若竹七海のレビュー一覧
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ネタバレ葉村晶シリーズの長編。
女子高生の家出、失踪を調査するなかで、大小さまざまな事件に巻き込まれる晶。
事件をとくためのキーはたくさん出てくるものの、400ページ過ぎるまで(この本は全460ページくらい)カナが言っていた「ゲーム」の真相にかすりもしなかった。
分かってしまえば、こわくて知りたくなかったと思うような真実。
悪いやつらが蔓延るのは、このシリーズのあるあるではあるものの、ここまで人命を軽視するやつらが大量に登場すると、後味悪過ぎた。
そして、登場人物が多すぎた。
2日ほどで一気に読んだものの、途中で「こいつ誰だっけ?」と何度思ったことか…。
女の子達の名前も「美和」「佳奈」「綾子」…と、特徴がなさすぎて、一旦とまって、「美和は滝沢の娘」とか思い出しながら読んだ。
この三人の少女は、失踪した状態でしか登場せず、晶と会ったり話したりする場面はない。つまり名前しか登場しない。だから女の子達の個性をつかみにくくて、余計に混乱したなぁ。
タイトルの「悪いうさぎ」。
序盤、女子高生ミチルと晶が、1匹だけ檻に入れられたうさぎをみていたら、係員のおじさんが「こいつは悪いうさぎなんだよ」「足が悪いうさぎ、ね」と一人でウケながら教えてくれた。
その後、奇しくも「悪いうさぎ」と犯人たちに呼ばれ、ターゲットにされかけた晶。
晶は今作では終始足を痛がっていて、まさに「足が悪いうさぎ」になってしまったわけだ。
だから、タイトルの「悪いうさぎ」というのは、カナが残したメッセージである「ゲームに参加する」という謎を解くための大切な鍵だったんだな。
私は、序盤のおじさんの「悪いうさぎ」エピソードでこのタイトルの伏線は回収したものだと思ってしまって、全然、本当愚かなほどに気づかなかった…。 -
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これぞ私の好きな気楽で楽しみいっぱいの本だよっていう読み物。
まず章立てのタイトルが、もう、知ってる映画のタイトルのもじりで「これがあれで、あれがこれで」と当てはめて楽しんだ。
そして古書店、しかもロマンス小説専門店が舞台ときた。出るは出るはロマンス小説の数々題名作者。
最初にデュ・モーリアの「レベッカ」が出てきて、おおお!これ何度読み返してもぞくぞくするね。これを出してくれるのは嬉しい!
コージーミステリ(恐ろしい事件が起こっても、それが解決すると再び平穏な、心地よい平凡な日常的な生活に戻っていけるという安心感に支えられたミステリー)とか、ゴシックロマン(若い娘が屋敷を手に入れる話)とか教えてくれるじゃないの。
なんとなんと古書店の店主前田紅子さんが老婦人。大いに感情移入しちまったね。(もうすっかり紅子さんの口調が乗り移って)
もうひとつおまけ、架空の土地「葉崎半島」「観音市」。どうしたって私のよく知っている神奈川県のあの半島、城ヶ島のある所ね。土地勘があるってもう架空じゃない。くすぐったくなる。だからなさそでありそうな事件と思え、幽霊だって出るうわさが本当にあるのだから現実味がありすぎ。
最後におまけ(本のほうの)で本文中に出てくるロマンス小説の解説がしてある丁寧さ。またまた食指をそそられるじゃないの。
本命のミステリが、どんでん返しが楽しかったのは言うまでも無い。 -
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「葉崎市シリーズ」第2弾。
葉崎署駒持警部補の今回のバディは五木原巡査部長。このコンビもいいわ〜。
仕事を失い、やけくそで泊まった高級ホテルで火事に遭い、海に向かって「バカヤロー」と叫びに来た葉崎市の海岸で死体の第一発見者となった主人公・相澤真琴。その後も店番で入った古書店で泥棒に遭ったり、首を絞められて殺されそうになったりととことんツイてないところがどことなく葉村晶を彷彿とさせる。
その他の登場人物もなかなか個性的で、事件の展開はもちろんのこと、読み出したら止まらない。
