鬼澤忍のレビュー一覧
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繁栄する国家と、逆に落ちていく国家。その違いを、地理や文化といった(役に立たない)理論に求めるのではなく、経済と政治に関する、歴史の中では小さな選択にあるされています。なぜイギリスが産業革命で成功したのか、他のヨーロッパ諸国はそうならなかったのか。少々の偶然の要素もあったのですが、違う制度を取った国々の差を広げこそすれ、そのベクトルを決めたのは、その選択にあったということ。
具体的な歴史を、読みやすく、読ませる書き方で書かれており、現代の我々が立っている位置が、どのように出来上がっているものなのか。また維持するために、何に注意していなければならないのかを教えていただきました。 -
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「世界には四種類の国がある。先進国、発展途上国、日本、アルゼンチンだ。」ノーベル賞経済学者のサイモン・クズネッツの有名な言葉だそうだ。1914年のアルゼンチンは50年ほどの経済成長を達成し世界で最も裕福な国の一つだった。しかしその後は独裁主義と民主主義の間を行ったり来たりした。民主主義と言ってもペロンの正義党は巨大な集票組織による利益供与の賜物で権力は著しく集中していた。そして2001年には経済危機を迎え先進国から果て得ん途上国へと滑り落ちていった。
日本は逆に19世紀中頃までは中国とともに鎖国政策の元で停滞していたが完全な中央集権の中国とは違い、薩摩藩が琉球を通じた交易で密かに力を蓄えてい -
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ジャレド・ダイアモンドは「銃・病原菌・鉄」で文明発祥と伝播には栽培可能な穀物や家畜が反映する社会を生んだ原動力となり東西には伝播しやすく自然環境の異なる南北には伝播速度が遅いと唱えた。それは一つの強力な仮説だが本書の調査結果によると歴史的に野生の牛や豚が棲息した地域の分布はヨーロッパからアジアの非常に広い範囲に及び米の原種はインドから東南アジアにかけて広く分布している。小麦の原種も肥沃な三日月地帯だけでなく地中海東岸からイラン、アフガン、中央アジアの「スタンズ」にまで広がっている。ダイアモンド自身も「文明崩壊」で同じ島でありながら崩壊しつつあるハイチと発展を目指すドミニカの違いを書いている。ま
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本書の主張は極めてシンプルだ。収奪的制度をしく国家は衰退する。なぜならイノベーションへのモチベーションが起こらないから。国家を企業に置き換えるととても分かりやすいのではないかと思う。苦労してイノベーションを成し遂げたとしても、単に収奪されるだけで報奨がなければ、モチベーションが上がらないのは当然だ。では何故収奪的制度がなくならないのか。権力の掌握は富の独占を生むからだ。そうした体制において、イノベーションは既存権力を脅かす存在として排除される訳だ。これはリアルでわかりやすい。
興味深いのは、ルーズベルトがニューディール政策を推進するために、最高裁判所判事の任命権を大統領の与える法案を通そうとし -
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ネタバレ世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか、本書は、政治・経済上の「制度」による違いがその理由であることを古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国、現在の中国といった広範な事例を用いて説明するもの。
これからの日本を考えると、既得権益に縛られずに、世の中のニーズに応じた創造的な技術・仕組み・取組みが自由活発に進められる社会により良く変えていくことが重要で、政治・行政としてもその基盤を作ったり、後押しすることが役割になろうと感じました。
今後の日本、また世界を考えていく上で必読の良書です。ちなみに、筆 -
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ネタバレ世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか、本書は、政治・経済上の「制度」による違いがその理由であることを古代ローマから、マヤの都市国家、中世ヴェネツィア、名誉革命期のイングランド、幕末・明治期の日本、ソ連、ラテンアメリカとアフリカ諸国、現在の中国といった広範な事例を用いて説明するもの。
これからの日本を考えると、既得権益に縛られずに、世の中のニーズに応じた創造的な技術・仕組み・取組みが自由活発に進められる社会により良く変えていくことが重要で、政治・行政としてもその基盤を作ったり、後押しすることが役割になろうと感じました。
