【感想・ネタバレ】ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になるのレビュー

あらすじ

世界1000万部超ベストセラーシリーズ『ビジョナリー・カンパニー』の原点で最新刊!

本書『ビジョナリー・カンパニーZERO』は、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズが発行される前の1992年にジム・コリンズが記し、日本語訳されずにいた名著『Beyond Entrepreneurship』の改訂版。まさに、ビジョナリー・カンパニーの原点だ。

◆リード・ヘイスティングスNETFLIX共同創業者兼CEOも大絶賛!
「本書は誰よりもどの本よりも、私のリーダシップを一変させてくれた。10年以上この本を読み返した。起業家なら、86ページ分を暗記せよ」

◆スタートアップや中小企業が「偉大な企業」になるために必要なことを解説

偉大で永続的な企業になるために必要ことを1冊に凝縮してまとめた。誰と一緒に仕事をするか、リーダーシップ・スタイル、戦略、戦術をどうつくるか、パーパスやミッションなどをどう決めて実行するか重要になる。「偉大な企業」とそうでない企業との違い、規模が小さいうちから考えておくべきことなど、時代を超えて重要な内容が理解できる。

◆ジム・コリンズとビル・ラジアーの教えの例

・偉大な企業という目的地があるわけではない。ひたすら成長と改善を積み重ねていく、長く困難で苦しい道のりだ。高みに上り詰めると、新たな課題、リスク、冒険、さらに高い基準を探す。
・企業が追跡すべきもっとも重要な指標は、売上高や利益、資本収益率やキャッシュフローではない。バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合だ。適切な人材を確保できるかにすべてがかかっている。

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Posted by ブクログ

第一章
ビルラジアー
分け与えることとエネルギーの弾み車

ほとんどの人が大胆な野心を遂げられないのは決定的タイミングで全てを捨てて取り組まないから

自分が信頼することで、相手がより信頼に足る人間になる手助けができる
相手を信頼するほうがアップサイドは大きく、ダウンサイドは小さい

素晴らしい人生をもたらすのは人間関係だけ
起業家の成功は何をするかではなく、何者であるかで決まる

お金に振り回されるのではなく、人生の指針となる明確な哲学を持て

人生の成功の真の評価基準は、
どれだけ有意義な人間関係を築くことができたか
自分のコアバリューにどれだけ忠実に生きることができたか
価値観が大事

良く生きるとは、生涯にわたって価値観に改めて視線を合わせ、正しい航路に戻ることを続けること


第六章
できるだけ早いうちから会社のアーキテクチャに偉大さの基礎を埋め込んでおくのがベスト

マップにはインプットとアウトプットがある
インプットは偉大な企業を作る方法
アウトプットは偉大な企業がどのようなものか

第五水準のリーダーシップ
個人的な謙虚さと不屈の精神

企業の成長ペースや偉大さを確保できるかは、適切な人材を確保する能力によって決まる

Andの才能
二項対立を二面性として捉え直す

ビジョナリーカンパニーは、事業の唯一の目的は株主価値を高めることだという考えを拒絶する

ストックデールの逆説
第五水準のリーダーはビジョンや戦略を決定する前に厳しい現実を直視する

キツネ型
世界を複雑なものとして捉え、さまざまなアイデアを追いかける

ハリネズミ型
あらゆる事柄を単一の原則にもとづいて考える

偉大な企業を作るのは、キツネではなくハリネズミ

ハリネズミの概念
①情熱を持って取り組めるもの
②自社が世界一になれる分野
③経済的競争力を強化するもの
→3つの円が重なる部分をしっかり理解することから生まれる

