土方奈美のレビュー一覧
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あのテロ組織のアルカイダにも「出張報告書」があると書かれており、思わず笑ってしまった。2008年に発見された部下に対するメモで、旅費をちょろまかしたり、旅愁書を提出しなかったことが書かれていたとある。著者も述べているが組織を維持するのはどこも大変だ。最もこの組織は地上から消えてくれることを願っているが。
会社と言えば、この前ニュースになったJTBの社員がバスの手配を忘れたことに対する策として手配を依頼した学校に手紙を書いて遠足を中止させようとしたが、結局、小賢しい愚策は発覚してしまい大騒ぎ。会社でも、こんなアバンギャルドなクリエイティブな発想には到底ついて行けない。こういう困ったちゃんがいると会社の株も暴落すると言うものだ。
企業の生き残りにはよくイノベーションが必要とメディアで目にすることが多いが、イノベーションがあるとかえって邪魔な組織もある。その例として著者はアメリカ陸軍とマクドナルドが挙げられている。先に上げたJTBの社員のようなことを思いつかれては規律が守れないし、全世界同一規格(メニューによっては国独自のものもあるが)の店づくりで管理している組織としては迷惑ということか。
仕組みがわかればもっと働きやすくなると書かれている。果たしてそうなるかどうかはこの本を読んだ人がどう生かすかにかかっている。 -
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組織とは、外部環境/原料/資金などのインプットに対して生産物/利益を出すだけのブラックボックスではなく、事業に対しての(それなりに)合理的アプローチであることを説いた本。
基本的にはミニマルな組織であれば、一人の監督者で事業のモニタリングをできるが、事業を大きくするにあたっては管理組織が必要となる。その際に効率性が悪化するため、費用対効果の計測/適合した組織(仕事/職種の目的の定義、インセンティブ、職務階層)の構築が重要となる。当然、事業環境は内部外部とも変化するため不断の変革が必要となり、長期間にわたる唯一の最適解はない。
HPはガレージ時代から家族的経営であったが、事業規模が大きくなるにつれフリーライダーが生まれ、昔の良さを捨てて官僚的規律を設けざるを得なかった。一方そのことでクリエイティビティが失われて現在に至っている。P&Gは、有名な事業部制を生み出し、その後機能性組織をかぶせたマトリックス制度に移行、またグローバル化に伴い、権限を委譲するなど常に変化をしている(が、必ずしも全部うまくいっているわけではなく元に戻したりもしている)。
営利組織ではなくても、インセンティブや仕事の定義と評価は重要である。警察組織では犯罪をどのように定義するかが重要で、窃盗の検挙件数を目標とすると凶悪犯罪は増加しうるし、「窃盗」の定義如何でそれ以下の軽犯罪を助長することにもなりかねない。バプティスト教会では、地区牧師の給与インセンティブが信徒数となっているが、違う教区の同じ信徒を乗り換えさせるほうが異なる教条の信徒を鞍替えさせるよりはるかに容易なため、隣接教区とのゼロサムゲームに陥ってしまう。一方、より大きな教区への牧師の昇進の条件は新信徒の増加なためそこでインセンティブをコントロールできていると思われる。 -
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イノベーションばかりを推奨する社会に待ったをかける論説。
全ての企業戦略は、その戦略が出来た時点での妥当な点であるということを説明していく。
組織には常に利益とコストのトレードオフが存在しており、ある目的が完全に満たされている場合はどこかに致命的な問題が生じている可能性が高いという分析は的を得ていると思う。
どれだけイノベーティブであることを重視したくとも、最低でも組織において命令が伝わる状況は保たなくてはならない。
そもそも規則を守らせることを最上とする組織や部署は必要だと思う。
官僚的な団体に押さえつけられながらでも、適切に改革を起こせるぐらいの能力がない人には静かにしておいてもらった方が安全なので。 -
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軽い内容かと思っていたら、想像以上にしっかりした内容で、読むのに時間がかかりました。