タイトルにもなった「古書店アゼリア」がロマンス小説専門の店ということで、海外ロマンス特にゴシックロマンスのカルト的知識が満載。
巻末に置かれた古書店主・紅子によるロマンス小説解説は、葉村晶シリーズの富山店長のミステリ解説と同じ手法でこれまた面白い。
横溝正史ばりの旧家のドロドロをここまで軽く、スピード感あふれる展開で描けるのも若竹七海ならではで、このネタで3人も殺されてコージーミステリになるんだから大したもんだ。
ミステリとしては小さな伏線がしっかり効いて、終盤でそれが見事に回収されていく様は気持ちいい〜の一言。
ゴシックロマンス的なシーンもあったり、若竹ミステリは一筋縄ではいかないのは先刻承知だけど、最後の数ページの事件の真相部分、無垢が持つ残酷なまでの毒などやっぱり面白い。
葉崎市、次はどんな事件が待っているのか、楽しみです。
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『私は葉村晶という。国籍・日本、性別・女。・・・〈白熊探偵社〉の調査員である。』という冒頭の自己紹介からイメージする通り、GUNアクションもなければ、徒手のアクションもない。にもかかわらず、この躍動感たるや、このスピード感たるや。ハードボイルドな乾いた文体の中に含まれるユーモアが、主人公をチャーミングに活写する。平易な形で張られた伏線の回収も鮮やかだ。
短編集である本作は、7月から12月まで月に1件の事件を解決していく。冒頭の7月と12月の事件は緩やかにつながり、ちょっとした中編のような感覚も楽しめる。さて、このシリーズ、次は何を読もうかと考えるとき、重複買いの無いようにしっかり記録しておかないと・・・。 -
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葉村晶シリーズを読みたくて、第一作から手を出してみた。
葉村晶のお話と、小林警部補のお話。
8編の短編集。
どれも読みやすくて面白い!
大掛かりな推理や謎解きはないけど、スイスイ読んでって、最後に「あ、そういうこと?!」と驚きがある。
一つ一つの話がとても短くて、ダラダラ無駄な記載がないのも好感。
こういうタイプのミステリー、好きです。
小林警部補は、犯人が分かっていて推理していくと言う「古畑任三郎パターン」。
第二話から、小林が自転車に乗って登場してまさに古畑だったな。
小林警部補も気に入ったのですが、若竹さんのwikiを見るとシリーズ化はされていないようだ。小林ではなく、小林の部下の御子柴がシリーズものになってるらしい。
それも読んでみようかな。 -
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のんびりふわふわ楽しめました。人が死んでいるし、天変地異はあるし、それなのに、のんびりふわふわで良いのかな、と思いつつも、のんびりふわふわ楽しめました。
カバーに長編推理小説と書いてあります。その通りです。しかし、ちょっと長いかなあ?と思いました。目次は日付入りなので、それを見ても9日間の出来事です。ちょっと描写がのんびりしているかなあ、でも、それがこの本の良さなんだろうなあ、と思いました。
細かいエピソードをあちらこちらにちりばめながら、最終的な大団円にもっていって、鮮やかにおさめるのはさすがだなあ、と思います。
しかしながら、この本の中での最大の謎は解決されません。登場人物たちには解決したことなのでしょうが、読者にはまったく解決を見せません。まあ、そういう手法もありなのか、と思うことにします。
あちこちに張られた伏線の一つ一つを回収しつつも、何というのかな、「おさめるとこにはおさめたけど、詳細は語りません。プライベートなので」と話をされたように感じます。あの二人も怪しげな黒幕も。
全てはこのあとの猫島の復興と繁栄をお楽しみに!ということなのでしょうか。
あまり語られていないDCの活躍を、DCの来し方行く末を知りたく思いました。 -