衰退の5段階
成功から生まれる傲慢
規律なき拡大路線
リスクと問題の否認
一発逆転の追求
屈服と凡庸な企業への転落か消滅

パーパスは案内星
BHAG=社運をかけた大きな目標

運の利益率
運に恵まれることが重要なのでなく、恵まれた運をどう活かすか

第二章
何よりも大切で絶対に失敗してはならないのが「最初に人を選ぶ」原則

最高のアイデアを間違った人材に任せると駄作に、間違ったアイデアを最高の人材に与えれば傑作になる

バスの重要な座席のうち、そこがふさわしい人材で埋まっている割合

素晴らしいキャリアを築きたいなら、一番良いのはキャリアのことばかり考えるのをやめること

海兵ブートキャンプの目的
極度のプレッシャーにさらされたときに周囲を助けるより自分を優先するような人材を排除すること

最大限の力を出し切ろうとするのは、仲間を成功させるには自分が成功しなければならないとき

第三章
リーダーらしい人格というものはない
真のリーダーシップは従わない自由があるにもかかわらず、人々がついてくること

リーダーシップはサイエンス(理屈)ではなくアート(技能)
自分自身のためでなく大義のために組織を率いる「あなたの大義はなにか」

もう十分データを集め、分析したと判断するセンスを磨く必要がある

第四章
コアバリューと理念は内側から生まれる
コアバリューは作るものではない
どのような価値観や理念を持つべきか

企業を評価する第一の指標は利益を最大化してるか否かではなく、経済活動のリスクをカバーするのに十分な利益を生み出しているか

パーパスはユニークでなくても良い
社員のモチベを高める要因であって、差別化要因ではない

利益よりもパーパス

ミッションの四類型
目標
共通の敵
ロールモデル
内部変革

目標のベースにあるのは会社の安全
ビジョンを持ったカリスマになることになることでなく、ビジョンある組織をつくることが仕事

もっとも重要なのは会社であり、特定のアイデアではない

第七章
正しい賭けと間違った賭けの違いは実証的有効性
間接的パラノイアの実践

第8章
私たちはストーリーを通じて学習する
すぐに修正できる失敗なんてささいなもの

イノベーティブな企業であり続けるための基本要素
アイデアへの需要力
自分自身の問題を解決する
実験と失敗
クリエイティブな人材
自律性
報酬

それが生まれやすい状況を整えると必ず生まれるのがクリエイティブ

第9章
SMACマインドセット
細部にこだわり、着実で一貫性がある

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつか読もうと思いつつ読めていなかった本、ようやく購入。
偉大な企業をつくるには何が必要か、
最高の人材をあつめることの重要性、効果的なリーダーシップスタイル、ビジョン、戦略、イノーベーティブな組織にするために必要なことと等の様々な視点から実際に企業の事例にも触れながらわかりやすく記載されている
HEART OF LEADERSHIPやTrue North リーダーたちの羅針盤、NO RULESなど最近読んできた本にもつながる内容であったが
一企業の経験に基づく記載ではなく多数の企業を比較分析して辿り着いた結論であるという部分がポイントだと思う。
いわゆる大企業の一社員であっても多くの学びのある良書であり、所属企業や階層によらずおすすめできる一冊だと思う

0
2024年07月12日

Posted by ブクログ

偉大な企業の根底にある共通したものは何か?それは愛情と敬意。社員を信じるから信頼される、困難な基準を設定する、自由な文化を育むことができる。
ビジョナリーカンパニーの5冊の中でこの本が最高傑作だと思う。

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

企業経営に関する豊富な研究事例に基づく教えが凝縮されていて、非常に読みごたえがある本。特に、リーダーシップとイノベーションに関する章は、これからのA I時代における自分自身の仕事の意義を深く考えさせられる内容だった。

0
2023年05月14日

Posted by ブクログ

その指標とはバスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合

経営で1番大切なのは人材。
素晴らしいアイデアを凡庸な人に任せたら凡庸になるが、凡庸なアイデアを素晴らしい人に任せたら素晴らしいモノが生まれる。
アイデアありきだと変化できない。
いい人を集めるて大きな仕事を与えることが成長の好循環


リーダーシップとは、部下にやらなければならないことをやりたいと思わせる技術である
この定義には重要な点が3つある。
第一に、やらなければならないことを見極めるのはリーダーの役目だ。…
第二に、重要なのはやらなければいけないことをやらせることではなく、やりたいと思わせることだ。
第三に、リーダーシップとは「サイエンス(理屈)」ではなく「アート(技能)」だ

これを達成するリーダーシップの特徴で気になったのが、誠実さ&ポジティブなフィードバック&現場と両立する&1つに絞る

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2023年04月18日

Posted by ブクログ

人生で読んできた会社・組織に関わる本のなかで、断トツに読みやすく、最も心に響き、すぐに行動に移せることがあるなかで、一番長い本だった笑

会社を立ち上げるとか、リーダーであるとか関係なしに、自分の人生に一本芯を通す覚悟を持てる人は誰しもが読むべき本だと思う。
反面、人生を自責と捉えることができず、川を流れるうどの大木のような生き方を許容できてしまう人にとっては退屈なのかもしれない。

何を成し遂げたいのか。人生をどう切り開くのか。
それを深く考えさせてくれることそのものが、この著作が偉大である証だ。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

