若竹七海のレビュー一覧
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ネタバレ【収録作品】
傲慢 「罪の名は傲慢(プライド)」中山七里
怠惰 「手の中の果実」岡崎琢磨※7月7日生まれ
憤怒 「移住クライシス」川瀬七緒
嫉妬 「オセロシンドローム」七尾与史
強欲 「十五分」三上幸四郎
色欲 「父親は持ってるエロ本を子どもに見つからないようにしろ」カモシダせぶん
暴食 「最初で最高のひとくち」若竹七海
人を罪に陥れる七つの悪徳を「七」に縁のあるミステリー作家が描いたもの。
「罪の名は傲慢」 渡瀬警部・古手川刑事も登場。
「移住クライシス」ミステリ部分に目新しさはないが、老婆の存在がいい。
「最初で最高のひとくち」葉村晶も登場するが、脇役ポジション。なんなら彩り。冒頭 -
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ネタバレ葉村晶は50代に突入して身体の不調も増えている。あちこち悪いながらもその都度対処しながら日々を過ごす描写のリアルさが好き。でもいくらタフとはいえ、このままハードな仕事をやっていけるのか。葉村には、いずれ静かに暮らす老後というのは訪れないのだろうかと余計な心配をしてしまう。
ややこしい一族経営や投資詐欺が絡み、事件は思わぬ複雑さを見せたけれど、話がひとつに繋がっていきスッと腑に落ちるタイミングがあった。外から見ただけでは分からない複雑な人間関係や、それぞれの抱える事情を知るにつれ、同情的な感情が芽生えた。
それにしても葉村はお人好しすぎる。そこがいいところでもあるんだけれど……。 -
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葉村晶シリーズ3作目。
冒頭から、葉村は不運すぎる探偵の名にふさわしい不運さをいかんなく発揮する。
遺品整理に訪れた家の床が抜け、地面に埋まっていた白骨死体の頭部に頭突きした上に助骨にヒビが入るのだ…そして、入院した病院で同室の女性から20年前に失踪した娘を探してほしいと頼まれる。
これでもかと様々な災難が降り掛かり満身創痍になる葉村には同情の念を禁じ得ない。
そして、依頼人やその関係者、警察、ひょんなことから知り合いになった女性…すべてのひとがアクが強く一筋縄ではいかない厄介さ…!!
飄々としたユーモアある筆致で描かれているので、うわーと思いながらも終始楽しく読める。
葉村は自分の慢心や油 -
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〈葉村晶シリーズ〉の9冊目。
私がこのシリーズを読み始めた時に既に40歳を超えていた主人公は、いまや老眼鏡もあわなくなってきた50代に突入。
コロナ禍が始まり、生き延びること丸3年。変わらず「ミステリ専門書店のアルバイト店員」にして「客の来ない探偵社で調査活動休止を余儀なくされている調査員」という立場のまま。
プロローグみたいな話でいきなり殺されかけて、のっけから“世界で最も不幸な探偵”の面目躍如。
とある学園の元理事長から“秘密厳守”の人探しの依頼を受けるが、その学園の創業者の一族がなかなかに面倒で、改めて冒頭の場面に行きつく399頁までの間に、いつもの通りに、関係あるのかないのか色んな人 -
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ネタバレ読み終わってみれば、登場人物が非常に多かった。それぞれに個性はあるのに、なかなか名前を覚えられなくて難儀した。住人たちは一癖も二癖もあり、誰のことも信用できない。
でも双子が意外な魅力だった。喋りだしたら賢い生意気娘たちだったのでとても可愛かった。最後、犬に駒持と名前をつけるところなんか最高だった。この2人には誰も敵わない。
全員が怪しくて誰が犯人なのか最後までわからなかった。犯人を追い詰めていく明確な探偵役というより、各々が推理している。
犯人に同情の余地があると思わせて、最後の最後にそっと真実の爆弾を置いていくのがにくい演出!