただのリスペクトに終始できる人は多くはないと思う。生きている時代が同じであれば尚更、妬ましく思うのは当たり前だし、少しでもその人のレベルに近づきたいと願う。
その感情が行き過ぎて、相手を陥れてやろうと考える人も少なからずいるはずだ。
冴理は天音に嫉妬した。追いつきたいと願った。追いついて追い越して、自分が上に立ちたいと。だけど天音が冴理に対して抱えていた想いはもっと純粋で恐ろしかった。
悲劇や後悔を経て、それでも私は神に愛されている、と言い切れる何かがあるのはすごいと思う。 -
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ネタバレ『カエル男』ロスによって生気を失ってしまった私が新たなシリアルキラーとの邂逅を果たすために本書を手に取った。
そこでいま一度考えたのだ。そもそもシリアルキラーの定義ってなんなんだろう?
私個人が思うに、犯人の最終目的が「殺人」ではないことなのかなと。あくまでも結果的に「殺人」になっちゃうだけで。だから殺人に至る論理としては理解できなくもないんだよなー。でも「殺人」のことをなんとも思ってない当たりは全員に共通しておかしなところだから当然常人には理解されないんだけども。
そんなイカれた連中が5名の作家さんによって命を吹き込まれ、多種多様なそれぞれの目的のために殺人を犯す。たまらんね。
いくつか途中で全然シリアルキラーじゃないじゃん! と思わせる作品もあると思うけど、それは作家さんの巧みな技術によるところでなのでみなさんご安心を。間違いなくみんなシリアルキラーだよ^^
同じシリアルキラーを描く作品という中で、それぞれの作家さんの色が明確に出ているのはさすがの一言。
収録されている5作品の中で私は特に櫛木理宇先生の『テキストブック・キラー』が好み。最近『嗤う淑女』シリーズを読んだ影響なのかしら。
『カエル男』で失ったシリアルキラー分も十分に補給できたので、少し穏やかな世界に舞い戻りたいと思います。さて、次は何を読もうかな。 -
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ネタバレ京都の女子高で卒業式の日に始まったデスゲーム。生徒が2人一組になり、余ったら「失格」。最後の1人か2人になるまで続く…。
27人全員のエピソードが語られていく。カーストがあり、カースト内のグループがあり、更にその中の関係性もある。
自分が学生時代のとき、こんなに順位が明確だったかな?と思い返したけどよくわからなかった。
コサージュの仕組みと、それぞれの死に方。そして教師になった花恋がなぜまたゲームを開始したのか。
よくわからないところはあったけど、美心と留津の親友になったエピソードがよかったのと、個性的な生徒とその名前がよかった。
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Posted by ブクログ
飲む・食す、フルコースの7つの短編集
涼しげな水色が綺麗な装丁で、
見返しや遊び紙の薄紫も美しい
単行本では珍しく、著者による解説(飲み方)
が最後に載っている
「飲み方」という表現に遊び心もあり、
細部までこだわりを感じる
こういう個性的な本は大好きだ
解説にはネタバレがないので、
食前・食後どちらで読んでも楽しめる
ぼくは1編読むごとにその作品の解説を飲んだ
この読み方のほうが作品の
解像度も上がるのでオススメです
解説を飲むと、著者の小説家としての
軌跡も少し垣間見れた気がした
また、このタイトルや本書自体が、
著者の作品に対する「鎮魂歌」のようにも思えた
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説家としての苦労がこの本を通して伝わった。自分の書いた文章が評価され、人と比較されるのは想像よりも相当プレッシャーになるはず。
天音が冴理に近づくために小説家になり、思ったより自分が書く小説が世間に需要があると知るところが印象的だった。冴理が若い頃「神に愛された特別な才能がある」と自負していて、賞を取ったり小説家として食べていけたということは実際にその才能はあったんだろう。けど、天音はそんなことどうでもよくて、自分の才能に気づいていないのか興味がないのか…その才能と言われるものはたまたま今の世界の需要であるだけだと考えているのが、若い時の冴理と自分を重ねて天音に嫉妬してしまった。あそこまで人を崇拝し行動に移せる方がある意味才能だと思う。