ジムコリンズ、間違いなし。と感じることができるバイブルに値する内容でした。何回も読まなきゃな、と思わされる中身の濃い1冊。

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

ゼロから事業を生み出して偉大で永続的な企業になる為の考え方、方法を述べた本。
とても秀悦な本である。500ページとボリュームが多く、難しそうに思って読んでいたが、原理原則は極めてシンプルであり、わかりやすく、共感出来る内容が非常に多かった。
一回読んだだけではとても理解できたとは言えず、今後何度も何度も読み直して、自分の血肉として活用していきたいと思う。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

会社単位だけでなく、小さなグループ単位でもここに書かれている内容は役に立つと思う。何かある度に振り返って読んでみる価値があると思う

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2021年12月12日

Posted by ブクログ

偉大な企業は最初から完璧ではなく、明確な理念と粘り強い実行から生まれると再認識。情熱や市場理解はもちろん、時代の変化に適応する柔軟性も不可欠。成功は偶然ではなく、仕組みと哲学の積み上げ。ベンチャーだからこそ、この一冊に学ぶべき原点があると確信した。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

マネジメントは細かい指示を出すのではなく各人が自分事として自分の課題に責任を持って取り組むように仕向けるべき。

パタゴニアの従業員は自分が着たいものを作って実際に使う

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

企業活動におけるファンダメンタルな原理原則が収められていると思う。最も大切なのは正しいビジョンよりも正しい人材である。これが一番今までにない観点で面白い。意思決定は「しない」なら「誤る」方がマシも、芯を食っていると思う。

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2023年09月15日

Posted by ブクログ

偉大な企業になる法則が分かりやすく、体系的に記載されていた。
シンプルだが、奥深い本。
読んで理解するのはもちろんだが、実行するし、実現させることが大変であり意義がある。

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2023年04月23日

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ようやく読み終わった
書かれていることはとても興味深く、事業部の責任者である自分にとっては良いきっかけとなった

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2023年03月24日

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1.ずっと読みたかった組織論についての本でした。いずれ会社を率いる側に回ることを考えて器を育てたいと思って読みました。

2.偉大な企業になるための地図が記されています。偉大な企業には必ず優れたビジョンがあり、優秀な人材が集まります。それは金銭的なインセンティブでは集められません。本書では偉大な企業とは何なのか、良い企業と何が異なるのかを示しております。

3.偉大な企業には人を育てるツボとコツがあるんだなと思いました。そして、それを言語化、会社ごとのフォーマットに置き換えて考えております。例えば、ビジョンの話でも要素として何があるのか、それを達成するためのプロセスが細かく書いているのかどうかなどが当てはまります。
来年は新しいステージに挑戦します。
まずはビジョンの作り直しとプロセスの明確化をしていきたいと思います。

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2022年12月29日

Posted by ブクログ

ビジョナリーカンパニーシリーズの原点であり、まとめでもある一冊。
起業家向けに書かれた本でありますが、普通の会社勤めの私も、勤めている会社と比較しながら読んでみました。

偉大な企業を生み出すために必要な要素は、
・人材・リーダーシップ
・ビジョン
・戦略・戦術

まず、
起業家自身がリーダーシップを兼ね備えた人材となり、
次に企業のコアバリュー、理念、パーパスで構成されたビジョンを作り
それを実現するための戦略・戦術を立てる。

本書では上記3点について、偉大な会社の実例と比較しながら、詳細に説明してくれています。

ビジョンは、普遍的なものを作ろうとすると、一般的な言葉で人の心に響かないものになりそうで、そこを上手く作り出せたリーダーが、偉大な企業を築いていると思いました。

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2022年10月09日

Posted by ブクログ

ビジョナリーカンパニー出版前に出版されていた未翻訳であったBeyond entrepreneurshipの翻訳、加筆版。
加筆にはビジョナリーカンパニー1-4の総括もあり要点がまとまっている。

本シリーズを通じた偉大な企業の要件、ビジョンの共有、人材選出の方法など改めて確認することができる。

ジョナリーカンパニーシリーズを既読であると目新しさはないかも。

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2022年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジムコリンズによるビジョナリーカンパニーの起業・スタートアップ編の本。まだ初めのみだが名著の予感

