鬼澤忍のレビュー一覧
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2013年刊行。
MIT教授(経済学)のダロン・アセモグルと、ハーバード大教授(政治学)のジェイムズ・ロビンソンによる共著。
「なぜ世界には経済的に成功した豊かな国々と、長年貧困に苦しむ国々に分かれるのか?」の疑問に答えることを目指した本。
発刊直後から世界的に好評を集めている本書だが、ボリュームは多い。
文章は比較的平易で、数式やモデルは割愛した一般読者向けの内容なので読みやすい。ただ、ひたすら同じ主張を、古今東西の多様な事例を用いて繰り返す構成になっているので、冗長。完読するには根気が必要だった。
著者らの主な主張は最終章に網羅されているので、これを読めば正直十分。
本書の内容を簡単 -
Posted by ブクログ
突然大勢の前でスピーチをしなければならなくなった時、仲が良かった友人や愛していた恋人の行動に疑念が湧いた時、プレッシャーのかかった場面に遭遇した時、謎の脅迫メールが届いた時…あらゆる場面で頭の中に響き渡るネガティブな声、それが「チャッター」。
追い詰められた状態になると、チャッターは最悪なシナリオを絶えず話し続ける。それは精神的にダメージを与えるだけでなく、身体的にも、果ては遺伝子にまで悪影響を与える。
私たちは「チャッター」を抑えるためにどうすればいいのか。この本では、チャッター抑制に効果があると思われる方法を紹介している。
時間がかかる方法もあるが、一瞬で思考を変えられる方法も紹介さ -
Posted by ブクログ
内なる批判者に話しかけられ、反芻するのを脱出する方法。
それは、自分の名前で「たかし!たかしはどうしたいんだ?」というように話しかけること。
問題からズームアウトするのが大事。
心理的外傷に対するテクニックで、出来事をテレビに映すイメージや、白黒写真のようにしたり、早送りしたりするイメージをするのと似ている。
日記を書くのも良い。
過去と現在を切り離す。
SNSは共感メインで、解決しづらい。
共同反芻という罠がある。
自然の力でストレスが減る。
自然の写真や音でも効果がある。
プラセボや儀式(ルーティーン)にも価値がある。
脳障害で、頭で言葉を紡げず、意図せず忘我の境地に至った女性 -
Posted by ブクログ
正義をめぐるこれまでの政治哲学の議論を、さまざまな事例をもとに紹介している。功利主義(ベンサムとミル)→リバタリアニズム→リベラリズム(カントとロールズ)→アリストテレス→コミュニタリアニズムと展開し、サンデルは功利主義やリバタリアニズム、リベラリズムを批判し、コミュニタリアニズムの立場をとっている。
訳文であるため少し読みにくいけれども、さまざまな事例と政治哲学を結びつけて論述しているため、政治哲学の入門書として読めると思う。
ただ一つ気になるのは、善き生に基づく政治を提案しているが、世界で市場原理を採用した政策、新自由主義的な政治が行われる中で、市場・効率と政治のバランスをどうとるのか -
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読書録「それをお金で買いますか」4
著者 マイケル・サンデル
訳 鬼澤忍
出版 早川書房
p169より引用
“実のところ、それだけではない。一二週間
ほどしてから保育所が罰金を廃止しても、上
昇した新たな遅刻率はそのままだったのだ。
お金を払うことで、迎えの時間に遅れないと
いう道徳的義務がいったん蝕まれると、かつ
ての責任感を回復させるのは難しかった。”
目次より抜粋引用
“市場と道徳
行列に割り込む
インセンティブ
いかにして市場は道徳を締め出すか
生と死を扱う市場”
哲学者である著者による、経済学の市場原
理が人の日常生活に及ぼす影響について論じ
る一冊。
行列に並 -
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「チ。」とサンデル
政治哲学の功利主義ベンサムから、リバタリアニズムの流れ。
市場において各人が自由にお金を稼ぎ、政府はあまり干渉しないで!を推し進めた結果、社会の格差が進む。
そこから自由への制限をかけるリベラルのイマヌエルカント、ジョンロールズ達のリベラリズム。
サンデルは最後にアリストテレスを紹介し、個人の権利、自由を出発とするロールズらのリベラリズムを批判し、コミュタリニズムで連帯を目指す。
リベラルの個人の自由の間違いを例を出して説明していく。
例えばナチスドイツの過去の間違いを現在のドイツ人が背負う必要があるのか?
