若竹七海のレビュー一覧
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ネタバレ葉村晶シリーズの短編集。
安定のおもしろさ。
ミステリ専用の本屋の書店員をしながら、探偵をしている葉村晶。というか、晶の話を聞きつけた人に頼まれて仕方なく引き受けている感じ。
人探しをしていたはずなのに、事件に巻き込まれる率、高し。
晶の心の声というか、心の中のツッコミが、キレが良くておもしろい。
私自身、若い頃は心に毒を持っていたつもりなんだけど、年をとるごとに丸くなり、自分の中から毒が抜かれていくさまを痛感しているのです。
晶は四十肩になるような年になっても、毒が健在で嬉しいよ。
表題作「静かな炎天」では、黒幕が狙った方法って、さらりと書いてあるけどすごく残酷な方法でぞっとした。
現実の世界では、毎年のように車内で小さな子どもが亡くなる事案が発生していて、それは「事件」として捉えられている。
でも、これが家の中だったら?亡くなったのが老人だったら?
事件ではなく、熱中症の事故として扱われるんじゃないかな。
すごく周到な完全犯罪!?・・・だったはずが、探偵葉村晶が優秀すぎたせいで失敗に終わるという・・・。 -
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ネタバレ葉﨑市シリーズ六作目。
ああ、猫島に住みたい。
加熱だけど温泉が出て、
平日はもりとかけだけだけど蕎麦屋が出来て、
葉﨑市の猫島はさらにパワーアップしていた。
でもかなり個性的でないと住民にはなれないようなので、
猫島海岸がいいところかな。
美味しい定食屋が住宅街にできたらしいし。
ランチや週末の忙しい時にアルバイトで通うのはどうだろう。
でもそれだと、いかにのんびりした葉﨑市でも暮らしていけないか。
まあ、でも賄いをだしてもらえれば、とりあえずは生きて行けるかな。
百匹の猫たちだって、暮らしてるんだから。
今回は猫島臨時派出所のポリス猫が主人公。
七瀬巡査を手伝わせながら、大小の事件を解決していく。
一番面白かったのは、最大の山場は、不発弾処理の現地説明会で、
市長が猫を軽んじたことで怒号飛び交ったところ。
それと、
「プラスマイナスゼロ」の三人組が、
幸せのハート猫を追っかけていたのを、読み逃さなくて良かった。 -
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ネタバレ葉﨑市シリーズ五作目。
「卒業旅行」というタイトルを見て最終章だと思い、
一度本を閉じた。
主人公は丘の上にある高校に通う女子高生。
学園祭、じゃなくて収穫祭で豚汁を作って売ったり、
卒業式で卒業生にかくし芸を披露したり、
海岸で友達と三人でクリームソーダを食べたり、
死体を発見したり、幽霊を見たりと、
高校生活を満喫していた。
そして、その親友たちと仲良くなるきっかけの心温まる話、の後の「卒業旅行」。
この著者の作品を読んだことがあれば、
ここから急降下が始まるのではないかと恐れるのは当然だ。
と、身構えた割には「卒業旅行」はどんでん返しでもなかったし、
最終章でもなかった。
と言っても、どんでん返しがなかった訳ではない。
葉﨑市シリーズの中で最もありえないお話の連続だが、
それでも面白かった。
中でも、クリームソーダの話が一番かな。 -
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葉村晶シリーズを読み進める中で、この本も読みました。
この本だけ表紙が違うなぁと思ったら、これだけ出版社が違うのですね。
この本は光文社、その他の葉村晶シリーズは文藝春秋。
あとがきによれは、表題作である「暗い越流」が、文学賞を受賞したものらしい。
暗い越流は、死刑囚に届いた1通のファンレターが発端になり、雑誌記者が差出人を探す…という話。
暗い越流は葉村晶シリーズではなく、葉村晶が登場するのは「蝿男」と「道楽者の金庫」だけだ。
しかしノンシリーズも含めて、全てワクワク、ゾワゾワするおもしろい短編ミステリーだった。
短編であることがむしろ心地よいと思った。
道楽者の金庫では「こけし」が謎解きに一役買っている。
東北の田舎出身の私は、子どもの時から実家にも親戚の家にも必ずこけしがあった。こけしって、不気味だけど、身近な存在でもある。
だから、晶が子ども時代に「こけしは子どものおもちゃみたいなもん」と親戚に言われ、実際にこけしで遊んでいたら「こけしであそぶな!」と怒られたことは笑ってしまった。
最初に本を手に取ってパラパラめくったときに、こけしの絵が現れたときも、思わず笑ってしまった。なにこれ!早く読みたい!と思ったよ。
間取り図面とかが載ってることはあるけど
こけしって。
そんなところからも、ワクワクして読めて、私は楽しかったです。
お話自体は、どれもザラっとした気持ちになる終わり方なんだけど、こけしの登場で途端にユーモラスになったのだ。私だけかな。
なぜこけしにしたんだろう。こけしじゃなくて陶器とか花瓶などの瀬戸物でも良いよね。
そのあたりに、作者のお茶目さ、遊び心を感じたんだけど、考えすぎかな。 -
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ネタバレ葉﨑市シリーズ二作目。
前作のヴィラ・マグノリアの土地所有者だった、
地元の名家前田家をめぐる殺人事件。
「コージータイム」というどこかで聞いた雑誌
(編集長が殺されたような…)を発行していた勤め先がつぶれ、
泊まったホテルが火事となり、新興宗教に追われ、海に叫ぶ女。
挙句の果てに死体を発見する。
その死体は前田家の行方不明だった「若殿」なのか。
前作より面白かった。
死体を担いだり、棺の中で寝てしまったりと、どたばた要素があったからか。
恋愛要素がはっきりしていたからか。
最後のドンデン返しが良かったからか。
パンプキンスープとか、前作のネタがちょこちょこ出て来たのも、
楽しかった。
ロマンス専門の古書店の店員になるきっかけ、
女店主との(部外者には)禅問答のような会話が面白かったし。
それと、小豆相場で大儲けするような叔母が一家にひとりほしい、
と刑事さんが言っていたが、それには賛成。 -
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若竹七海の葉崎市シリーズ第一弾。ジャンルとしては「コージーミステリ」というものらしい。でもこれホントにコージーなの?喫茶店や古書店を舞台に、悩みを抱えた客の謎を、店主のお婆ちゃんや若い女性が解いていくものではなかったの?