メモ
・企業が追跡すべき最も重要な指標は売上利益cfなどではなく、バスの重要な座席のうちふさわしい人材で埋まっている割合。最適な人材を確保できるかにすべてがかかっている。
・起業家の成功は基本的に何をするかでなく、何者であるか。
・真のリーダーシップは従わない自由があるのに人がついてくること
・勇気と人情味とを合わせ持つこと。
・失敗についてどう考えるべきか。成功というコインの裏面は失敗ではなく、成長である。
・決定的なタイミングに全てを捨てて飛び込まなければ、夢を実現できる可能性は低いどころかゼロになる。

☆リーダーシップとは部下にやらなければならないことをやりたいと思わせる技術
 やらなければならないことを見極めるのはリーダーの役目
 重要なのはやらなければならないことをやらせるのではなく、やりたいと思わせること
 リーダーシップとはサイエンスではなくアート。
・リーダーシップの七要素
  誠実さ、決断力、集中力、人間味、対人スキル、コミュニケーション能力、常に前身する姿勢

・重要な意思決定の流れ
  どれだけ意思決定に時間がかけられるか判断する
  最善の選択を見極めるためファクトやエビデンスに基づく対話や議論を
  何をすべきか明確になったら一切の曖昧さを排した明確な意思決定を下す
  意思決定のもとに団結し、規律をもって遂行する
・ミッションの4類型
  目標
  共通の敵
  ロールモデル
  内部変革

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2022年09月03日

Posted by ブクログ

ついに読み終わった。
いわゆる普通の企業経営ではなく、素晴らしい企業経営のために必要なことが書かれている。
特に従業員や周りの同僚にリスペクトをはらうこと、人間には組織の要求に応えて自律的に働こうとおもう特性があること、優れた組織を作るために、パーパス、ビジョン、ミッションの設定が必要なことがわかった。
特筆すべき結果を残した企業の経営者は自分がしたことを特別だと思っていないことが多い。経営者は何をしたかよりもどうしたかが大事。
100年続く企業には共通項があるが、ほとんどの会社はそれがわかっていないし、わかろうともしない。
革新的で永続的な企業を作りたいと思う経営者はまさに必読の書。

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

ビジネス書として長く読まれているだけある、基本から応用まで普遍的な成功哲学について書かれた名著。ビジネスパーソンとしてある程度のキャリアになったら必ず一度は読んだ方がいいと思います。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

ジム・コリンズのシリーズ作品総集編という感じ。
頭の整理としてのまとめ本としては素晴らしいが、
ビジョナリーカンパニー②や④は先に読んでおくべきだろう。

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2022年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わって、最も大事なことがカバーに要約されてあることを改めて実感した。

---以下、引用----
ジム·コリンズとビル·ラジアーの教えの例

偉大な企業という目的地があるわけではない。
ひたすら成長と改善を積み重ねていく、
長く困難で苦しい道のりだ。
高みに上り詰めると、新たな課題、 リスク、
冒険、さらに高い基準を探す。

企業が追跡すべきもっとも重要な指標は、 売上高や
利益、資本収益率やキャッシュフローではない。
バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材オで
埋まっている割合だ。適切な人材を確保できるかに
すべてがかかっている。

起業家の成功は基本的に
「何をするか」ではなく
「何者であるか」によって決まる。

真のリーダーシップとは、
従わない自由があるにもかかわらず、
人が付いてくることだ。

重要ポストにいる人物を交代させると決めたら、
「厳格であれ、非情になるな」 と
自らに言い聞かせてほしい。
勇気と人情味を併せもつことが必要だ。

失敗についてどう考えるべきか。
成功というコインの裏面は失敗ではなく、
成長だという考えに至った。

p.37-38
「育成」から「交代」に転換するタイミング
1 この人物を重要ポストにとどめているために、他の人材が会社を去りはじめていないか。

2 価値観の問題か、意思の問題か、あるいは能力の問題か。

3 「窓」と「鏡」をどう使うか。

4 仕事を「業務」と見るか「責任」と見るか。

5 ここ1年で、この人物に対するあなたの信頼は高まったか、下がったか。

6 バスの問題なのか、座席の問題なのか。

7 この人物が退社したら、あなたはどう感じるか。

p.37
2. 価値観の問題か、意思の問題か、あるいは能カの問題か。重要ポストにある者が一貫して、あるいは甚だしく企業のコアバリューに反する行動をとる場合、優れたリーダーは交代させる。会社のコアバリューを心から支持し、また何としても自分の職務に必要な能力を身につけようという不屈の意思がある者なら、交代を決断する前に辛抱強く待ってもいい。もっとも判断が難しいのは「意思」の問題だ。対象者にはそのポストのニーズを満たそうと努力する意思が欠如しているのか(あるいは失ったのか)。欠如はしていない場合、意思に火をともすことはできるだろうか偉大なリーダーは人の成長する力を決して過小評価しないが、成長できるか否かは謙虚さと強い向上心の有無にかかっていることを理解している。