リベラルは何者にも縛られない個人の自由を出発とするので過去の -
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ネタバレ翻訳した洋書のため、少し読みにくさはありますが、頭のなかのひとりごと(チャッター)のコントロール方法が事細かに説明されており、ネガティブなひとりごとに飲み込まれないようにするために役立ちそうです。
以下、主なコントロール方法です。
・対象となる問題と距離をとる。
時間軸:将来、50年後にはこう思っているだろう
客観視:「私は〜」→「○○(自分の名前)は〜」「あなたは〜」
経験の一般化:他の人も同じ問題を抱えている、等
・緑や自然に囲まれて過ごす
・物理的な秩序をつくってチャッターを鎮める ものをいつものところに置くといったルーティーンなど
テニスのナダル 最も激しい戦いは、肉離れを起 -
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Googleの人事施策的な話を人事担当トップが話してくれる。Googleという世の中の労働力の上澄みみたいのが集まる企業だから機能している仕組みもあるんだろうけど、いろいろと示唆に富んでいる。働きやすい環境を整えることはホントに大切だな。書名のワークルールズとして、仕事に意味を持たせる、人を信用する、自分より優秀な人だけを採用する、発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない、2本のテールに注目する、カネを使うべきときは惜しみなく使う、報酬は不公平に払う、ナッジ、高まる期待をマネジメントする、楽しもう!(そして①に戻って繰り返し)と整理している。
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米国に蔓延する「能力主義」に対する批判。
第一次トランプ政権の誕生のきっかけになった「分断」の原因が「能力主義」にあるとしている。そして、その「能力主義」を蔓延させるきっかけとなった、グローバルな自由市場を受け入れ続けてきた今迄の政権にあると批判している。
そもそもなぜ能力主義は分断を生み出すのか?結論を言えば、格差が固定化されてしまっているから。
アメリカでは、機会の均等があれば、誰でもアメリカンドリームを手にできる。その地位は、自らの能力に起因するものである。これが能力主義の社会である。しかし、現実には、格差は固定化されている。成功者は自らの地位を確固たるものとするし、貧困なものは貧困 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても興味深い考え方と感じる。
確かに我々が選んでいると信じている人生についても、結局は運によるものなのかもしれないし、結局は親の裕福さに左右されているのかもしれない。
ただ、一つ言えることは昔よりも可能性は拡がっていること。
それが結果的に良い方向に向いているのかはわからず、貴族制度の時代の方が精神的尊重という点では優れており、人間にはそちらの方が良かったのかもしれない。
しかし、その制度に疑問を抱き、より良くしよう、したいと思う活動が今を作り、貴族制度を過去に変えたのなら、その過程や、そこから今抱える課題にで会えていることとして、人類は良い方向に進んでいるのかもしれない。
また数年後 -
Posted by ブクログ
如何に自分がtechnocrat的な,meritocracy的な思考の上に「平等」を思考していたのかを思い知らされる事になった.読み始めた当初,オバマやヒラリークリントンに対する批判の一部が分かったようで分からなかった.トランプを支持する人々が奪われてきたモノに対する理解も,言葉の上では理解していたけど,「消費する側の倫理」「生産する側の倫理」という言い回しに,ハッとさせられた.そういうことか,実体経済を回している人々が蔑ろにされ,金勘定で漂ってる奴らが富を掠め取っていく…この違和感や怒りは,この「裏表」にあったのか,と.
筆者は高学歴エリートの「価値」のあり方を批判こそすれ,能力そのものを批