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ネタバレシシドカフカさん主演のドラマ、録画したものも少しずつ見ている。イメージはとても合っている。本の葉村晶の方が、もう少しベージュで薄汚れてて、疲れて郊外を歩いていそう。この本だと、糞が混ざっているであろう池の泥水を飲んでしまい肺にまで入っていくようなイガイガした苦しさや、年越しの冷え切ったビル、災害級の雨、のような悪臭や不快感、寒さ冷たさ、大きな音まで自分も感じてしまう気がする。老眼疑いも、すぐに思いつかなかったこともあったけどそれでも、打つ手も打ってる、有能な探偵ぶりも健在だった。カズレーザーさんのお勧めで知り、シリーズ始めから読み始めて最新刊まで追いついた。同年代。これからも読みたい。
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ネタバレ葉村晶の5作目。
冒頭の葉村晶の少々情けない日常からの、
事故への、そして被害者のバッグを探す流れは美しいとも言えよう。
ペールブルーに染められたホースヘアーの生地、
べっこう風の持ち手。
同じブルーでそろえた手帖を探すために、
コンビニの飛び込みバイトまでやって、
犯人を追いかける。
同じ「青」好きとしては惹き込まれる話だった。
昔の同僚村木に頼まれた調べ物のせいで、
バイト先の本屋に捜査官たちがあふれかえったのも面白かったが、
ハードボイルド作家の先生になりすました死者が誰だったのか、
の調査も面白かった。
死者の正体が過去の知人だと思い追悼するたびに、生き返る。
それにしても(一部罠もあったが)今回は身近なところから、
依頼が次から次へと舞い込んでいた。
一般の人にも探偵に頼みたいことが、意外にあるものだ。
もし身近に女探偵、葉村晶がいたら
私は何を依頼するのだろうか。 -
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今年初めに彼女(葉村晶)のことを知ってから、ずっと人生を追いかけてきた。そして現代に近づいてきた。2018年8月文庫書き下ろし。物語は、その冬の真っ最中に終わる。2017年秋には、東京オリンピックのことも知っていたし、40代中頃だと言っていた。物語の最後には、吉祥寺の知る人ぞ知るミステリ専門古書店の二階に探偵社を兼ねて住み着くことになった。いよいよ逢いにいけるかもしれない(←いや、ムリだけど)。
「世界で最も不運な探偵」という冠はそのままに、けれども今回の解説子はそのことには触れずに「古今東西の推理小説や、場合によっては映画に関する蘊蓄」を持つ「マニアックな探偵」として紹介している。ちょっと我が意を得たり。物語のキーマン、ヒロトの信頼を勝ち取るきっかけになった会話で、葉村晶は、昔読んだ本でタイトルを思い出さないヒロトに易々古本屋の棚から当該本を渡す。
「夏休みに金貸しが殺されて、緑色のズボンとパン屋が出てくるやつ。警部さんが食べる、焼きたてのクリームパンがうまそうだったんだよなあ」もちろん「罪と罰」じゃない。「カッレくんの冒険」(岩波少年文庫)である。葉村晶によると、「児童ミステリの基本中の基本」らしい。そうなのか?
それと、歳はとってもやはり彼女は自己肯定感が少なくて友だちに優しい。
「わたしが瑠宇さんを傷つけたわけではない。彼女も勝手に傷つき、しかも傷ついたのをわたしに知られて、さらに傷ついていた。何ひとつわたしのせいではなかったが、後味は悪かった」(102p)果たして葉村晶は瑠宇さんの恋のキューピットになれるのか?
それと、現代に近づいてスマホはどんどん高性能になってきたけど、葉村晶の詩的な呟きは健在である。
「引き戸の脇に日本酒メーカーのポスターが貼ってあったが、徳利を差し出している着物姿の女性は三十三回忌を過ぎた魂魄並みに消えかけていた」(188p)
「遊園地は祝祭の上に祝祭を重ね、非日常の上に非日常を乗せて、訪れる人々をめいっぱいもてなそうとしていた」(305p)
例によって、わたしは葉村晶の事件のことは一切語らない。ミステリ好きならば決して裏切らない、と保証しておこう。伏線回収好きな読者も十分満足できる。「錆びた滑車」の文句がまさか此処で出てくるとは!とは思った。タイトルさえ、伏線だったのか!
あと一冊しかない。次回を紐解くまで、いつまで我慢が持つのか。