土方奈美のレビュー一覧
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「今まで得た資産のことは問わない。だから今後、政治には口を
出すな」とオリガルヒ(新興財閥)を集めた円卓会議で凄みを利かせ、
未払い賃金の支払いに同意する書類になかなかサインをしない
オリガルヒに「君のサインがまだのようだが?」と脅してサインさせ、
野党が提出した文書を目の前でビリビリにする。
かと思えば、楽しそうにワンコと戯れ、どこかぎこちないけどピアノを
弾いてみせ、テニスや乗馬や釣りをしている姿を公開し、バイカー・
ギャングを従えて大型バイクで夜の街を疾走する。
突然、ロシアのトップになってから色んな顔を見せて私を魅了する
プーチン大統領。本書は映画監督オリバー・ストーンが断続手に
ロシアを訪問してプーチン大統領にインタビューしたドキュメンタリー
の書籍版。
先日、BSで放送があったので録画して少し見た。毎年恒例の「プーチン
さんが国民の質問になんでも答えてくれるよ」(こんな名称ではない)
というテレビ放送でもそうなのだが、この人は本当にメモを見ずに
日付やら数字やらがスラスラと口から出て来るんだよな。
ドキュメンタリーは昨年アメリカで放送された後、「ロシアのプロパ
ガンダだ」との批判が多かったようだ。しかし、プーチンが語る内容
は同じ事象でもロシアの立場から見た分析になっているのだろう。
私はアメリカの行動がすべて正しいとは思わない。どちらかと言えば
アメリカには批判的だと思う。なので、ロシアの立場(プーチンの
思想?)から世界を見るとのオリバー・ストーンの手法は面白かった。
ソ連が崩壊し、何もかもがガタガタになったロシアを立て直したのは
プーチンの功績だと思うし、「強いロシア」を再建し国内に希望を
与えたのも彼だった。
それでも、本書でプーチンが語っているすべてを鵜呑みには出来ない。
誰だって自分を、自国を正当化したい。それはプーチンだって同じだ
ろうと感じた。
そして、彼はあまりにも長く権力の座に留まり過ぎてしまったのでは
ないかとも思う。
今月、ロシアでは大統領選挙が行われる。やっぱりプーチン続投と
なるのだろうな…って感じだ。
閣下、辞め時を見誤なってないだろうか。まぁ、表舞台からプーチン
閣下が姿を消したら、それはそれで寂しいのだが。
西側(アジアではない)の視点に偏りがちな日本だからこそ、本書は
違った視点で世界を見る参考になった。
尚、4月にはドキュメンタリーのDVDが発売される模様。クレムリン
内の映像とかあるんだよな。買うか…。 -
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主にテクノロジーが関わる未来予想をどう構築するか?
著者はユダヤ系の日本通だが、それは直接はこの内容とは関係はない。
最先端でも周縁部でもあるテクノロジーの限界を試している人たちがいる。それらの動向がトレンドになるか?を判別するために、関係する研究、関係者、テクノロジーをリストアップし結びつける。その際にCipherという基準を使う。Contradiction, inflection, Practice、Hack, Extreme, Rarityという観点から行う。例えばウーバーは不景気とスマホの圧倒的普及という矛盾あるいはタクシーの限定的な免許数と利用者数という矛盾あるいは慣行(規制)、スマホ普及によるあらゆる人の常時ネットワーク接続状況という変局点、決済不要(スマホ経由)という改善点(hack)、ユニークなアイディアと利便性の高いシステムという完成度を誇り、他のシェアモデルとは異なると思われる。
またそれらのテクノロジーがどうなるかを考えるため、数ヶ月、1年、数年、10年、数十年単位でどういうシナリオが描けるか、内性的外生的要因を考える。 -
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アメリカ人のみならず、立候補表明時には誰もが泡沫候補だと思った
ことだろう。立候補した本人以外は。
ドナルド・トランプである。アメリカ人の大富豪は、並み居る共和党候補者
を次々と撤退に追い込み、民主党のヒラリー・クリントンとアメリカ大統領
というVIP中のVIPの座を目指している。
私にしては珍しく旬の読書なのである。だって、大統領選前に何故、彼が
多くの批判を受けるのと同じくらいに、多くの支持を得ているのかを知り
たかったのだもの。
しかも、調査報道は得意中の得意の「ワシントン・ポスト」取材班。これは