作者本人がカッパノベルズの初版でコージーミステリを説明しているらしい(「解説」より)。
‥‥小さな町を舞台とし、主として誰が犯人かという謎をメインにした、暴力行為の比較的少ない、後味の良いミステリ‥‥これが「コージー」らしい。更にこの作品を説明して「重苦しい情念の世界も、鬼面人を驚かす類の大トリックもありません」と断ったうえで「舞台は海沿いの閑静な住宅地」で、「それぞれ一癖ありそうな住民たちが、ご近所に降って湧いた謎の死体に右往左往する、犯人さがしのミステリ」と説いている。
この定義は若竹七海さんの視点で語っているので、眉唾です。殺人死体は2体登場するし、決して後味の良い感動作でもない。ラストエピソードまで読むと、なかなか「黒い情念」もある。しかも私はこのトリックに辿り着けなかった。もっとも、ほとんどのミステリでは辿り着けないんだけど‥‥。因みに「深夜の散歩」をして午前三時まで読みきれなかったからと言って、ラストの種明かしを先に読むようなことは私はしません。
それでも、
10軒の住宅の住民の、特に女性から発せられる辛辣な言葉の数々
双子の麻矢と亜矢が無邪気に悪意を持って2人交互に喋りながら重要証言をする、見事な仕掛け
刑事の聴き取り、レストランで住人同士の会話、密かに行われる密謀、共犯者?アリバイ?被害者の正体?そして意外な犯人‥‥
やはり徹夜してでも一気に読むべきだった。
諦めて睡眠は取ったのだけど、
時々仕事に支障をきたしてしまった。
葉村晶シリーズにちょくちょく出てくる作家・角田港大が重要な役割を持って登場していた。更には葉村らしき人物がたった1行だけ登場する(台詞も作品への影響もなし)。よってレビュー界隈ではその話題で持ちきりという、まぁありがちなサービスもある。
10月初めの台風の日から始まる3日間を中心にしたミステリ。決して季節を狙ったわけではありません。年間10冊は若竹七海を読もうシリーズの7冊目。 -
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「葉崎市シリーズ」の2冊目。
今度は、前作でも当地の名家として紹介されていた前田家を巡る騒動の顛末。
海岸で発見された溺死体に行方不明になっている前田家の御曹司・秀春の可能性が浮上。
かつて秀春の失踪事件を担当した駒持警部補が過去のお家騒動をなぞりながら五木原巡査部長とともに捜査にあたる。
秀春を巡って、紅子に満知子に初穂に結衣にしのぶに麻衣、居並ぶ女性陣は皆、いわくあり。
とは言え、前田家の人々のみならず、葉崎FMのメンバー、東銀座商店街の面々、そしてトラブルに見舞われ続ける相澤真琴など登場人物は皆、なんとなく憎めない感じの人ばかりで、筋書きはとても面妖な話なのだが、それを感じさせない軽やかな語り口でどんどん読ます。
途中で挟まれるロマンス小説カルトクイズ(?)やプチ蘊蓄も嬉し。
方々に撒かれた伏線がきちんと回収された巧みな収束を改めて行きつ戻りつで確認するのもまた楽しいが、そこで単純には終わらない最後の10ページ。
今回もまた、警察の捜査では暴くことが出来ない腹の中の一物がごちられたラストに、本当によく練られているなぁと感心した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本筋(ミステリー)以外の話で恐縮だが、主人公・葉村晶が非常に魅力的。
物語の始まりは廃屋でカビ臭い蔵書の取り出し、遺品整理。
晶が押入れの多量の蔵書を運び出そうとした瞬間、腐食した床を踏み抜き、下水まみれの床下に落下し、骸骨に頭をぷつけながら気絶し骨と肺をやられてしまう。
意識を取り戻すとそこは病院で、結局、同室の患者から調査依頼を受けるハメに。
満身創痍で始まり、周りの人や警察から雑多な扱いを受けたり疎んじられたりする。
踏んだり蹴ったり、そして厄介ごとが重なってくる毎日なのに、晶はめげない。
晶の魅力は、肉体、精神の強さというより、ひたすら愚直に、時々は間違いもしながら、前に進む力。それも孤独であるのに。
愚痴りながら、感情を時には爆発させながら、時にはギリギリで踏み止まりながら、というのも非常に共感を覚えて楽しい。
僕が、伏線や推理を理解、堪能するにはあと2回くらい読み返す必要があると感じる。
まーちゃんさんの本棚で「依頼人は死んだ」と本作を知り、今回は推理というか、晶の遭遇する事件や、心理を見ていくことで非常に堪能できました。
今後も本棚と感想、参考にさせていただきます。
ありがとうございました。