p.68
私たちの生きる世界に成功はあふれているが、生きがいは驚くほど不足している。生きがいもなく、やみくもに働き続けるだけの人生は不幸で残酷だ。ふつうの人が日々の生活のなかで、マンチェスターが海軍の仲間に感じたような深い愛を感じることはないだろう。だが人と人が頼り合う文化では、そうした愛に近づくことはできる。このような文化を醸成する過程で、あなたは社員に「やりがいのある仕事」というはかり知れない価値のあるものを与えることができる。それは紛れもなく偉大なことだ。

p.233-234
ビジョンはカリスマ的ビジョナリーだけのものではない

ビジョンを示すにはカリスマ的ビジョナリーという神秘的な、あるいは超人的資質が必要だという誤解を、ここではっきりと不否定しておきたい。それが事実なら、すべての組織にチャーチルとケネディとマーティン・ルーサー・キング牧師を掛け合わせたようなCEOが必要になる。ビジョンと聞くと「自分には無理だ。典型的なビジョナリータイプではないから」と考える経営者は多い。
だがあなたのスタイルや個人的魅力にかかわらず、ビジョンを策定するのはリーダーの仕事だ。ビジョンを設定するうえでのカリスマ性の役割は、あまりに過大評価されている。自分の会社にすばらしいビジョンを浸透させた経営者のなかには、特別なカリスマオーラを持たない人もいる。

カリスマを自称する怪しげな人々の仲間である必要はない。あなたはあなたのままでいい。

あなたが取り組むべき仕事は、ビジョンを持ったカリスマになることではない。ビジョンある組織をつくることだ。個人はいつか死ぬが、偉大な企業は何世紀にもわたって生きつづけることができる。

p.320-321
どのくらいの速度で成長すべきか

HPのビル・ヒューレットとデイブパッカードはあるインタピューで、ペチャー企業の経営者にひとつアドバイスをするとしたら何か、と聞かれた。ヒューレットはこう答えた。

速く成長しすぎてはいけない。社内のマネジメント能力が育つのに歩調を合わせて成長する必要がある。ベンチャーキャピタルはベンチャー企業に成長を急がせることが多いが、無理に成長しようとすると企業の価値観が損なわれる。

戦略的判断のなかでも、もっとも意見が分かれ、またもっとも理解されていない要素のひとつが成長だ。ここで「判断」という言葉を使ったことに注目してほしい。とれだけ早く成長したいかはあなたが戦略的判断として明確に示すべきだ。

成長は良いものだ(あるいは悪いものだ)と決まっているわけではない。急成長を短絡的に望ましい目標と考えるべきではない。優れた経営者は最大限成長を追求すべきだと考える人には、異端と思えるかもしれない。しかし急成長するという判断は既定のものととらえるべきではない。急成長しないと決断すべき正当な理由もときにはあるだろう。
主要な意思決定がすべてそうであるように、成長に関する判断も会社のピジョンと結びつく。あなたはそもそも大企業になりたいのか。急成長がもたらす負の部分も引き受けるつもりなのか。
成長に負の部分などあるのかと思うかもしれないが、確かにある。たとえば急成長がキャッシュフローの危機を引き起こすこともある。よくあるパターンが、急激な売上拡大を見込んで原材科を大量に仕入れたり、人材を大量に雇ったりするケースだ。それを使って製品をつくり営業をかけるのだが、売り上げが入ってくるのは仕入れから数カ月後だ。売り上げ予測に達しなければ、在庫は現金にならない。現金は血液あるいは酸素のようなもので、なければ会社は死んでしまう。しかも成長は大量の現金を食い潰す。倒産のほぼ半分は、記録的売り上げのあがった翌年に起こるのはこのためだ。

p.414-417
クリエイティビティを刺激するためのマネジメントルール8カ条

1 励ます。あら探しをしない。
2 決めつけない。
3 内気なタイプを後押しする。
4 好奇心を刺激する。
5 必要性を生み出す。

p.415
ここでもキーワードは「リスペクト(敬意)」だ。社員の気持ちをリスペクトしよう。自分をバカだ、価値のない人間だなどと感じさせてはならない。誰かがうっかりミスを犯したら個人を責めずに状況に対応しよう(第3章の対人スキルの項を参照)。
あなたがミスや失敗にどう対応するかが、社員のクリエイティビティに大きな影響を与える。常にこう自問しよう。「この失敗をしたのが自分なら、どう扱われたいか。どのように扱ってもらえれば、失敗から学び、また挑戦したいと思えるだろうか」