読み逃すわけにはいかないでしょう。トランプ自身も取材班のインタビュー
に応えているっていうしさ。
先般、ヒラリー・クリントンとのテレビ討論会で司会者から「選挙の結果を
受け入れるか」と問われて、頑なに「自分が買った場合は受け入れる」と
繰り返していた姿こそ、本書でもトランプ自身が言っている「ドナルド・
トランプは負けたことがない」との現れなんだ。
でも、実際はいっぱい負けているんだけどね。憧れのニューヨークのプラザ
ホテルを買収したはいいが結局は手放す羽目になっているし、手掛けた
カジノは倒産している。自分のことが書かれた記事が気に入らないから
と高額の賠償請求訴訟を起こしても判事に却下されてるし。
でも、本人にしたら「負け」ではないらしい。誰かに似ていると思って考えた
ら、子ブッシュ政権時代の国防長官ラムズフェルドだった。ラムズフェルド
の自伝の感想に「究極のポジティブシンキング」と書いたけれど、トランプ
もまさしくそれ。
あ、偶然にもラムズフェルドのファーストネームも「ドナルド」だったわ。
ラムズフェルドは戦争屋だったけれど、トランプはアジテーターであり、
ショーマンである。
選挙戦では一貫して「ブルーカラーに共感する大富豪」として、国民の
不満のはけ口になるような言葉を連発し共感を呼んでいるものね。
大衆が何を求めているのか。それを嗅ぎ付ける嗅覚は非常に鋭いの
ではないかと思うわ。
しかも、既存の政治家が使う分かり難い言葉ではなく、感情に直接訴え
る分かりやすい言葉ばかりなんだよね。だから、他の候補者の誰よりも
一般の支持を得たのだろうな。
「俺はドナルド・トランプをやっている」
本人にとっては「ドナルド・トランプ」自身が既にブランドなのである。だから、
メディアを批判しながらもメディアに出続け、詐欺まがいの行為と恫喝で
イメージを守り抜く。
実際、トランプの純資産がどれくらいあるのかは不明だそうだ。本人のその
時々の「感覚」で資産額が変動するらしい。純資産は本当のところ、どれ
くらいあるんだろうな。
「アメリカは選挙を注視して私を大統領にするべきだ」なんて発言もあった
けれど、もし、まかり間違ってトランプが大統領になったら大統領専用機で
あるエアフォース・ワンの尾翼に「T」とか書いちゃうんじゃないのか。ホワ
イトハウスは「トランプハウス」に名称変更して、挙句には国名まで「ユナ
イテッド・ステイツ・オブ・アメリカ」から「ユナイテッド・ステイツ・オブ・トラ
ンプ」にして国からライセンス料を踏んだくろうとするかもしれん。
アメリカ大統領候補を様々な方面から描いた優れた評伝である。この膨大
な仕事を僅か3か月で仕上げた「ワシントン・ポスト」取材班に敬意を。
そして、間近に迫った大統領選挙の結果が楽しみである。トランプが負け
たらきっと「不正選挙だ」ってまたひと騒動なんだろうけれどね。 -
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不条理に見える組織というものの実態に不満を抱く従業員は少なくない。だらだら続く会議、現場をわかっていない管理職など。組織というもののシステムに幻滅し、背を向ける前にどうしてそうなっているかという考察はやってみる価値はある。その意味でテーマ&視点としてはとても面白い本と思う。
リーダーの役割とは何か。それは明文化できない、組織の方向性を決定する事であったりルールではない文化を醸成する事にある。その為一見非効率な会議に出席する必要がある。CEOの仕事はあえて会議を通じて情報を集め、メッセージを発信する。
またピラミッド型のヒエラルキー組織ではトップに行くにつれて現場の情報が失われていく。
仕事をチーム制にするか組み立てライン化にするかという議論もある。組織や時代によって差異はあるだろうがこういったのも一長一短がある。チーム制にすると全体性の生産性は上がるかもしれない。だが成果にフリーライドするものがある為インセンティブ設計(評価)は難しい。じゃあ組み立てライン化がいいかというとイレギュラーなトラブルが起こった時にカバーしにくい、なにより部門を超えたチームプレーがないと成り立たない組織もある(例:警察組織)
その為にインセンティブ設計というものは大事である。何より名人の技というのは得てして目立たないもの。自律的組織において評価に不満があるというのはある意味健全だという事まで著書では言っている。
賃金を上げるという事はどういう事なのか。会社側から見ると賃金を上げるという事は堕落を防ぐ為に監視を強化する必要であり、組織の肥大化に繋がる(トレードオフ)
管理職と従業員の間の軋轢が絶えないのは何故か?