会社や組織のあり方(既存事業存続と新規事業開発のバランスのとり方)を考える上では、かなり参考になる本だと思います。
また、「意外と会社は合理的」なのは、一見、非合理に見えるものでも、その導入過程を追うと、必ず合理性が見えてくる、という意味でとらえればよいと思います。
そもそも、会社に何かを導入するときには、合理的な判断を下した結果としてなので、当然といえば当然ですが、そのことに改めて気付かせてくれる本です。
ただし、合理性があったのは、導入当時のことであって、その後も合理的であり続ける保証はありません。
また、部分的には合理的であっても、全体的な視点からは、非合理な場合もあります。
とはいえ、すべてが合理的で、あらゆるものが調和した組織は、おそらく存在しません。
そういう中で、バランスをとりながら、会社や組織を、よりよい形に向かわせる方法を考える、よいヒントになる本です。 -
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PEファームの雄「ブラックストーン」の設立から現在までを、
プライベート・エクイティ業界およびLBOの歴史とともに、
ブラックストーンと創業者のシュワルツマンを軸に描いている。
バブル~リーマンショックまでの約30年間を、
金融を絶対悪のように描くルポや小説も多い(ほぼ100%)中で、
PEファームを軸とした本書は、非常に新鮮な感じを受けました。
本書にも度々登場する「野蛮な来訪者-RJRナビスコの陥落」の
プロローグでもあり、その後日談として読むこともできるかな…。
金融の知識がある方であれば、非常に興味深く読めると思います。
1つのディールに群がった様々な人々の泥臭い駆け引きが描かれた
「野蛮な来訪者」とは異なり、歴史をトレースしているだけなので、
小説としては、「野蛮な来訪者」の方が面白かったかも…。 -
Posted by ブクログ
恥ずかしながら、プライベートエクイティって何?というレベルで読んだけど、むしろ非常に興味深く読めました。
どうもイメージで「乗っ取り屋」とか、「短期的利ざや稼ぎ」のように勝手に決めつけがちだけど、実際に投資先のうち2年以内に売却されるケースは全体の12%しかないことや、58%のケースでは保有は5年以上に及ぶというから驚きました。
確かにIPOや売却によって利益を得ることが目的ですが、企業の抜本的改革に取り組んだり困難な戦略を実行し体質改善する等、PEが買収することによって企業価値を高めたケースが色々と紹介されていた点も非常に勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
――リーダー個人が結果に影響を与えることもあれば、与えないこともある。
――どのような状況でリーダーによって結果に差が出る可能性が高まるか?
→→「裁量の大きさ」「タイミング」
リーダーが大事、リーダーが全て。無能なリーダーは切り捨て、有能なリーダーを立てればうまくいく。
→これは常識な気がするが、そうでもないとこの本は教えてくれる。
リーダーの影響力は分野や時代によって違うっていう結論なので、まぁそうだよなと思う。
まぁそれでも、リーダーが悪いからうまくいかないとか、私はよく不満を抱えてるので、その意味で優しくなれる気がする。
また、自分の組織が成功しても、リーダー意外の人の貢献の重要性は変わらないと認識。
切れ味はないけど、その分、リアリティある考え方を持てる本です。 -
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すべての職業人に関係する、プロダクト作りのすべて。
LLMやエージェントが普及する世界でも、変わらない本質。
プロダクトをつくり、売り、育てるために必要なことが、恐らく全て書かれている。
プロダクトと言うと、SaaSや実体のある製品を思い浮かべるかもしれないが、それはサービスも含まれる。
その意味で、全ての職業人に関係する。
この本は自己啓発書ではない。
かといって、ノウハウが書かれたビジネス書でもない。
経験を踏まえた反省からなるティップスとその心構えについて書かれている。
これを私が読んですぐに使えるか?と言われれば、そうではない。
経営陣でも創業者でもマネージャーでもないから。
その意味で、読むタイミングが早かった気もする。
しかし、これを読む必要に迫られたときには、この心構えから入るような本を読むのはまどろっこしく思うだろう。
そもそも余裕がないと思う。
その意味で、今余裕のあるときに読んどいて良かったと思う。
