あらすじ
IQが高い人、有名大学を卒業している人、ナレッジワーカーの中にも、愚かな誤りを犯す人がたくさんいます。優秀で高い教育を受けた人ほど陥る「知性の罠」とは……。
◇IQが高いほど、投資の判断力が低く、破産しやすい
◇脳の仕組みからわかる「超有名大卒の人が、自己弁護ばかりする理由」
◇高い教育を受けた人ほど、陰謀論にハマって抜け出せない
◇野球では成功するスター軍団方式。企業がマネすると失敗する
◇大学進学試験の点数が高いのに、合理的に考えられない人が多数いる
心理学や認知科学の研究から「本当の知性」とは何かを解説。
どういう姿勢で考えて、どういう角度から学べば真に賢く生きられるのか、その秘訣をご紹介します。
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Posted by ブクログ
この本の主題からは少しズレるが、以前から優秀な人とそうでない人って何が違うんだろうと不思議に思っていた。以前勤めていた会社はかつて名門と言われただけあって、同期にも部下にも一流大学を卒業した飛び切り頭の良い(はずの)人が多かった。ところがいざ仕事をさせてみると全く使えない、ということが珍しくなかった。仕事の進め方はデタラメだし 報告も要領を得ない。
この本を読んで、その理由の一端が分かった気がした。入試で測定される能力(分析的知能と記憶力)は知能の一部でしかなく、仕事に要求される知性はそれよりずっと幅が広い。加えて本人の学ぶ意欲(好奇心)によって、その後の成長に差がついてくる。確かに言われてみれば そんな気もする。
とにかくいろんな気付きがある興味深い内容だった。
Posted by ブクログ
現代版「失敗の本質」という感じ。
数々のテストや事例を踏まえると、自分は境界線に立っているなと思った。知的謙虚さ、オープンマインドは常に生活に組み込んでおきたいところ。
Posted by ブクログ
大変有益かつ痛快で面白い一冊!
自分の中で持っていた「賢さ」の定義や概念が大きく変わっちゃいました。
本書の冒頭に出てくる、とある人物。
この男は、エイズの原因がHIVであることや、フロンガスがオゾン層を破壊することを「科学的根拠がゼロあるいはほとんどない」ことの例として挙げ、ETや占星術を信じ込むような人物です。
どう考えても知識も常識もない奴だと思われるかもしれませんが、実は彼はノーベル化学賞を受賞した人物なのです。
それなのに、なぜ彼はこんな愚かな判断をしてしまうのか?
そこが本書の大きなテーマであり、高いIQや専門知識が、必ずしも優れた判断や意志決定につながるわけではない、ということを、表題のとおり「Intelligence Trap(知性の罠)」として解き明かしていきます。
賢さを考える上においては、IQなどの一般的知能だけではなく、知的謙虚さなどの思考スタイルも必要なのです。
賢いと言われる人は、それ故に自分の誤った考え方すら正当化し、その考えに固執してしまう恐れがあります。
「知性の罠」にはまらぬよう、謙虚に物事を考えていきたいものです。
Posted by ブクログ
手に取ったきっかけは最初の問題を見て間違えたことだった。自分にとってとてもタメになる本だった。
知的謙虚さと内省という言葉が印象に残っている。
本書で学んだことは仕事で活かすことができるし、自分の成長につながるものだった。
そもそも賢さとは何なのか。考え直すいい機会だった。
Posted by ブクログ
「自分が自信を持っていることでも、一度立ち止まって考え直してみよう」と語りかけてくれたと思う。人は思い込みが強い。自分はそうだ。そして他人もまた同じように思い込みを抱えているはずだ。
同じような思い込みを持つ者同士が話し合えば、うまくいかないことは容易に想像できる。
だからこそ、自分が一歩引く姿勢が重要だ。
本書は、その必要性を理論的な裏付けとともに教えてくれたように感じる。
Posted by ブクログ
頭が良いというのと、より良く判断できる、というのは、別の能力だというのがよく分かる。どうすればより良く判断できるか、何に気をつければ良いか、を理解することができれば、もっと物事を上手く進められるかも。個人的には、ファインマンの「人生の本当の喜びとは、あらゆる可能性をどこまで広げていけるのか、挑戦しつづけることにある」という言葉に深く共感した。
