鬼澤忍のレビュー一覧

  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

    Posted by ブクログ

    国家の衰退、貧富の差が出来るのは国のトップの考え、経済制度、収奪的制度が強く影響していることがよく分かった。無知が貧困を招く、経済制度、共産主義、創造的破壊、奴隷制度、包括的制度、イデオロギー、計画経済を基に過去の歴史を紐解いており、世界史を考えるきっかけになったという意味で良書だと思う。

    0
    2024年08月24日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    購入済み

    悲観的絶望的な記述

    長大な著書であり 膨大な実例を挙げて不平等.格差の変化の実情 原因について論じている。かなりの箇所で同じエピソードの繰り返しがあり「冗長」との印象を抱いた。
    しかし、印象に残る箇所 感銘を受けた箇所も数多くあった。例えば下記のような文章である。

    歴史的に見れば、格差の是正 平等化には黙示録の四騎士黙示録の四騎士(戦争 革命 崩壊 疫病)による大惨事が必要であった。黙示録の四騎士のうち平等化に一番貢献したのは一番多くの割合の人を殺した「疫病」である。労働者が減ると労賃が上昇し、格差が解消してゆく。
    現在の日本の労働者減も、移民による労働力補充などをしないと労働力不足による賃金向上が実現でき、格

    0
    2024年08月08日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    経済学の大御所であるダロン・アセモグル氏が、「技術革新」といったまさに現在タイムリーな論点について本を執筆してくれるのは本当にありがたい。

    上巻では「技術革新」というテーマについて、主に労働市場の観点から議論が展開される。押さえておくべき論点は、生産性バンドワゴンが機能するための2つの前提条件であろう。1つ目は、「労働者の限界生産性の向上」で、2つ目は、「労働者の交渉力」である。上巻では、これらの条件が歴史を通じて満たされてきたのか否かについて、歴史的エピソードを用いながら検討していく。

    0
    2024年08月03日
  • Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

    Posted by ブクログ

    チャッター(内省する声)を抑えるためには①問題からズームアウトずる②他人の視点をもつ③環境を整える

    ・チャッターを制御できなくなったとき、思考と体験の間に距離をおくことが効果的。喜びに浸りたいときは没入する。
    ・ネガティブな体験を他者と共有するのは経験が反芻され思い出してしまうので逆効果。見えないサポートをすることの方が効果的。
    ・自分を信じること(プラセボ)や儀式は脳の予想力が活用されて信じた通りになることが多い。

    0
    2024年07月29日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

    Posted by ブクログ

    著者曰く、昨今米国内で起きてる分断の要因は、メリトクラシーからなる学歴格差であると説く。

    クリントン元民主党代表がトランプに大統領選で負けた要因を米国内におけるメリトクラシーによる分断と米国がどのようにしてメリトクラシーによる価値観が強固となった歴史を紐解きながら哲学している。

    0
    2024年07月13日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    入門書としては少々長い気もするが、イスラエルのことを丁寧に知りたい人には良い本だと思う。話もそんなにだれることなく、まあ物語というわけではないので山場みたいなものは無いが普通に面白かった。
    イスラエル人の気持ちもわかるが、今やっていることはあなたたちがやられてきたことと似通ってはいませんか?と口に出したくなる。そんな単純な話ではないんだけどね。自分は日本人のため、国を失う苦しみというのを頭では理解できても、心の底から感じるというのは難しい。
    いつかイスラエルもパレスチナも報われてほしい。そう思わずにはいられない。

    0
    2024年06月25日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

    Posted by ブクログ

    誰にでも平等に機会が与えられているが故に
    学歴が高い人は努力した人
    学歴の低い人はチャンスがあったのに掴まなかった人
    といった評価がなされる。
    身分制度があった頃は、自分の不遇な境遇を制度のせいにできたが、能力主義の現代では、自分の不遇を自分のせいにできてしまう。
    それが昨今のエリートとブルカラーの軋轢を生むというのは納得である。
    とはいえ、学歴の高い人は経済的に恵まれた家庭である傾向が高く、そもそも努力できる力というのも先天的なものである可能性も高い。
    それなのに、学歴の高い人はあたかもその個人の努力だけで勝ち取ったと評価し、恵まれた職業につけるようなシステムは、それこそ差別的と感じる。

    0
    2024年06月18日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    人種、民族、宗教、文化、歴史。
    あると言えばある。
    実態はないと言えばない。

    人が集まり、緩く、厳密な定義を持たせないことで、なんとなく成立する物語。
    中には、先鋭的に解釈して文字通り人を殺してでも、自らの物語の筋書きを貫くものもいる。
    周囲との調和を目指すものもいる。

    人は木の股から生えてはこない。
    一人で成人することもできない。
    親、社会、他者から、言葉を、生活を、文化を与えられて育つ。
    それら、全ての偏りから自由には生きることはできない。
    なんという不自由さだろう。

    幸せなことに、今自分の周囲において、人種だの国家だの文化だのが原因で、殺したり殺されたりの連鎖があるわけではない。

    0
    2024年02月26日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    著者はユダヤ系アメリカ人。少しイスラエル寄りなところを感じさせつつも、かなりバランスよくイスラエル及びパレスチナ問題を解説している。恥ずかしながら本書を読んで、日々のイスラエルに関するニュースは基本的事項を押さえずに聞いていたことが分かった。これからは少し背景知識を持ってニュースを聞くことができそうだ。
    興味深かった点を羅列すると、
    イスラエルが占領するヨルダン川西岸は、米国を含め(トランプ政権は置いておく)国際社会からその支配は認められていない。
    米国のユダヤ人は基本的にリベラルであり、イスラエルの建国当初から支援してきたが、近年は右傾化するイスラエルと思想的に分離が見られる。米国で熱心にイ

