土方奈美のレビュー一覧
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下巻はレオナルド・ダ・ヴィンチの後半生にどのような活動をしていたかが主に著されています。驚くのは、彼の好奇心旺盛な研究欲です。解剖学や天文学、自然科学など様々な研究を行っていたのはよく知られていますが、この成果を公に発表すれば、彼はさらに大きな名声を得ることになったはずですが、彼は時間が十分にあったにもかかわらず発表しなかった。自分の知的好奇心を満たすことが何よりも重要だったのです。彼の研究の成果を著したレスター手稿というノートがありますが、それは、現在はマイクロソフト創業者の資産家であるビル・ゲイツのもとにあるらしいのですが、一度肉眼で見てみたいものです。尤も、イタリア語の鏡文字は読めませんが。
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ネタバレ読むのには時間が少しかかったが、具体例が多数取り上げられており、大変わかりやすくかつ専門性が高い内容で満足度が高かった。
以下は個人メモとして印象に残った内容をかいつまんで記載している。
・ある一定レベルで成長が止まってしまう人と成長し続ける人の違いが「目的のある練習」を意識できているか否か。
・限界的練習をする際には、細部に至るまでの心的イメージ(どういう状態になりたいか)を持つことが重要。
・もちろん練習に時間を多くかけることは大前提必要。短時間でプロフェッショナルになるという方法ではない。
・知識ではなく実践。ロープレ、ディスカッションなどインタラクティブな要素を取り込む設計が大切。
・導者が見つからないときは3つのFを意識。フォーカス(集中)、フィードバック、フィックス。
・各分野における最先端の人は「自力で上達していく能力」に長けている。常に心的イメージに磨きをかけ、自身のパフォーマンスをモニタリングして改善点に気付き、そことのギャップを埋める取り組みをする
・子供に何かを習わせる時最初の半年とかは体格差やIQの高さで差が出るがそれはいずれ埋まる。最初が良いからとチヤホヤされることもあるが限界的練習を継続的に行うことでいずれ追い抜くことは可能 -
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レオナルド・ダ・ヴィンチの人物像よりも、その生涯に於いて素晴らしい作品を残したその技法はどのように身に着けたのかを詳らかにした一冊です。「モナリザ」などの名作を生みだした技法は、ダビンチの飽くなき探求心によって得られた科学的知識、解剖学的知識などに基づきます。本書では、どのようにダビンチが膨大な知識を身に着けていったのかがダビンチが残したメモなどから詳細に著されています。
私は以前からダビンチは、発明家というよりは、優れた画家というイメージがありましたが、本書を読んでも彼の発明品は実現しなかったものが多く、従前から持っていた彼の芸術家というイメージがあまり変わることはありませんでした。
下巻では、傑作「最後の晩餐」の作成に触れている様なので期待です。 -
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10年ほど前だろうか、GRITについての本を読んで知性は一義的ではない、後天的に伸ばせる能力というものもあるのだという救いを得た記憶がある。最近だと、ネガティブ・ケイパビリティもよく聞くワードだ。昨今IQだけでは測れない人間の能力への関心の高まりがうかがえる。
著者は、知性という概念を複数の側面から捉え直す。IQで計測される一般知能信奉への警鐘を鳴らす。なぜ知性が高い人たちが重大な過ちを犯すのか、なぜ信ぴょう性のない似非科学などに傾倒してしまうのかを解明する。
小学生の子どもを持つ身として、「硬直マインドセット」と「なめらかなマインドセット」の話に非常に共鳴した。生来備えている好奇心を維持・発展させるきっかけとして、一番身近な親が好奇心を体現していくことで伝播すると本書では説明される。年齢を重ねるにつれてコンフォート・ゾーンの居心地の良さに慣れてしまっている。そのような状態を疑う意識を持とう、子どもの興味関心を敏感に感じ取れる心の余裕を持とう、と強く思う。
本書は一般知能の重要性を軽視しているわけではない。
IQとは別の要素にも重要性があることを示しているのだ。一般知能は先天的なものに対し、本書で述べられている知性は今からでも伸ばすことができる。自分の可能性を信じる勇気をもらえると同時に、子どもの能力をIQだけで測らなくてもよいのだと、親である私を少し楽にしてくれる一冊だった。 -
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この本を手に取ったきっかけは、実体験に基づく疑問だった。以前勤めていた会社には、国内TOP5に入る偏差値を誇る大学卒男性と、有名コンサル出身の所謂エリート女性の2人がいた。仕事のあらゆる場面で彼らの頭の良さを感じた。僕が数日かけて作った企画や資料の欠点や懸念事項をその場で指摘し、僕がエクセルを使わないとできない複雑な計算をスラスラとやってのける。まさにエリートだ。
だが、有名大学卒のエリート男性は、社内の女性に誰彼構わず個別チャットでセクハラに近いアプローチを行なっていた。コンサル出身女性は、当日の深夜2時のMTGを設定し、出ないなら減給すると部下を脅して裁判沙汰になりかけた。とんでもないパワハラだ。