今後の日本、また世界を考えていく上で必読の良書です。ちなみに、筆 -
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2014年30冊目。
包括的政治制度が包括的経済制度を生み出し、それによって勃興する新しい層が多元性を生み出して包括的政治制度を支える好循環がある一方で、
収奪的政治・経済制度を持つ政権を打倒したところで、新たな政権は同じ制度を繰り返す、更には強化してしまうという悪循環も存在する。
悪循環を断ち切り好循環へと転じる歴史的事例は確認できるものの、それは生半可なことでは起こらないという印象を受けた。
「国家の貧しさは、エリートによって意図的に生み出される」という大きなメッセージを受け取った。
リーダーの良し悪しが政治において決定的だとは聞いていたが、その重いが強まった。
これからの世界の発展を -
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本書の日本語版でアラン・ワイズマンは日本を訪問した21カ国の中で特に重要な国として取り上げている。先進国で初めての人口減に苦しみ、そしておそらく最初に少ない人口への移行を完成させる国だからだろう。ちなみに人口構成は20〜25年後に逆ピラミッドになり50年後には8千万人台にまで減る。多少の子育て支援では全く追いつかず、移民を受け入れるとしても1千万人単位が必要なのでこれも恐らく無理だろう。どうやってソフトランディングさせるかを考えるしかない。人口減には良い側面もあり例えばエネルギー需要は今の6割ほどに落ちる。脱原発はおそらく時間とともに問題なく進む。一方でインフラの維持は大問題になるはずだ。ここ
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1992年の地球サミット、国連環境開発会議では「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」やアジェンダ21など持続可能性に関わる5つの重要な合意がなされた。しかし、例えばアジェンダ21では「人口動態と持続可能性」に1章を裂きながらも実施手段としては有効な方法あるいは言葉が協定案から削除されている。それが「家族計画」と「産児制限」だ。
I=PAT(インパクト=人口x豊かさxテクノロジー)は生態学の規範となる式だが大事な点はこの式は時間とともに足し合わされるということだ。ビル・ゲイツの様な楽観派は持続可能性はイノベーションが解決する、またイノベーションで解決するしかないという。Tの値を小さくすれば人口 -
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2014年25冊目。
わずか一枚のフェンスで区切られた「ノガレス」の北と南で大きな経済的格差が生じるのはなぜか。
地理・気候・民族が同じ北朝鮮と韓国でこれだけ貧富が違うのはなぜか。
国家の貧富を左右するのは「地理」「病気」「文化」ではなく、
“収奪的”ではなく“包括的”な経済「制度」とそれを構築する政治「制度」が有るか否かだというのが、本書の主張である。
■「収奪的制度」:絶対主義、一部のエリートによる支配、新技術導入への渋りや妨害、商業の独占・・・etc
■「包括的制度」:多元的政治体制、議会の機能、イノベーション(創造的破壊)への寛容性や促進、認められた財産権・・・etc
これらの -
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滅亡へのカウントダウン/アラン・ワイズマン著(鬼澤忍訳)
自分にとって解決できないほどの大きな規模のイシューは初めから考えないとする人も多いと思う。人口爆発の問題はそのもっともたる例であろう。しかしながらこの問題はいつまでも私たちが目をつぶっているだけでは解決できないものである。
すでに地球の人類は70億人に達しており、今世紀中には100億人越える。いつか、増えすぎた人類によって地球の資源は使い尽くされる日がくる。しかし、我々人類は誰しもが納得できる人口抑制の方法を確立していない。
こういった問題は将来、科学が解決してくれるものという楽観論もあると思うが、本当にそうなのだろうか。
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新年早々、なかなか刺激的なタイトルだが、陰謀論めいた話でもなければ、悲観論のみに終始した内容でもない。
新しい年を迎えると、人は「おめでとう」と言う。友人や知人に赤ちゃんが誕生しても「おめでとう」と言うだろう。だが、そんな身の回りの「おめでとう」の集積が、社会や世界全体で見た時にも、本当に「おめでたい」状況になっているのか。そこには、直視しなければならない現実がある。
ホモ・サピエンスが初めて姿を表してから、人口が10億人に到達するまでにかかった時間は20万年。その後のわずか200年余りで人口は約70億人までに膨らんだ。そしてその勢いは留まるところを知らない。もしも人類がこのまま軌道修正を