木爾チレンのレビュー一覧
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ちゃちゃっとライトに読める本と思っていたので、読後の刺さり方についてはそんなに期待していなかったのだが(ド失礼)、読んでみると思ったより深く、面白かった。SNSやハッシュタグにまつわる4つの短編が収録されているのだが、どの話にとってもSNSは良い意味で脇役、あくまでモチーフでしかなくて、主体はきちんと主人公に据えられているのが良かった。カツセマサヒコさんは相変わらず「理屈じゃないけどそういう気持ちになること確かにあるよね」という心情を見つけて、見つめて、言語化するのがめちゃくちゃ上手い。木爾チレンさんについてはこれを読んで初めて知った作家さんだったのだが、エモくて素敵な話を書くなあと思った。フ
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Posted by ブクログ
あとがきによると、この小説は映画『アマデウス』へのオマージュとして書かれた作品だそうです。
作家の東山冴理と白川天音。
それぞれが語るお互いへの思い、嫉妬と憧れが入り乱れた様子に、わかるような気持ちもあり、夢中になって読みました。
前半と後半では、白川天音の印象がガラリと変わり、思い込みは怖いなと思いました。同じ台詞が心情を知ることで、ここまで意味合いが変わるのかと驚きました。
あとがきと町田そのこさんの解説を読んで、小説を書くことが仕事になる大変さは、読者の私が思っているよりもずっと大変なことだとわかりました。
「才能を信じて生きた、ふたりの女性作家の光と陰」が描かれた傑作でした。 -
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話題の作家さんで気になっていて、この作品が初でした。凄い。もう1ページ目から面白い。そして読みやすくて一気に読んでしまった。あとがきで読者に伝わりやすい言葉を心掛けていると書いてある通り、読みやすくて繊細で綺麗な文章だった。
明るい話ではないはずなのに、淡々と進み上がり下がりが激しくない為か暗くなり過ぎなくて頭にスッと入ってくる。
視点の変化で悪人だと思っていた相手が善人になる。良くある設定なのに何故か嫌な感じがなく受け入れられる。
そして作家という立場で味わう苦痛や絶望感を描いてある為、興味深さもあり感動した…。
この作品は本編と共にあとがきや解説も含め凄く良い作品だった。 -
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エンタメとしてとても楽しめた!
設定的に無理があるような…と感じる部分も無かったわけではないけど、最初から引き込まれてどんどん読め進められ、最後まであっという間だった。
付箋を貼るような箇所は無かった(素敵なフレーズや表現には付箋を貼る派)けど、“あっという間だった”と感じるほどの筆力はあっぱれ!
「いじめ」って難しい。知らないふりも罪になるのは肯定するけど、じゃあ知ってしまったら何ができるんだろうか…?信じられる大人もいない状況では子どもには難題すぎる。だからこそ、いじめた人間がちゃんと罰を受けて、その後はカウンセリングなりケアなりを受けるべきだと思う。人権がどうこうって守ってる場合じゃない -
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序盤で結末は想像できてしまったけど、この物語の価値は結末にではなく、そこに至るまでの過程にある。
テーマは「作家の痛み」なのだろう。そしてその痛みは氷だ。ヒビだらけの水晶のような氷だ。息を吹きかけたら崩れてしまう繊細な氷の球。
だからこそページを捲るこちらの指先が冷たくなっていく。
あとがきで「文学は難解であることの方がいいと思っていた」(意訳)と書かれていて、「ああ、この人は、この痛みをもっと生々しく、読む人の目を伏せさせる程の表現力で書けるんだろうな」と勝手に思った。
でもそうしなかった。そうしてしまうと、この痛みは痛みとして読者に届かない。だから割れかけの氷のように書いたのだろ -
Posted by ブクログ
面白かったのは、各作家が描く殺人鬼たちが、それぞれ**自分の信念や“筋”**を持っているところ。
ただそれは立派な「ルール」というより、自分を正当化するための言い訳にも見えて、その危うさが怖かった。
怪物になりきれないからこそ、言葉で理屈を作って“人間の形”を保とうとする――でもその理屈が、狂気を長持ちさせてしまう感じがある。
そして何より、怪物がふと見せる人間性を感じた瞬間に、「これは特別な誰かの話じゃなく、誰でもなり得るのかもしれない」と思ってしまう。その距離の近さがいちばん恐ろしかった。
改めて、シリアルキラーという題材はアンソロジーとの親和性が高いと思った。怖さの種類が作家ごとに変わる -
Posted by ブクログ
題名に惹かれて購入。
サイコパスが必ず物語に登場する短編集。どのサイコパスも新たな欲求に目覚めるきっかけだったり数字へのこだわりみたいなのが強く出ていて共感は出来ないがきっかけは突然起こることもあるんだなと思い、誰にでもきっかけはあると思うと怖かった。
どれもそれぞれの著者の良さがあり良かったが、木爾チレンさんとくわがきあゆさんの短編集が良かった。
⭐︎木爾チレンさん 『脳JILL』より
「欲求というものは、一度、上を知ってしまうと、もうそれ以下では満足できなくなるんです。」
→本当にそうだなと共感。上を求めればキリがないないし終わりがないなと思った。
⭐︎くわがきあゆさん 『私の伴侶』より