鬼澤忍のレビュー一覧
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アメリカのジャーナリスト「アラン・ワイズマン」のノンフィクション作品『人類が消えた世界(原題:The World without Us)』を読みました。
「人類消滅後―私たちの家や町は、地球はどうなるのか?」というキャッチコピーに惹きつけられ、壮大な未来予測を知りたくなって買っちゃいました。
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『TIME誌』が選ぶ2007年ベストノンフィクション第1位!
もしある日人類が忽然と消えたら、その後の地球には一体何が起きるのだろう。
地上を覆う人工物、自然、生命がたどる運命は?
私たちが環境に与えてきたダメージはどう癒えるのか?
そしてこの星が -
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けっこう前に出た本だが、普遍的なテーマを扱っているので、今読んでもいろいろと考えさせられる。
これまで価値のなかったものに値段がつけられ、需要と供給が生まれたケースは、今も増え続けていると思う。
本の中で扱われた列への割り込み、命名権などは、今日本でもそれほどの忌避感もなく受け入れられているような気がするし、自分自身、ユニバーサルスタジオでファストパスを買うことや、映画館で少し高い値段を払って周りの人が気にならないボックス席をとることを、それほど疑問には思わずに過ごしている。けれど、それがもともと無料の、慈善事業コンサートなら同じことは思わない。似た事柄でありながら、その溝は以外に深い。裏を返 -
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・世界の不平等の歴史を探究する難題
・世界で最も裕福な1%の世帯が、世界の個人純資産の半分あまりを保有している
・「平等化の四騎士」=戦争、革命、国家破綻、伝染病が不平等を是正する
・本書の目的は、不平等が減少するのはなぜかという疑問に答え、平等化のメカニズムを突き止める。
・古代の遺跡や埋葬からも、ヒエラルキーや階層社会のような不平等社会はみられている。
・経済的な余剰の多寡が政治的不平等を発展させていることがわかる。たいした余剰生産のない集団は86%が政治的不平等の形跡がない。
・最初の「1%」ー少数のエリートを生み出す構造 →国家構造がうまく維持されている限り、エリート支配は安定してい -
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「実力も運のうち」が面白かったので、サンデル教授の過去本を読んでいます。
お金と道徳という問題。お金で買う・売るという行為が入ってくることで、道徳的な「善」が失われてしまう。
腎臓、幼児、入学試験、爵位、スポーツ選手のサインなどなど。名誉とされるものも売買対象になると。。。
チケットを転売する。腎臓を売る。物事の解決策として「市場」を用いる経済学者。経済学的には全員がハッピーだが、人間の道徳・心では引っかかる。。
その引っかかる部分を主張すると古いと言われてきたのが、この30年、市場万能の新自由主義時代だったのかと思いました。この市場万能主義に翳りが見え、最後の学歴万能への警鐘が、新刊「実力も -
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「ハーバード白熱教室」「これからの『正義』の話をしよう」のマイケル・サランデルの経済と市場と倫理の話
何度も読み返したり、読み直したり、考えたりしすぎてなかなか読み終わらなかったけどやっと読み終えた~というか読んだだけなのかもしれん。
私たちの生活に密着した「市場主義」
世の中にお金で買えないものはない?ある?
買えるもの
・刑務所の独房 1晩82ドル
・インドの代理母による妊娠代行サービス6250ドル
・絶滅の危機にあるクロサイを射撃する権利15万ドル
・主治医の携帯電話の番号 年に1500ドル~
あとは、逆にもらえる方法
・ダラスの学校で1冊本を読むと2ドルもらえる
・体のどこかに広告 -
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暴力と不平等の歴史。一億総中流と言われた社会がかくも格差が広がった理由を知りたくて読んだ。結構難しく、読書カロリーは高め。ガチで論文のデータを載せているためである。
人類と不平等は農業畜産以前からの長い付き合いだが、時には不平等が是正されることもあった。その平等化のメカニズムは「戦争」「革命」「崩壊」「疫病」であるという。
この本では、なんとジニ係数を農業畜産以前まで持ち込むのがポイントだ。中世フランスイタリアの富裕税、オランダの家賃税、古代アステカの家屋サイズ、バビロニアの持参金の分配などを使うという。
前近代の文明については、漢、ローマ、スペインなどが挙げられる。これらは、経済的な影 -
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【感想】
われわれはなぜ転売ヤーを疎ましく思うのだろうか?
転売ヤーへの批判は、主に次の2通りに分けられる。
1つ目は、転売を挟むことで価格がつり上がり、供給者から転売ヤーに利潤が吸い上げられているという批判。2つ目は、転売によって本当に欲しい人に品物が届かなくなるという批判だ。
しかし、この2つとも有効な批判とは言えないだろう。
1つ目の批判に対しては「自由主義的」な観点から擁護できる。モノを売る会社の一方的な値付け価格では、市場価値が正確に反映されていない。買い手の需要と売り手の供給とが合致した結果としての「転売価格」が、むしろ正統な値段であるという擁護だ。
2つ目の批判に対しては、「 -
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一言でいうなら、大著である。それだけに読む者にもそれなりの労力が求められる。
本書は、古代からの人類の悠久の歴史が、持てる者と持たざる者の不平等の歴史であること、両者の格差は拡大と縮小を繰り返してきたことを実証していく。そして、格差が是正され、平等化に近づくのは、常に暴力的事象の後であることを指摘する。すなわち、戦争、革命、国家の崩壊、疫病であり、著者のシャイデルはこれをもって「平等化の四騎士」と命名した。ただし、小規模な破壊やどちらかの一方的な勝利などは、平等化にほとんど影響しないか、限定的な効果しかない。四騎士の剣が振るわれるのは、壊滅的なまでの暴力のみである。
ここ数十年、世界のグロ -
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2012年の作品。「これからの正義の話をしよう」が大ベストセラーになった、サンデル教授の1冊。こちらも面白いですね。
行きすぎた市場主義。本来は道徳的に、社会規範的に取引の対象になってはいけないはずの物事にまで、市場主義の影響が及ぶ。取引可能な汚染許可証、貴重な野生動物の狩猟権、血液や臓器の売買、公共財の命名権、生命保険の売買によって人の死までもが取引の対象に。。
リーマンショックで、行き過ぎた市場主義に警鐘が鳴らされたはずなのに、トランプ政権的な流れの中でまた、社会正義は軽視されるようになり、そしてまたバイデン政権で揺り戻しが起きようとしている。サンデル教授は、どこまでが市場主義が入って -
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1.最近になってますますお金の重要性が増してきた現代ですが、豊かな人ほど「お金は必要ない」と言っています。なぜここまで貧富の差が激しくなったのか、なぜお金が人の心を惑わせてしまうのかが気になったからです。
2.市場主義が浸透し、すべてが市場原理に委ねられ始めた昨今ですが、それに伴って大きな問題が2つあります。まず、公平性の問題です。本書では行列に並ばなくてもプレミアムを払うことで先に行けるシステムが導入されています。それによって、金銭に余裕がある人は進んでそれを支払うことで、生活に余裕を持たせていきます。一方、貧しい人は永遠に待つことになります。これにより、本来は業道で会ったシステムが崩れて