若竹七海のレビュー一覧
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ネタバレ本筋(ミステリー)以外の話で恐縮だが、主人公・葉村晶が非常に魅力的。
物語の始まりは廃屋でカビ臭い蔵書の取り出し、遺品整理。
晶が押入れの多量の蔵書を運び出そうとした瞬間、腐食した床を踏み抜き、下水まみれの床下に落下し、骸骨に頭をぷつけながら気絶し骨と肺をやられてしまう。
意識を取り戻すとそこは病院で、結局、同室の患者から調査依頼を受けるハメに。
満身創痍で始まり、周りの人や警察から雑多な扱いを受けたり疎んじられたりする。
踏んだり蹴ったり、そして厄介ごとが重なってくる毎日なのに、晶はめげない。
晶の魅力は、肉体、精神の強さというより、ひたすら愚直に、時々は間違いもしながら、前に進 -
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ネタバレ葉村晶シリーズの長編。
女子高生の家出、失踪を調査するなかで、大小さまざまな事件に巻き込まれる晶。
事件をとくためのキーはたくさん出てくるものの、400ページ過ぎるまで(この本は全460ページくらい)カナが言っていた「ゲーム」の真相にかすりもしなかった。
分かってしまえば、こわくて知りたくなかったと思うような真実。
悪いやつらが蔓延るのは、このシリーズのあるあるではあるものの、ここまで人命を軽視するやつらが大量に登場すると、後味悪過ぎた。
そして、登場人物が多すぎた。
2日ほどで一気に読んだものの、途中で「こいつ誰だっけ?」と何度思ったことか…。
女の子達の名前も「美和」「佳奈」「綾子」… -
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これぞ私の好きな気楽で楽しみいっぱいの本だよっていう読み物。
まず章立てのタイトルが、もう、知ってる映画のタイトルのもじりで「これがあれで、あれがこれで」と当てはめて楽しんだ。
そして古書店、しかもロマンス小説専門店が舞台ときた。出るは出るはロマンス小説の数々題名作者。
最初にデュ・モーリアの「レベッカ」が出てきて、おおお!これ何度読み返してもぞくぞくするね。これを出してくれるのは嬉しい!
コージーミステリ(恐ろしい事件が起こっても、それが解決すると再び平穏な、心地よい平凡な日常的な生活に戻っていけるという安心感に支えられたミステリー)とか、ゴシックロマン(若い娘が屋敷を手に入れる話) -
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「葉崎市シリーズ」第2弾。
葉崎署駒持警部補の今回のバディは五木原巡査部長。このコンビもいいわ〜。
仕事を失い、やけくそで泊まった高級ホテルで火事に遭い、海に向かって「バカヤロー」と叫びに来た葉崎市の海岸で死体の第一発見者となった主人公・相澤真琴。その後も店番で入った古書店で泥棒に遭ったり、首を絞められて殺されそうになったりととことんツイてないところがどことなく葉村晶を彷彿とさせる。
その他の登場人物もなかなか個性的で、事件の展開はもちろんのこと、読み出したら止まらない。
タイトルにもなった「古書店アゼリア」がロマンス小説専門の店ということで、海外ロマンス特にゴシックロマンスのカルト的知識 -
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ネタバレ初作家。非常に面白かったが、騙され過ぎた感やその悔しさも少し残った。読み始めたときの文章で星新一が浮かび、読み終えた後、アガサ・クリスティーが残っている。分かりやすい文章だったが僕には理解が難しく、それぞれ何度も読み返した。
「まーちゃんさん」が高評価されていたため手に取り、楽しむことができました。
いい作家にめぐり合わせていただき、ありがとうございました。
①濃紺の悪魔
虚言か真実か、ただの1本のヒモを力いっぱいこんがらがらせた感じ。すごい。
②詩人の死
幸せなはずの詩人の自死。その理由を模索した挙句、答えはラストの光景がすべて。
③たぶん、暑かったから
ラストが恐怖映画のよう。敵を欺く -
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『私は葉村晶という。国籍・日本、性別・女。・・・〈白熊探偵社〉の調査員である。』という冒頭の自己紹介からイメージする通り、GUNアクションもなければ、徒手のアクションもない。にもかかわらず、この躍動感たるや、このスピード感たるや。ハードボイルドな乾いた文体の中に含まれるユーモアが、主人公をチャーミングに活写する。平易な形で張られた伏線の回収も鮮やかだ。
短編集である本作は、7月から12月まで月に1件の事件を解決していく。冒頭の7月と12月の事件は緩やかにつながり、ちょっとした中編のような感覚も楽しめる。さて、このシリーズ、次は何を読もうかと考えるとき、重複買いの無いようにしっかり記録して -
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葉村晶シリーズを読みたくて、第一作から手を出してみた。
葉村晶のお話と、小林警部補のお話。
8編の短編集。
どれも読みやすくて面白い!
大掛かりな推理や謎解きはないけど、スイスイ読んでって、最後に「あ、そういうこと?!」と驚きがある。
一つ一つの話がとても短くて、ダラダラ無駄な記載がないのも好感。
こういうタイプのミステリー、好きです。
小林警部補は、犯人が分かっていて推理していくと言う「古畑任三郎パターン」。
第二話から、小林が自転車に乗って登場してまさに古畑だったな。
小林警部補も気に入ったのですが、若竹さんのwikiを見るとシリーズ化はされていないようだ。小林ではなく、小林の部下の御 -
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のんびりふわふわ楽しめました。人が死んでいるし、天変地異はあるし、それなのに、のんびりふわふわで良いのかな、と思いつつも、のんびりふわふわ楽しめました。
カバーに長編推理小説と書いてあります。その通りです。しかし、ちょっと長いかなあ?と思いました。目次は日付入りなので、それを見ても9日間の出来事です。ちょっと描写がのんびりしているかなあ、でも、それがこの本の良さなんだろうなあ、と思いました。
細かいエピソードをあちらこちらにちりばめながら、最終的な大団円にもっていって、鮮やかにおさめるのはさすがだなあ、と思います。
しかしながら、この本の中での最大の謎は解決されません。登場人物たちには解決した -
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ネタバレシシドカフカさん主演のドラマ、録画したものも少しずつ見ている。イメージはとても合っている。本の葉村晶の方が、もう少しベージュで薄汚れてて、疲れて郊外を歩いていそう。この本だと、糞が混ざっているであろう池の泥水を飲んでしまい肺にまで入っていくようなイガイガした苦しさや、年越しの冷え切ったビル、災害級の雨、のような悪臭や不快感、寒さ冷たさ、大きな音まで自分も感じてしまう気がする。老眼疑いも、すぐに思いつかなかったこともあったけどそれでも、打つ手も打ってる、有能な探偵ぶりも健在だった。カズレーザーさんのお勧めで知り、シリーズ始めから読み始めて最新刊まで追いついた。同年代。これからも読みたい。