鬼澤忍のレビュー一覧

  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

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    アメリカでトランプ氏が復権した時代に、きわめて弱い声かもしれないが、聞かなくてはいけない主張がここにあるような気がした。

    自由な選択を尊重するリバタリアンも、全体の幸福を目指す功利主義も、正義の観点からは疑問符がつく。カントも、ロールズも、いまひとつだ。ではどうすれば?

    多元的社会では、道徳も共通善も一致しない。でも、他者の尊重の名のもとに、議論を回避すれば、「偽りの敵意」が生まれかねない。公共の言説の貧困化につながりかねない。(実際そうなっている)。だから、道徳や共通善を考えるという、困難な道筋をあきらめてはいけない。市民道徳を育み、公民的生活基盤の再構築を目指すべし――。

    道徳に関与

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    2024年11月15日
  • Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

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    自分の心の声(チャッター)との向き合い方が様々な面から書いてあったが、共通して言えるのは第三者視点でとらえるということかと感じました。自分への問いかけも相手と話しているように行なうことで俯瞰して冷静に物事の判断ができるようになると思うので日々意識して実践しようと思います。
    また、本書における儀式のようなルーティン(習慣)の実行や環境整備によってより安定した自己対話を目指そうと思いました。

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    2024年11月10日
  • Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

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    ネタバレ

    人間は、内なる声を糧とする思考と記憶と空想の働きによって、内なる世界の活気を維持する力を発達させてきた。絶え間ない内なる会話のおかげで、頭の中に情報を保存し、 自分の決定について考察し、感情をコントロールし、別の未来をシミュレートし、回想に 耽り、目標までの道筋をたどり、自己認識を下支えする個人的物語を絶えず更新しつづけることができる。

    自分の心から完全には離れられないその性質が、人間の創意の主たる原動力となり、そ のおかげで私たちは建造物を造り、物語を紡ぎ、未来を夢見る。 

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    2024年10月01日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

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    「正義」に関する哲学の理論体系が整理されている。
    ハーバードの授業が元になっているだけあって、網羅的だ。

    正義を功利主義(効用の最大化)として捉えることも、リバタリアニズムやリベラリズム(選択の自由、平等)で考えることも、限界がある。
    道徳や価値観は人によって異なるが、その差異を無視するのではなく、個別のテーマについて議論を深めることで、共通善を探っていくことが必要だ。

    分断が進む社会での示唆にも富む名著。

    日本はアメリカほど分断が進んでいないと実感したので(富裕層も公立の学校に行きたがる、公営の病院が機能しているなど)、維持されてほしい…

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    2024年09月13日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

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    技術革新は必ずしも人間を幸せにしないし、バンドワゴン効果も限られるし、トリクルダウンも起こらないという仮説を、いろいろな事例から検証したもの。過去に、全体が豊かになった時には「社会運動」「社会の連帯」が起こり、方向性が正されていた。今の時代、SNSなどで連携はし易い一方で、ヘイトなども起こりやすくなっているし、ネット遮断や監視に走る国家もあり、過去の事例は期待できそうもない。これは気をつけておかないと。

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    2024年09月01日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    国家の衰退、貧富の差が出来るのは国のトップの考え、経済制度、収奪的制度が強く影響していることがよく分かった。無知が貧困を招く、経済制度、共産主義、創造的破壊、奴隷制度、包括的制度、イデオロギー、計画経済を基に過去の歴史を紐解いており、世界史を考えるきっかけになったという意味で良書だと思う。

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    2024年08月24日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

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    悲観的絶望的な記述

    長大な著書であり 膨大な実例を挙げて不平等.格差の変化の実情 原因について論じている。かなりの箇所で同じエピソードの繰り返しがあり「冗長」との印象を抱いた。
    しかし、印象に残る箇所 感銘を受けた箇所も数多くあった。例えば下記のような文章である。

    歴史的に見れば、格差の是正 平等化には黙示録の四騎士黙示録の四騎士(戦争 革命 崩壊 疫病)による大惨事が必要であった。黙示録の四騎士のうち平等化に一番貢献したのは一番多くの割合の人を殺した「疫病」である。労働者が減ると労賃が上昇し、格差が解消してゆく。
    現在の日本の労働者減も、移民による労働力補充などをしないと労働力不足による賃金向上が実現でき、格

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    2024年08月08日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

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    ネタバレ

    経済学の大御所であるダロン・アセモグル氏が、「技術革新」といったまさに現在タイムリーな論点について本を執筆してくれるのは本当にありがたい。

    上巻では「技術革新」というテーマについて、主に労働市場の観点から議論が展開される。押さえておくべき論点は、生産性バンドワゴンが機能するための2つの前提条件であろう。1つ目は、「労働者の限界生産性の向上」で、2つ目は、「労働者の交渉力」である。上巻では、これらの条件が歴史を通じて満たされてきたのか否かについて、歴史的エピソードを用いながら検討していく。

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    2024年08月03日
  • Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

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    チャッター(内省する声)を抑えるためには①問題からズームアウトずる②他人の視点をもつ③環境を整える

    ・チャッターを制御できなくなったとき、思考と体験の間に距離をおくことが効果的。喜びに浸りたいときは没入する。
    ・ネガティブな体験を他者と共有するのは経験が反芻され思い出してしまうので逆効果。見えないサポートをすることの方が効果的。
    ・自分を信じること(プラセボ)や儀式は脳の予想力が活用されて信じた通りになることが多い。

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    2024年07月29日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

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    著者曰く、昨今米国内で起きてる分断の要因は、メリトクラシーからなる学歴格差であると説く。