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2022年05月08日

Posted by ブクログ

・いつでも安全な道に戻れる選択肢を残しておこうとすると、一生選択しないままで終わる
・あなたが誰かを信頼した場合、相手は信頼されることによって認められたと感じ、モチベーションを抱く。信頼しなかった場合に、裏切られた際の痛みと失望は抑えられるだろう。ただし、相手をはなから信頼できないと思えば、優秀な人材ほど意欲を失い去っていく。ビルが「信頼する方に賭ける」のはこのためだ
・素晴らしい人間関係は「この関係でどちらの方が得をしているのか」と聞いて、両方が「自分」と答えるかどうかだ
・仕事を「業務」と見るか「責任」と見るか。重要ポストに就くものは例外なく、業務リストではなく広範な責任を負う。そこにふさわしい人材は広範な責任を全うできなかったときに、「業務はすませた」という言い訳はしない(業務に意味を持たせる)
・「まず目的を選ぶ」から「まず人を選ぶ」への発想の転換。何かをなし遂げること自体にそれほど意味はなく、満足感は長続きしない。だが正しい仲間と協力しながら何かを成し遂げようと努力する過程には、途方もない満足感がある。
・まず最高の人材を集める。それから何か大きな仕事を与える、大きな仕事を選ぶほど、さらに最高の人材が必要にある。するとさらに大きな仕事が必要になり、さらに多くの最高の人材を獲得する。今度はそれ以上無理というくらい大きな仕事が必要になる。それを何度も繰り返す。成長力の魔法が解けないように、決して止まらず、決してスピードを緩めない。この状態で次の大きな夢を追わなければ、一番優秀なものからよそへ行ってしまうだろう
・直感を信じる
 初めから問題あるいは判断の核心を見る。様々なデータ、分析、意見、確立に圧倒され、優柔不断に陥ってはならない
 枝葉末節を整理する。メリットとデメリットの長々としたリストは捨て、中核的問いに集中する。問題の余計な部分はそぎ落とし、本質的要素をあぶりだす
 意思決定を核心まで絞り込み、「直感はイエスと言っているのか、ノーと言っているのか」という問いと向かい合う
・反対意見が出なければ決断しない=判断の本質をより深く理解するため
・問題ない、は問題(=Detailへのこだわりがない)
・一人一台のコンピュータが使えるという状況は、10人1台とは根本的に違う。それがアップルの基本的思想だ。10人1台は列車に設備投資をするようなものだ。同じコストでフォルクスワーゲンが1000台買える。もちろん列車ほど乗り心地はよくないし、スピードも出ないが、1000人がいきたいときに行きたいところへ行ける。僕らの目指しているのは、そういうことだ
・文字にこだわるのはやめよう。絵にしよう。物語を語ろう
・一貫性のあるビジョン:コアバリューと理念>パーパス(存在意義)>ミッション
 パーパスはあなたを導く星であり、ミッションはあなたがその時々に上っている山
・ミッションは数字目標ではなく、社員の意欲を掻き立てるような目標を作ること
・フォードは「自動車を庶民のものにする」というミッションを伝えるために、以下のような伝え方をした
 私は庶民のために自動車を作る、価格はまともな給料を稼いでいる人ならだれでも買えるくらい安い。それに家族を乗せて、神の創りたもうた広大な大地を何時間も走る喜びを満喫できる。ハイウエイから馬の姿は消える。自動車が当たり前の存在になる
・成功というコインの裏面は失敗ではなく、成長だ。多くの人を見ていて思うのは、成功することに集中するあまり、失敗というプロセスを通じて成長できそうな状況を避けているということだ
・第一級の知性は、2つの対立する概念を同時に内包しつつ、それでもうまくやっていける能力によって測ることができる
・規律のない思考をする人は議論をするとき「ORの抑圧」に流され、白黒はっきりさせようとする、それに対して規律ある思考をする人は、「ANDの才能」を生かして会話を発展させ、新たな解決策を見出そうとする
・①情熱を持って取り組めるもの、②自社が世界一になれる分野、③経済的競争力を強化するものという3つの円が重なる部分をしっかりと理解する
・戦略とは会社の現在のミッションを達成するための基本的方法論。個人の主体性、機会、状況変化、創意工夫、イノベーションが入る余地を残すほうがいい
・私たちが誰よりも得意なことは何か、競争優位の源泉となる唯一無二の能力は何か。基本戦略は強みを生かすものでなければならない。得意なことをしよう
・戦略がイノベーションを後押しするのと同じように、イノベーションが戦略に影響を与えることを許容すべきだ
・多くな勝利をつかむのは、はずみ車を10回回したらすぐに新しいはずみ車に乗り換え、10回回したらまた乗り換えるといった会社ではない。10回回したら、さらに10億回回し続ける会社だ。はずみ車を回すというのは、これまでしてきたことを漫然と続けるという意味ではない。可能性を追求し、拡大し、拡張することだ
・基本戦略 1)製品、2)顧客(市場セグメント)、3)キャッシュフロー、4)人材と組織、5)インフラ
・ビジョン、内部評価(強みと弱み、リソース、イノベーションとアイディア)、外部評価(顧客や市場トレンド、外部トレンド、競合など)
・速く成長しすぎてはいけない。社内のマネジメント能力が育つのに歩調を合わせて成長する必要がある。無理に成長しようとすると企業の価値観が損なわれる
・私たちのビジョンの最も合致する成長率はどのようなものか
・価格をコントロールできないなら、コストをコントロールしなければならない
・画期的な製品の多くは企業が市場プル型のイノベーションだけに集中していたら存在しなかったはずだ。スリーエムのポストイットは、初めに接着剤という解決策があり、それにふさわしい問題を探したのだ
・私たちは対州に何を望むか尋ねるのではなく、新たな製品で大衆をリードしている、膨大な市場調査をする代わりに、製品を磨き上げ、大衆を教育することを通じて市場を生み出している(ソニー・盛田昭夫)
・毎年売上高の25%は過去5年に発売された製品が占めるようにする(マニフェストの一例)
・無理は知識に勝る。「何を見るべきか」という予断を持たなかったからこそ、多くを見ることができた
・長い目で見れば、ベスト(最高)はファースト(一番乗り)に勝る
・うまくいったこと(いかなかったこと)からどのような再現性のある新たな学びを得たか
・仕事の満足度を高める要因第1位は、個人的な達成感である。目標を設定し達成したいと思っている
・あなたはテクノロジーを最大限活用しているだろうか
・集めた情報は「使える」ものだろうか
・相手に愛情と敬意を持つことで、信頼と誠実な対応が生まれる