私はプロダクトマネージャーだが、LLMとエージェントの普及によって、プロダクトマネージャーはなくなりはしないが、人間なら割と誰でもできるようになると思う。
そんな世界でも、「何を、誰と、何故つくるのか?」という問いはプロダクト作りでなくなることはない。
むしろ重要性は高まるだろう。
そんな世界でも役立つ本だと思う。
最後に、こんな風に仕事に燃えられるのは幸せだろうなと羨ましく思ったし、まだ諦めることもしたくないなと思った。
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読書感想文:ビジョナリー・カンパニーZERO から得た、共同体と成果のつながり
本書『ビジョナリー・カンパニーZERO』をひととおり読んだ後、私は一つの大きな気づきを得た。それは、共同体感覚を持つ私たちが会社やその内部組織で仕事をするとき、時には侃々諤々、喧々囂々となりながらも、大きな成果を出すことができるという、 nouvellesな組織の姿である。そして、そのために内発的な動機付けとして、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスで整えることが必要だと感じた。
組織は戦略以前に設計で決まる
これまで私は、組織の成功は戦略や成果の積み重ねだと考えることが多かった。しかし本書は、偉大で永続的な企業になるためには、まず内発的動機を育む土台をビジョンと価値観で整える必要があると教えてくれた。それまで私にとって戦略が先か成果が先かの議論だったものは、本書によって、そもそも何のために存在し、どう振る舞うかを先に決めることが、結果として大きな成果につながるとわかるようになった。
対立も健全な協働になる
本書を読み進める中で、私は仕事の中で侃々諤々、喧々囂々になっても、共同体感覚と共有されたビジョンがあれば、組織は壊れないだけでなく、大きな成果を生みうるという気づきを得た。それまで対立や感情的な摩擦は避けるべき悪だと考えていたが、本書は同じ目的を共有しているからこそ高溫でぶつかりあえる、健全な協働の現れであると教えてくれた。共同体感覚は、単に仲良くするのではなく、共通の土台があれば対立さえも組織を強くする力になる。
MISSION, VISION, VALUE, PURPOSE は内発的動機づけの仕組み
本書で最も心に響いたのは、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスを単なる理念スローガンではなく、組織の成員が自発的に動きたくなるための内発的動機づけの仕組みとして捉え直した点である。それまで私は、理念は掲げればよいもの、という軽い考えを持っていた。しかし本書は、どう設計すれば、人々が自発的に動きたくなるかという設計原理として提示してくれた。これにより、私は組織のメンバーがなぜ動くのか、なぜついてくるのかの答えを、理念の設計に紐付けることができた。
共同体感覚は経営の原理原則とセットで機能する
本書を読みながら、私は共同体感覚はただ仲良くするものではなく、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスという原理原則とセットになったとき、組織の土台として機能すると気づいた。これは、アドラー的な共同体感覚を、経営の文脈で実用的に解釈した点で、非常に主体的な気づきとなった。共同体感覚は、経営の原理原則と結びついてこそ、組織の意思決定と協働を支える力になる。
本書は私の在り方にも問いを投げかけている
最後に、「共同体感覚を持つ私たちが」と私が複数形で語った点から、本書は組織論であると同時に、自分自身もその共同体の一員としてどう振る舞うかという問いかけとして読まれたと感じた。本書は組織をどう設計するかだけでなく、自分自身が共同体の一員として、どう対話し、どう貢献するかを同時に問うていると気づいた。これは、本書が意図している原理と設計を、自分の経験と価値観と結びつけて再構成した、主体的な気づきである。
まとめ
本書から得た最大の気づきは、共同体感覚を持ち、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスで内発的動機づけを設計した組織は、喧々囂々になっても大きな成果を出せるという、経営と人間味の両面を統合した視点である。この視点は、本書が提示する原理と設計を、私の経験と価値観と結びつけて再構成した、主体的な気づきである。