木爾チレンのレビュー一覧
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試し読み
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Posted by ブクログ
序盤で結末は想像できてしまったけど、この物語は結末ではなくてそこに至るまでの過程に価値がある。
テーマは「作家の痛み」なのだろうけど、その痛みは氷だ。ヒビだらけの水晶のような氷だ。息を吹きかけたら崩れてしまう繊細な氷の球。
だからこそページを捲るこちらの指先が冷たくなっていく。
あとがきで「文学は難解であることの方がいいと思っていた」(意訳)と書かれていて、「ああ、この人は、この痛みをもっと生々しく、読む人の目を伏せさせる程の表現力で書けるんだろうな」と勝手に思った。
でもそうしなかった。そうしてしまうと、この痛みは痛みとして読者に届かないから。だから割れかけの氷のように書いたんだろ -
Posted by ブクログ
面白かったのは、各作家が描く殺人鬼たちが、それぞれ**自分の信念や“筋”**を持っているところ。
ただそれは立派な「ルール」というより、自分を正当化するための言い訳にも見えて、その危うさが怖かった。
怪物になりきれないからこそ、言葉で理屈を作って“人間の形”を保とうとする――でもその理屈が、狂気を長持ちさせてしまう感じがある。
そして何より、怪物がふと見せる人間性を感じた瞬間に、「これは特別な誰かの話じゃなく、誰でもなり得るのかもしれない」と思ってしまう。その距離の近さがいちばん恐ろしかった。
改めて、シリアルキラーという題材はアンソロジーとの親和性が高いと思った。怖さの種類が作家ごとに変わる -
Posted by ブクログ
ネタバレ卒業式当日朝のデスゲーム。
二人一組になって手を繋げないと、死ぬ。
最後まで残るのは、誰か。
女子のスクールカーストについては全く分からないけれど、生々しく描かれていて、デスゲームそのものと同じくらいゾッとした。
自分もいるとしたら三軍だろうなあ。1日のほとんどを過ごす教室の中で明確に蔑まれて暮らすなんて耐えられない…。
物語はとても読ませる力があり、一気に読んでしまった。一人一人、死んでしまう生徒の交友関係や内面、それぞれが持っているしんどい部分を描いてあって、「そういう子なんだ」と分かったところで死んでしまう。
共感できる子、「やっと居場所が得られたんだね」と愛おしく思う子もみんな死ん -
Posted by ブクログ
題名に惹かれて購入。
サイコパスが必ず物語に登場する短編集。どのサイコパスも新たな欲求に目覚めるきっかけだったり数字へのこだわりみたいなのが強く出ていて共感は出来ないがきっかけは突然起こることもあるんだなと思い、誰にでもきっかけはあると思うと怖かった。
どれもそれぞれの著者の良さがあり良かったが、木爾チレンさんとくわがきあゆさんの短編集が良かった。
⭐︎木爾チレンさん 『脳JILL』より
「欲求というものは、一度、上を知ってしまうと、もうそれ以下では満足できなくなるんです。」
→本当にそうだなと共感。上を求めればキリがないないし終わりがないなと思った。
⭐︎くわがきあゆさん 『私の伴侶』より
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Posted by ブクログ
「小説推理」に掲載された4編と結城真一郎氏の書き下ろし。
人気作家の人殺し(*☻-☻*)
「シリアルキラー vs 殺し屋」阿津川辰海
派手な対決ものに見えるのに、
「技術」と「倫理」の差だったり。
やっぱりプロはプロ。といったところでしょうか。
「脳JILL」 木爾 チレン
チレンさんぽさを安心して味わえる“人殺し”
という感じがします。
この文体の軽妙さと心理の深さの
高低差が魅力。
「テキストブックキラー」櫛木理宇
短編なのにハッとしてグッとくるなあと思ったら 櫛木さんでした。
“殺人”書いたら際立つものがあります。
「私の伴侶」くわがきあゆ
自殺の名所の崖の上。
止められぬなら落