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

メモです。

最高の人材がいなければ、最高のビジョンに意味はない。
→人材が大切。まずは採用。次に、良い人材を確保したら、たっぷりの機会を与えて育てる。

リーダーとは
→やらなくてはいけないことを見極めることが役割。そして、やりたいと思わせること。そのためには、魅力的なビジョンを明確かつ簡潔に表現する才能がいるかもしれない。ポジティブなフィードバックをすること。

コンセンサス
→多数決とかそういう話ではなく、反対意見もあるという中で、意見を言わない人もいる中で、肌で感じるもの。

ビジョンとは
→ただ口に出せばいい。何度も何度も。目に入るようにし、話題にする。あらゆる階層の社員の意思決定に利用するもの。
→大切なのは、「明確さ(理解されていること)」「共有されていること(賛同していること)」

パーパスとは
→あなたを導く星。別に他社との違いを示さなくてもいい。

ミッションとは
→今登っている山。他社との違いはここで示す。頂上に着いたらまた星に視線を戻し、次に登る山を見る。

戦略とは
→強みを活かすこと。客観的に把握するためには、管理職に会社の強みと弱みを3つずつ上げてもらう。

基本戦略
→3ページ以内。優先事項は3つまで。それ以上は優先とは言わない。

デザイナーを採用する
→ロゴ、マーケティング資料、カタログ、包装紙材のデザインなど、コンセプト作りから関与する方が良い。

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2022年01月23日

Posted by ブクログ

ベンチャーから偉大な組織にするための方法論。ケーススタディを経た結果、至極人間的な帰結をしている点が興味深いです。金銭的インセンティブよりも内発的な動機づけ、信頼や敬意の重要性など。この類のビジネス書は途中で飽きがちだったのですが、本書はダレることなく最後まで読みきれました。

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

経営者や起業家ではない、単なるひとりの会社員として読んでみて刺さったのは「何をするかではなく、何者であるか」だった。

企業の中にいると会社の方針を達成するために、アクションアイテムを決めて、担当者を決める、というように、今までのやり方だと「仕事」に「人」を当てはめてしまっている。