理由①人は能力の限界まで出世する
理由②管理職は会社のソフト実態を把握するという極めて不愉快で効率の悪い仕事を引き受けなくてはいけない→作業者より管理職の方が重要(ペンシルベニア大学のイーサン・モリックが行った管理者と作業者の相対比較の研究)
中央集権化とイノベーションは矛盾する。規律や指示への服従を重んじる一方で創造性と想像力を育てる方法を模索している。(例:軍隊、マクドナルド)
又組織の変革にはコストとメリットが存在する。ペーパーレス、サードスペースについても議論の余地はある。 -
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[架空の実金]ある者はインターネット以来の最大の発明と賞賛し,またある者はいかがわしいシステムとして懐疑の眼差しを送る貨幣通貨。その中でも代表的なビットコインとその初期の参画者に焦点を当て,ドキュメント風に貨幣通貨の実体化までを綴った作品です。著者は,ニューヨーク・タイムズ紙の記者として活躍するナサニエル・ポッパー。訳者は,日本経済新聞の記者を務めた後に独立した土方奈美。原題は,『Digital Gold: Bitcoin and the Inside Story of the Misfits and Millionaires Trying to Reinvent Money』。
本書から受けたビットコインに対する第一にして最大の印象は「矛盾溢れる秩序」。構想者が思いも寄らなかったジェットコースターのような道筋をたどりながら,今日の貨幣通貨が発展を続けてきている状況が非常によく理解できる一冊です。一本道で示される「発明」の歴史というよりは,予想外が連なる「突然変化」の歴史と言った方が近いでしょうか。
〜ビットコインは世界のさらなるバーチャル化と分断化を促すようなプロジェクトであるにもかかわらず,現実世界において世の中を変えようという共通の目的意識に突き動かされ,ともに活動する人々のコミュニティを生みだしていた。〜
これはアタリ☆5つ -
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自分の人生を生き抜くための永遠の課題と捉えている、物事を予測すること。
この問いに対し、心理学的な側面、資質、予測のプロセスについて、実際に米国で研究・検証したケーススタディをベースに、種々解説しております。
巻末に、超予測者になるための心得として、10箇条の要約が明記されております。
心理学的側面では、社会心理学や行動経済学でも登場する、バイアス・ヒューリスティックなど、客観的な視点を歪ませる人の心理が丁寧に解説されてます。
予測のプロセスにおいては、やはりというか緻密で且つ客観性を保持することの重要性を主張しております。「永遠のベータ」であれといういい響きの言葉をいただきました。
なお、様々に集めた情報を「シンセシス(統合)」することの重要性を感じました。この部分が、予測(結論)する上で、最も重要で且つ必須スキルであると思います。
予測に関する書籍を読み漁っていますが、ここの部分について、詳細に綴られているものはなく、ここが形式知化できないコアな部分であると、あらためて感じた次第です。
翻訳書特有の米国人の言い回しの分かり難さで、-0.5点です。 -
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新聞、雑誌、テレビなどで様々な予測を目にすることは多く、中には、株式投資のように、その予測に影響を受けた行動をとる人もいることだろう。しかし、そのような予測は、プロ野球の順位予想など一部を除けば、その当否が検証されることはあまりない。
本書は、予測を検証する方法論、優れた予測を行う人の存在、そうした超予測者が行う予測の方法などについての著者の研究成果が紹介されている。こうして見ると、かなりマニアックな内容のようにも見えるが、実際には、エビデンスベースの医療が導入されるまでの歴史とか、予測の失敗例と成功例として取り上げられたケネディ時代のキューバ問題とか、このような予測問題に対して批判的なブラックスワンの著者の意見など、幅広い事象が取り上げられていて、非常に刺激的であった。
本書を読んだからといって、自分が超予測者になれるとは思えないが、ここで紹介された色々な物の見方はいかにも有用そうで、今後、なるべく生かしていきたいと思わせるものがあった。
一つ気になったのは、様々な面でタブーを物ともしないような鋭い切り口の著者であるが、第二次大戦を戦ったドイツ国防軍のシステムや思考方法を賞賛した後で、これについて弁明めいた追記をしているところ。アメリカでは、今も、ヒトラー政権下のドイツ軍に関することを賞賛するのは、よほど政治的に正しくないことなのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[監督,脚本,主演,大統領]先日のアメリカ大統領選で革命的とも言える勝利を収めたドナルド・トランプ次期大統領。その生い立ちから,共和党全国大会における大統領選候補の指名受諾までを追ったワシントン・ポスト取材班による力作です。計20人以上の記者を投入し,謎とブランドによるヴェールに包まれた次期米国大統領の生涯と世界観を明らかにしていきます。訳者は,野中香方子,池村千秋ら5名の翻訳家。原題は,『Trump Revealed: An American Journey of Ambition, Ego, Money and Power』。
2016年を飾る人物を評した2016年を飾る1冊。「不動産王」と紹介されることの多いトランプ氏ですが,本書を読むとそれは一側面に過ぎず,捉えきれないほど多様な顔を有することがわかります。語弊を恐れずに本書から浮かび上がってくるトランプ氏を簡潔に表現しようとすれば,「自ら暴風を起こすことのできる目利き風見白頭鷲」といったところでしょうか。
〜自分の職業について,彼はぶっきらぼうにこう述べている。「俺はドナルド・トランプをやっている」〜
トランプ氏自身は本書を「退屈だ」と(高く?)評価したようです☆5つ