    0
    2024年02月06日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    ユダヤ系アメリカ人の著者ができるだけ公平な視点から書くイスラエルの問題。イスラエル、パレスチナの地についての歴史を描く第一部とイスラエルの問題を探る第二部に別れる構成で、著者のユダヤ人バックグラウンドはありながらもどちら側にも肩入れすることなくイスラエルの解決の見えない問題を教えてくれる。
    知れば知るほど解決などできない問題だと思えてくるがどうなるのだろう。ユダヤ人が迫害を受けた結果として元々パレスチナに住んでいた人々を迫害(と、同じようなこと)するというのは、客観的に見たどうしても愚かとしか思えない。判官贔屓的にパレスチナ国家樹立を支持したくなる部分もあるけど、ファタハとハマスの断絶のように

    0
    2024年01月31日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    イスラエルの問題は複雑で根が深くて本当に難しい。最新のニュースから得た断片的な表層の情報だけでは分からない事も時系列で詳しく説明されている。最後に掲載されているインタビューはイスラエルの希望だった。こういう人達の活動にももっとスポットが当たって欲しい。

    0
    2023年12月14日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

    Posted by ブクログ

    正直なところ読むのに苦労した。理解しきれていない部分もあるので何回か読み返して理解を深めたいと思う。
    アメリカンドリームに代表される能力主義は本当に称賛されるべきことなのか、という問いに対してアメリカの政治家、経済学者の発言や、過去の事例を参照しながら考えを述べていく内容。
    個人的に興味深いと感じたのは、学歴偏重主義の話。国を統治する上で必要なのは名門大学の学位を有していることではなく、「実践知と市民的美徳」であるという主張には説得力があると感じた。(事実ワシントン・リンカーン・トルーマンは大学の学位を持っていない。)
    アメリカの話がメインではあるが、日本に置き換えられることも多いので、読んで

    0
    2023年12月10日
  • イスラエル 人類史上最もやっかいな問題

    Posted by ブクログ

    アメリカのキリスト教福音派がイスラエルを支持する理由。第三神殿、赤い班牛の生贄、キリスト復活、ハルマゲドン。訳わからん。
    アメリカ在住ユダヤ人の解説、分かり易かった。

    0
    2023年11月05日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

    Posted by ブクログ

    能力主義というか日本の学歴主義はもう崩壊していると思います。イギリスも。官僚だけでなく、経験値やエネルギー、ひらめきが力と感じてます。、

    0
    2023年10月13日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

    Posted by ブクログ

    大卒者とそれ以外の学歴者の差異が、社会階層の分断線となっていて、その分断線が、世代を超えて固定化している。さらに、大卒者の中でも、トップ校と、それ以外の差が大きくなり、その分断も、世代を超えて固定化している(トップ大卒の子どもはトップ大に入り高給取りの「勝ち組」となり、大学に進まなかった親の子どもは大学に進まずに「負け組」となる)。

    この構図については『学歴分断社会』(吉川徹)等でも取り上げられていて、アメリカでも日本でも同じだと認識したが、この本では、その動きを支える「メリトクラシー」の負の側面に踏み込んでいる。

    優秀な人を責任あるポジションにつけるという「メリトクラシー」の理念そのもの

    0
    2023年09月29日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

    Posted by ブクログ

    ◯自由に行動するというのは、(中略)目的を目的そのもののために選択することだ。(144p)

    ◯カントにとって、自殺は殺人が誤りであるのと同じ理由で誤りだ。どちらも人格を物として扱っており、それ自体が究極目的である人間性を尊重していない。(160p)

    ◯幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美德に一致する魂の活動」なのである。(255p)

    ★カント、ロールズの哲学を少しでも知ることができて良かった。

    ★何が正しいのか、どう生きるべきか、知りたい。

    ★翻訳本ってやっぱり難しい。

    0
    2023年09月25日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

    Posted by ブクログ

    やっと読めた。

    功利主義やリバタリアンといった社会正義の捉え方の変遷を辿りながら「正義」はどうあるべきかを考えさせられる本。
    特に序盤、「あーそういう考え方もあるかー」と思った直後その反論が提示され「たしかになー、その目線が欠けてたわ」となり、また別種の反論が提示され…と自分の思考がどんどん揺り動かされるのが理解できて面白かった。

    0
    2023年07月27日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2012年刊。

    それをお金で買いますか?というテーマの一例…
    ・刑務所独房の格上げ…一晩82ドル
    ・インド人代理母による妊娠代行サービス…6250ドル
    ・米国移住権…50万ドル
    ・欧州で企業が1トンの炭素を排出する権利…13ユーロ
    ・製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモット…7500ドル

    この世であらゆるものにプライシングされ、お金さえ払えば大体のものは買えるのだ、という態度について考えさせられる。
    いい指摘はしているが、翻訳本なので読みづらく、読書中何度も眠くなった。
    機会あれば再読して価格をつけることのモラルについて考えたい。

    0
    2023年06月17日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

    Posted by ブクログ

    市場主義の問題について、実際に行われている市場取引の例を挙げて述べている本。
    まず驚いたのが、そんな事をお金で取引しているの?と思う事例が非常に多かったこと。じっくり読むと取引する双方にメリットがある内容なのでなるほどと思うが、道徳的には?と思うものが極めて多い。世の中は知らない事ばかりだなぁと改めて痛感した

    0
    2023年05月06日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

    Posted by ブクログ

    功利主義と平等主義、どちらも欠点があって私たちのモヤモヤを完全に解消してくれる訳ではない。

    アリストテレスの唱えた善き生、道徳、政治のつながりからリベラル・保守など政治のことまでよくわかって

    0
    2023年05月02日