ある最高のプロジェクトがあっても二流の人がやる場合は結果も平凡になるが、二流のプロジェクトでも最高の人がやれば結果は最高になる可能性がある。

ひとりの人は何が持ち味か、その人を活かすには何をやるか、というように、「人」から「仕事」を考えられるようになりたい。

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2021年12月31日

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ビジョナリーカンパニーの原点に新しく注釈をつけた作品である。
過去のビジョナリーシリーズを読んでいるとわかりやすいです。
特にリーダーシップの章が良かった。
また、戦略と戦術の違いがよくわかった。


世界1000万部超ベストセラーシリーズ『ビジョナリー・カンパニー』の原点で最新刊!

本書『ビジョナリー・カンパニーZERO』は、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズが発行される前の1992年にジム・コリンズが記し、日本語訳されずにいた名著『Beyond Entrepreneurship』の改訂版。まさに、ビジョナリー・カンパニーの原点だ。

◆ネットフリックスCEOなど大絶賛の声が続々!


「本書は誰よりもどの本よりも、私のリーダシップを一変させてくれた。10年以上この本を読み返した。起業家なら、86ページ分を暗記せよ」
――リード・ヘイスティングスNETFLIX共同創業者兼CEO

「自分の白いキャンバスにゼロから絵を描き人生を切り開こうとする人に、パーパス、ミッション、ビジョンなどのコンパスや道標を授け、「幸運は諦めない者に訪れる」ことを再認識させてくれる名著だ」
――田中仁 ジンズホールデイングス代表取締役CEO

「『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの集大成であると同時に、原点でもある本で、シリーズ全体を体系的に学ぶことができる。すべての起業家、経営者、組織のリーダーにお薦めします。人生で何度も読み返したい素晴らしい本」
――小林清剛 起業家

◆スタートアップや中小企業が「偉大な企業」になるために必要なことを解説


偉大で永続的な企業になるために必要ことを1冊に凝縮してまとめた。誰と一緒に仕事をするか、リーダーシップ・スタイル、戦略、戦術をどうつくるか、パーパスやミッションなどをどう決めて実行するか重要になる。「偉大な企業」とそうでない企業との違い、規模が小さいうちから考えておくべきことなど、時代を超えて重要な内容が理解できる。

◆ジム・コリンズとビル・ラジアーの教えの例

・偉大な企業という目的地があるわけではない。ひたすら成長と改善を積み重ねていく、長く困難で苦しい道のりだ。高みに上り詰めると、新たな課題、リスク、冒険、さらに高い基準を探す。
・企業が追跡すべきもっとも重要な指標は、売上高や利益、資本収益率やキャッシュフローではない。バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合だ。適切な人材を確保できるかにすべてがかかっている。

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2025年05月05日

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年俸50億貰っているようなMLBのスーパースターでも、監督がモチベーションを上げる必要がある。

社員に敬意を。

「リーダーシップとはメンバーにやらなければいけないことをやりたいと思わせること」

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2022年12月28日

Posted by ブクログ

「ビジョナリー・カンパニー」シリーズの前にかかれた"Beyond Entrepreneurship"の改訂版。

最初の本は、1992年に出されているのだが、「ヴィジョナリー・カンパニー」シリーズの研究成果を踏まえて、大幅に加筆されたもの。

これはなんかの研究書というより、新たにビジネスを始める人、会社の経営をしている人を念頭において、リーダーシップから戦略立案そしてイノベーション、実行といった重要テーマについてまとめた経営の教科書のようなもの。

今となっては、それほど新しいコンセプトはない気がするのだが、出版当時は当時としてはかなり新しい考えだったのだろうと思う。これが当たり前に思えるのは、それだけ、「ヴィジョナリー・カンパニー」の研究が説得力があって、多くの人の支持を得たからだと思う。

そういうなかでも、今回、付け加えられた1〜2章、そしてもともとの本でもインパクトがあった第3章はなるほど感がある。

あと、第6章は、ビジョナリーカンパニー4冊の議論を全体として整理しなおして、企業を立ち上げ、偉大なものにしていくための「地図」として示されていて、ちょっとお得感がある。

あらためて、「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」の議論の重要性が確認できる。

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2022年05月09日

Posted by ブクログ

高度に自律的な人財なら本書に書かれた働き方が出来る。自分の組織のメンバーをそのような内発的なマインドを醸成したい。

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2021年12月29日

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