Posted by ブクログ
身近な人たちにも大企業の経営者にも政治家にも専門家にもご多分に漏れず、合理的ではない判断をしたりバカなんじゃないかと思ってしまったりする人が結構な割合でいる。それは自分にも当てはまる。思想的に偏狭になってきたなーと自分でも思うことしばしばである。
なぜそんなことになるのか?いつも疑問に思っていた。その答えのひとつはバイアスだ。私たちの思考はバイアスで満ちている。そしてそれは個人の問題にとどまらず組織にも及ぶ。
本書はIQが高いのにバカになるのはなぜ?ということから始まり、私たちの判断を鈍らせ組織を不全化する様々なバイアスを説明する。謙虚に人の意見には適切に耳を傾けようと思う。
Posted by ブクログ
知性の罠 なぜインテリが愚行を犯すのか。デビッド・ロブソン先生の著書。知性の高いインテリ高学歴者が愚行を犯す理由を探った一冊。だけれど知性の高いインテリ高学歴者が愚行を犯す確率はそうでない人が愚行を犯す確率とくらべるとずっと低い。知性の高いインテリ高学歴者が愚行を犯すを話題にされやすいから目立つだけ。知性の高いインテリ高学歴者の中で愚行を犯す人は一握り。知性の高いインテリ高学歴者が転落するところを見たい嫉妬まみれの大衆が多いだけなのかな。そうだとしたら悲しくなる。知性の高いインテリ高学歴者を尊敬して応援する社会じゃないと。
Posted by ブクログ
<目次>
第1部 知能の落とし穴~高IQ、教育、専門知識がバカを増幅する
第2部 賢いあなたがきをつけるべきこと
第3部 実りある学習法~「根拠に基づく知恵」が記憶の質を高める
第4部 知性ある組織の作り方
<内容>
昔から言われてきたことだが、賢いヤツほど実はバカ。世界の例がたくさん載っているが、日本でも「オウム真理教」などが最たる例だろう。第2部でそうならないための知恵が、またかゆいところに手が届くように、第4部では個人ではなく、組織になるとバカになる例が載っていて、それへの対処法(こちらが一番難しいかもしれないが)が載っている。頭の良さだけではなく、組織内の人間関係が影響されるからだ。こちらは特に日本がヤバいかも。東日本大震災の際の東京電力などがそうだろう。いつになってもなくならないこうした話。世界どこでもあることだとわかった。
Posted by ブクログ
・分析的知能、創造的知能、実務的知能
IQが測るのは分析的知能のみ
・IQの高い人はアルコール消費量が多かったり、喫煙、ドラッグ経験の傾向
つまり短期的利益と長期的弊害の比較は行われていない
・他者に自分の考えを説明しようと思うと多様な視点で考えがち
・自分のソマティックマーカーに敏感なほど他者の感情にも敏感
アジア系の方にその傾向が多い
・自らの感情を描写できる人はバックグラウンドフィリング…所謂直感…を意識的に捉えられるため、その影響を排除できる可能性が高い
感情の意味をはっきりさせて批判的に分析できる
Posted by ブクログ
1. 「知性」は必ずしも賢明な判断に結びつかない
・高いIQ、教育、専門知識を持つ人が、逆に誤った判断や愚かな決断をすることがある。
・実際に、IQ190以上の天才でも平凡な人生を歩んだり、専門家が陰謀論や非科学的な信念に陥ったりする事例が紹介されている。
2. 主な認知バイアス:「動機づけられた推論(マイサイド・バイアス)」
・知識や知性がある人ほど、自分の信念を正当化するために知能を使いがちで、都合の良い情報だけを選び取る傾向がある。
・専門家には「獲得されたドグマ主義」(acquired dogmatism)や「知識の呪い」が存在し、自分の専門分野以外を過小評価したり、新しい視点を受け入れにくくなることがある。
3. 愚行を避けるための処方箋
・知的謙虚さと思い込みに対する自覚:「自らの知識の限界と不確実さを認識する」姿勢が重要。
・自己の距離化(視点の転換)により、一歩引いた見方を持つことで判断ミスを防ぐ。
・感情の自己認識を高め、感情に判断を支配されないようにすることが大切。
・また、外国語で考えることで論理的思考力が向上し、情緒が介在しづらくなるという工夫も紹介されている。
4. 賢明な思考を育てる学習法(第3部に詳しい)