    クリントン元民主党代表がトランプに大統領選で負けた要因を米国内におけるメリトクラシーによる分断と米国がどのようにしてメリトクラシーによる価値観が強固となった歴史を紐解きながら哲学している。

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    2024年07月13日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

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    誰にでも平等に機会が与えられているが故に
    学歴が高い人は努力した人
    学歴の低い人はチャンスがあったのに掴まなかった人
    といった評価がなされる。
    身分制度があった頃は、自分の不遇な境遇を制度のせいにできたが、能力主義の現代では、自分の不遇を自分のせいにできてしまう。
    それが昨今のエリートとブルカラーの軋轢を生むというのは納得である。
    とはいえ、学歴の高い人は経済的に恵まれた家庭である傾向が高く、そもそも努力できる力というのも先天的なものである可能性も高い。
    それなのに、学歴の高い人はあたかもその個人の努力だけで勝ち取ったと評価し、恵まれた職業につけるようなシステムは、それこそ差別的と感じる。

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    2024年06月18日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

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    正直なところ読むのに苦労した。理解しきれていない部分もあるので何回か読み返して理解を深めたいと思う。
    アメリカンドリームに代表される能力主義は本当に称賛されるべきことなのか、という問いに対してアメリカの政治家、経済学者の発言や、過去の事例を参照しながら考えを述べていく内容。
    個人的に興味深いと感じたのは、学歴偏重主義の話。国を統治する上で必要なのは名門大学の学位を有していることではなく、「実践知と市民的美徳」であるという主張には説得力があると感じた。(事実ワシントン・リンカーン・トルーマンは大学の学位を持っていない。)
    アメリカの話がメインではあるが、日本に置き換えられることも多いので、読んで

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    2023年12月10日
  • 実力も運のうち 能力主義は正義か?

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    能力主義というか日本の学歴主義はもう崩壊していると思います。イギリスも。官僚だけでなく、経験値やエネルギー、ひらめきが力と感じてます。、

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    2023年10月13日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

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    ◯自由に行動するというのは、(中略)目的を目的そのもののために選択することだ。(144p)

    ◯カントにとって、自殺は殺人が誤りであるのと同じ理由で誤りだ。どちらも人格を物として扱っており、それ自体が究極目的である人間性を尊重していない。(160p)

    ◯幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美德に一致する魂の活動」なのである。(255p)

    ★カント、ロールズの哲学を少しでも知ることができて良かった。

    ★何が正しいのか、どう生きるべきか、知りたい。

    ★翻訳本ってやっぱり難しい。

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    2023年09月25日
  • これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

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    やっと読めた。

    功利主義やリバタリアンといった社会正義の捉え方の変遷を辿りながら「正義」はどうあるべきかを考えさせられる本。
    特に序盤、「あーそういう考え方もあるかー」と思った直後その反論が提示され「たしかになー、その目線が欠けてたわ」となり、また別種の反論が提示され…と自分の思考がどんどん揺り動かされるのが理解できて面白かった。

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    2023年07月27日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

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    ネタバレ

    2012年刊。

    それをお金で買いますか?というテーマの一例…
    ・刑務所独房の格上げ…一晩82ドル
    ・インド人代理母による妊娠代行サービス…6250ドル
    ・米国移住権…50万ドル
    ・欧州で企業が1トンの炭素を排出する権利…13ユーロ
    ・製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモット…7500ドル

    この世であらゆるものにプライシングされ、お金さえ払えば大体のものは買えるのだ、という態度について考えさせられる。
    いい指摘はしているが、翻訳本なので読みづらく、読書中何度も眠くなった。
    機会あれば再読して価格をつけることのモラルについて考えたい。

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    2023年06月17日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

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    市場主義の問題について、実際に行われている市場取引の例を挙げて述べている本。
    まず驚いたのが、そんな事をお金で取引しているの?と思う事例が非常に多かったこと。じっくり読むと取引する双方にメリットがある内容なのでなるほどと思うが、道徳的には?と思うものが極めて多い。世の中は知らない事ばかりだなぁと改めて痛感した

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    2023年05月06日
  • Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

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    頭の中であれこれ考えて、行動ができてない時期があったので、読み始めました。
    26の方法が紹介されていて、最後にもまとめがあり便利。「視点をズームアウトする」と「主語を変える」が自分にとってフィットしそう。

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    2025年06月15日
  • 人類が消えた世界

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    アメリカのジャーナリスト「アラン・ワイズマン」のノンフィクション作品『人類が消えた世界(原題:The World without Us)』を読みました。

    「人類消滅後―私たちの家や町は、地球はどうなるのか?」というキャッチコピーに惹きつけられ、壮大な未来予測を知りたくなって買っちゃいました。

    -----story-------------
    『TIME誌』が選ぶ2007年ベストノンフィクション第1位!

    もしある日人類が忽然と消えたら、その後の地球には一体何が起きるのだろう。
    地上を覆う人工物、自然、生命がたどる運命は? 
    私たちが環境に与えてきたダメージはどう癒えるのか? 
    そしてこの星が

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    2022年12月22日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

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    けっこう前に出た本だが、普遍的なテーマを扱っているので、今読んでもいろいろと考えさせられる。
    これまで価値のなかったものに値段がつけられ、需要と供給が生まれたケースは、今も増え続けていると思う。
    本の中で扱われた列への割り込み、命名権などは、今日本でもそれほどの忌避感もなく受け入れられているような気がするし、自分自身、ユニバーサルスタジオでファストパスを買うことや、映画館で少し高い値段を払って周りの人が気にならないボックス席をとることを、それほど疑問には思わずに過ごしている。けれど、それがもともと無料の、慈善事業コンサートなら同じことは思わない。似た事柄でありながら、その溝は以外に深い。裏を返

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    2022年08月13日