彼らはどう考えても僕含め一般人より頭が良い。それなのにどうして、誰もが結果が予想できるバカな真似をするのか。その答えはこの本にあった。彼らは合理性障害だ。
セクハラ男は仕事の相談を口実に、金曜日の夜に女性たちを薄暗いレストランのディナーに誘っていた(実際に女性から相談を受けてお店のURLも教えてもらった)。彼の口実は、自分の本心すら誤魔化してしまった。
パワハラ女性は「仕事なら当然」と悪びれる様子もなかった(訴訟寸前までいったところで労務が次の職探しまで給料を出すからと手打ちにしてもらったらしい)。
彼らは自分の頭の良さに、行動に絶対の自信を持っている。だからこそ、間違った方向にも全力で進んでしまうし、その理由をつけるのも誰よりも上手い。
パワハラもセクハラも上司から部下という構図が多い、つまりそれを行うのは会社で能力があると評価されている人たちだ。
そもそも頭の良さという言葉が曖昧だし、人間の能力はひとつの指標では測れないという、考えてみれば当たり前だが現代社会では忘れがちなことに 気づかさてくれる本だ。
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ひとまず言えることは、
“知性”という言葉はあまりにも多くの概念を含んでいる(と多くの人に思われて使用されている)し、
“知性”の正確なパラメータを測ることができた事例は、有史以来ない、ということ。
血筋や生まれた土地で人生の大半が決定してしまうことが嫌になった人類は学歴という選別材料を生み出した。
学歴社会の中では“知性”の大きな要素として学力を考える。
学問ができること=知性がある、なのか。
多くのことを記憶できれば知性があると言えるのか。
後半は組織論の話になるのだけれど、
個人的には知的な人間が集まった組織は存在しても、
知的な組織は存在しないと思っているので、
この文脈で語ることなのかは疑問だった。 -
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これは面白い。一流の科学者が書く文章だけあって、事実に基づいた冷静な筆致である。翻訳も良い。おかげで世の中にあふれるアンチエイジングのインチキがよく見えてきた。たまたまYoutubeでサーチュインを喧伝する動画が流れてきたが、この本を読むとすでにオワコン理論なのに古い知識をナイーブに信じている人がこんなにも多いのかと愕然とした。
不思議なもので死を恐れる気持ちは年齢を経るとともに薄れてきた。平均寿命を超えて現実に死が見えてきたら気持ちが変わるのかも知れないが、妻に先立たれて一日何をするでもなく所在なさげな高齢の父を見ていると、少なくとも今は長生きするのも苦痛に見える。 -
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アメリカの映画監督、オリバー・ストーン氏がプーチン大統領にインタビューするテレビシリーズが書き起こされて書籍化されたもの。ストーン監督は3回モスクワに行き、何日にも渡ってあらゆるテーマでプーチンから本音・説明を聞き出そうとする。インタビューが行われたのは2018年ごろだから、コロナやウクライナ戦争の前である。
ストーン監督はそもそもかなりリベラルな考えを持っている。それでももちろん中立な立場を意識してインタビューしている。彼は自身がベトナム戦争に従軍した経験や、ロシアに亡命したスノーデン氏を題材にした映画を作っている。
本書を読んでつくづく自分は、西側視点のメディアに影響を受けていたことを実感した。入ってくる知識はアメリカ的正義に偏りがちで、確かにロシアの言い分を公平に伝える報道はほとんどない。
プーチン氏の受け答え(主張)は一貫していて論理的である。過去の国際関係の経緯を把握していて、アメリカやNATOのやり方の批判はするが、本当は周辺国と協力してやっていきたいという意図がはっきりとわかる。また、今後どうすべきかというアイデアが明快である。
現在もウクライナ戦争で双方言い分があるとは思うが、どうしてもロシアは悪、敵、ウクライナかわいそう、という世論に導かれがちである。もちろんロシアの主張を鵜呑みにすることはできないが、彼らの行動や思想の背景を理解するのにとても役立つ書籍だ。ちょっと難しいが、一読の価値はある。 -
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偉大な企業は、偉大になる前から偉大になる準備ができていた。
世界的ベストセラー『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの原点にして最新刊。かつて中小零細企業だった企業がいかにして偉大な企業へと成長していったか、その特徴をリーダーシップ、ビジョン、戦略、イノベーションなどの観点から体系的にまとめた一冊です。
ビジョナリー・カンパニーシリーズは過去作も読んできていて、大好きなビジネス書です。以前の作品で心に残っている「時を告げるのではなく、時計を作る」というフレーズや、「適切な人をバスに乗せる」という比喩表現は非常に腹落ちしやすく、今後の組織運営においても重要な指針になると思っています。今作は大企業の分析ではなく、その大企業もかつては中小零細企業だったという部分に着目しており、どのように成長を遂げていったかがまとめられています。納得できる内容が多く、非常に良書です。偉大な企業は偉大になる前から、そのための準備が整っていたという記述を読み、今やっていることは決して間違っていないという確信を持たせてもらいました。迷った時にまた手に取りたいと思える一冊です。