・「努力に勝る天才なし」という考えのもと、記憶の定着や理解度向上のために「望ましい困難(desirable difficulties)」を取り入れた学習戦略を推奨。
・具体的な方法としては以下のようなものが紹介されている:
-学習を分散して行う
-難易度の高い教材を使い、複数の解き方を考える
-自習後に自分にテストを行う
-同じ場所で学ばない、内容を他者に説明する、複数分野を交えて学ぶ、間違いの原因を分析する など。
5. 知性ある組織の成立(第4部で展開)
・頭の良い人ばかりを集めたチームが必ずしも生産性が高いとは限らず、「天才チームは生産性が低下する」ケースも存在する。
・組織が陥る「機能的愚鈍(functional stupidity)」の問題も論じられており、組織全体で偏った思考に陥ると、衰退や失敗を招く可能性がある。
まとめ:本書の主張を簡潔に言うと…
「単に頭が良いだけでは十分ではない。真の知性とは、自己のバイアスや感情に気づき、謙虚に思考し、他者や異なる視点を積極的に取り入れて学ぶ姿勢にこそ宿る。」
Posted by ブクログ
知性的に見える人がなぜ陰謀論にハマったり、素人でもわかる失敗を犯すのか。いわゆるIQが高い人でも人間の認知の仕組みによって愚かな失敗を犯し、むしろ高い人特有のトラップがある。知性には一般的な意味だけでなくより解像度を上げた複数のベクトルの組み合わせによって構築されているのだと感じた。
Posted by ブクログ
何故IQの高い人が目を疑う様な判断をしてしまうのか?を具体的事例を使って説明した本。
人間の持つ複数のバイアスが必要な情報を勝手つんぼで遮断して貴重なFB情報、機会を逃してやらかしてしまう。色々と考えさせられる内容でした。
改めてIQ、学歴だけで判断するのはやめようと思う。
Posted by ブクログ
書名に惹かれて読んだ。第1部は書名の通り「なぜインテリが愚行を犯すのか」にフォーカスしているが、第2部以降は「マインドフルネス」のような単語に代表される様なビジネス自己啓発書。自己啓発書は苦手だが、面白く読めた。特に第9章「天才ばかりのチームは生産性が下がる」で述べられる、相互依存性の高いバスケットやサッカーのチームでは一流選手の割合が6割を超えるとパフォーマンスは逆に低下する、という現象は非常に興味深い。集団が優れたパフォーマンスを発揮できるかは、私たちが他社と比べて自らの才能をどう認識するかによって決まるらしい。
天才はなぜエセ科学を信じるのか
・教育水準や知能の高さは、自分の政治的、社会的、宗教的アイデンティティと合致する信念を正当化することにしか使われない。「動機づけられた推論」が働くと、反対意見を拒絶するだけでなく、結果として立場がさらに頑なになる。
信念はまず感情的な必然性から生まれ、それがどれほどおかしなものであっても、知識は後付けで正当化する。
・科学者もひとたび自らの専門領域を離れてしまえば、どこにでもいる頑固で理屈の通じない人間に過ぎない。その人並外れて高い知能は、その偏った思考を一層危険なものにするだけである。
・知能が高い人々が愚かな行動に走る3つの主な原因、①人生で起こる問題に対処するために不可欠な、創造的知能や実務的知能が欠けていること②合理性障害があり、偏った直感的判断を下してしまうこと③動機づけられた推論により、自らの立場と矛盾する証拠を否定するために優れた知能を使ってしまうこと。
専門家が判断ミスを犯す根本理由(インテリジェント・トラップ)
・計画を実行したり、自らの行動から悪影響を回避したりするのに不可欠な、「暗黙知」と「反事実的思考」が欠けている。
・「合理性障害」「動機づけられた推論」「認知の死角」を抱え、そのために自らの思考の欠陥に気づかず、いつまでも過ちを正当化する理屈を考え続ける可能性がある。これは入手可能な証拠をすべて検討することなく、自らの信念の周囲に「理屈で固めた小部屋を作る」ことに他ならない。
・「獲得されたドグマチズム」によって、自らの判断に過剰な自信を抱くようになる。それによって自らの限界を認識できなくなり、手に負えない状況に陥る。
・専門知識があるために、凝り固まった考えや身意識の行動をとるようになる。この「専門知識の逆襲」によって大惨事が迫っているという明らかな警告サインが目に入らなくなり、バイアスの影響を受けやすくなる。