鬼澤忍のレビュー一覧
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本書は、正義とは何か?という問いに対し、次の3つの視点から説明している。
①最大多数の最大幸福(効用や福祉の最大化を目的にした功利主義的な見方)
②選択の自由(市場を重視する自由至上主義的な立場と、リベラルな平等主義者とで立場が別れる)
③美徳と共通善
現代において正義をめぐる議論は、効用や自由を中心に行われているが、
本書ではそれらについて功利主義や自由至上主主義における伝統的な議論を踏まえた上でその限界を示す。
そういった正義における考え方の限界を乗り越えるために、美徳や共通善からのアプローチが必要だと著者のマイケル・サンデルは説く。
本書を読んで良かったことは、正義における様 -
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自分が政治哲学に興味をもつきっかけになった本。
サンデルの文章は分かりやすくて毎度感動する。現実に起きている問題と政治哲学を結びつけて議論していく内容となっている。例も分かりやすく、これからの世の中を考えるには最適な1冊。ただ、カントの内容は難しい。
2回目
やっばりサンデルの考えはいい。だけど、ロールズの話もなんとなく魅力に感じてきた。
3回目2025.7.11
ベンサム→結果に注目
カント→行為の動機に注目
アリストテレス→ものの性質に注目
共通善を育むことが今後の政治課題らしいが、サンデルは今のトランプ政権を見てどう思うのか。トランプのナショナリズムも一種のコミュニタリアニズムのよ -
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良書。
この本の思考を素直に実践すれば、間違いなく良い会社になると思う。実際、多くの会社はわかっていてもできないことが多いんだろうなと。だからこそ、抜きん出る。イケてるスタートアップは、取り入れてるし、ワークしているように聞く。(メルカリとかラクスルとか)
「大企業には無理」という言い訳はできないと思う。Googleは大き過ぎる企業なのだから。
細かいルール云々というよりは、トップの姿勢そのものが重要で、全部それが根底にあるのが容易に想像できる。
そして、必ずしも、お金のかかることでもない。
以下、個人的ポイント抜粋。
・必要なのは、社員は基本的に善良なものだと言う信 -
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元グーグル人事担当上級副社長が書いたグーグルのマネジメントの基本な考え方。
著者の入社以降、6,000人から60,000人に拡大する中で
フォーチューンから「もっとも働きやすい会社」に繰り返し指名されたとのこと。
成功だけでなく失敗事例も随所に書きちりばめられております。
なお、本の半分近くを採用に費やしております。
これは「採用の失敗は教育では取り返せない」ことを前提としており、採用を重要視しているためです。
本書で私が特に感銘を受けた箇所を紹介します。
グーグルの人事組織に「3分割ルール」を導入。典型的な人事畑の経験のある人の人員は3分の1を超えないこと。次の3分の1はコンサルティン -
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考え方としては、最近読んだ「ウォーフォータレント」の内容に親しいところがあったが、失敗事例も含めて、「あのグーグル」が、どう試行錯誤し、どうしているのか、というベストプラクティスがふんだんに盛り込まれているところが良い。
本書内にもあるとおり、そこで取られている施策の大半はコストもそれほど掛からないし、難しくはない。従来のやり方とのギャップに大半の組織がなかなか踏み出さない、二の足を踏むような物がほとんどだ。
被雇用者側の立場から読むと、たしかにこんな自由な会社なら居心地は良いだろうし、仕事をするモチベーションにも繋がるのかなと思った。
いずれまた読み返したい。 -
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ネタバレ誤解を招きやすい帯ですが、メインはゾンビではありません。ゾンビでわかる「神経科学」です。ゾンビマニアな神経学者二人が、ゾンビ的な動物やゾンビ的な行動を元に、生きている人の脳のしくみを解説する、ちょっと難しめな入門書。
最初はなかなか読み進まなかったのですが、一度勢いに乗るとこれが頗る面白い。クジラの半球睡眠、ホヤの脳消化、首なし鶏のマイク…。においが記憶を呼び覚ますのは、嗅覚だけが視床を通過せずダイレクトに新皮質、とくに感情と記憶を処理する皮質領域に到達するから。カプグラ妄想やコタール妄想も興味深いです。
第11章、脳をハッキングする話。これもすごい。脳にDBS(脳深部刺激)という小型の電 -
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社会の繁栄と貧困の差は、政治と経済の制度の違いによって生まれたと説明する。
多数の資源を少数が搾り取る収奪的制度では、所有権が保護されず、経済活動のインセンティブも与えられない。少数は、自らの利益のために収奪的制度を維持し、手に入れた資源を利用して政治権力を強固にする。収奪的制度の下でも、政治的中央集権化化によって、ある程度の成長が可能だが、創造的破壊によるイノベーションが起こらないため、成長には限界がある。また、政治権力をめぐって闘いが発生するため、社会は不安定になる。
包括的政治制度では、政治権力が幅広く配分され、法と秩序、所有権の基盤、包括的市場経済が確立される。有史以来、収奪的制度 -
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世界に裕福な国と貧しい国が生まれた理由を歴史的に解き明かす。緯度や気候などの地理的条件、宗教や民族ごとの価値観などの文化的側面は、世界的な不平等の説明にはならず、経済と政治の制度が重要であると説く。
ヨーロッパの植民地としての歴史を持つ南北アメリカ大陸に相違が生まれた理由がおもしろい。スペインが支配するアメリカ大陸の植民地では、金銀の略奪段階が過ぎると、労働力としての先住民を分け与える制度であるエンコミエンダなどの制度を導入し、土地を奪い、労働を強制し、低い賃金と重税、高い商品を売りつけた。コンキスタドールとその子孫は大金持ちになり、先住民の生活水準は最低となる不平等な社会となった。スペイン -
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前作で人類が消滅した世界はどうなるかを解明しようとした筆者による、人類が存続できる世界を維持するにはどうしたらいいか? が主題になった著書。
最重要に位置付けられているのは人口問題。
20世紀初頭には15億程度だった世界の人口は、100年と少ししか経過していない現在では70億。このままの増加傾向が続けばあと半世紀で世界の人口は100億を越えると予測されている。
そうなった場合どうなるかは実際のところわからないんだけど、暗い見通しのほうがまあガチ。
とはいえ、統計だけを見てああだこうだ言うよりも、実際に世界中の社会の中でどういうことが起こっているかミクロ視点で丹念に洞察しながら疑問の答えを追 -