鬼澤忍のレビュー一覧

  • 滅亡へのカウントダウン(下)

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    「滅亡へのカウントダウン」
    何とも気分の晴れない本だった。人口爆発による人類の危機についての各地のレポートと種々の回避策についてのノンフィクションである。
    昔、高校の時にローマクラブの「成長の限界」が大きな反響を呼んだときのことを思い出す。あのときは石油が40年で枯渇するといわれ、そのうち電気製品を買っても使えなくなるのではないかと心配した記憶がある。本書のなかでは1970代以降危機が先延ばしされただけで、人口増による資源不足、環境破壊が人類を破滅に導くと警告している。
    地球が人類を支えられる適正人口規模は20億人ということなので1900年ぐらいの規模である。いくら人口が少なくても資源を浪費していれば同じことなので、考え方そのもの、いわば新しい思想・哲学が求められているように思う。
    途上国の人口増加については避妊や安全な中絶が有効である一方、女性の教育を受けること、女性が子供を産む生まないの決定権を持つことが重要であると説明している。また、各地の人口増加による環境破壊についてもレポートしており、深刻な事態になっているところが少なくない。
    日本についても言及されており、すでに人口減に入った日本社会がうまく国力を失わずに対応できるかということが注目されているという。
    最近は経済、景気のことばかりが話題になるような気がするがもっと大きな問題が背後にあることを感じさせる本だった。

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    2014年12月06日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    なぜいま国家や地域によって経済や成長にここまで格差が生じているのかを考察した本。名著「銃、病原菌、鉄」では「近くにいた動植物がたまたま飼いならしやすいもので食料化し、かつそれらにいた病原菌を欧州民族が最初に抗体をつけたから」みたいな要因に格差が生じる根本原因を見出していたが、本書ではそれを社会システムに求めている。(歴史的偶然性である、というのはどちらも同じ結論なんだけど。。)

    つまり、多元的・民主的政治システムは包括的システムであり、その下にはやはり包括的な経済システム、具体的には人々が発展することへのインセンティブが生じ、経済が発展すると説き、莫大な量の事例でこれを証明している。

    慧眼というか最大のミソは、権威主義的あるいは絶対主義的な政治システム下でも権力の集権化に伴う効率性により経済はある程度発展するが、前者と後者の違いは破壊的なイノベーションによる許容度の違い、つまり権威主義、絶対主義的な政治システムの下では社会を根本的に変革し、自らの政治基盤を脅かすことにつながるイノベーションは結局のところ受け入れず、発展に限界が訪れることを指摘している点である。イノベーションを起こさせるインセンティブを人々に起こさせ、変化を国家自体も受け入れられるような多様な人々を意思決定の中に組み込んでおくこと、これがもっとも重要なようだ。

    この視点から、現在の中国の開発独裁的手法には自ずと限界が訪れることを本書では指摘している。これが当たるかどうかが、本書の真価を問う場になりそうだ。

    ある体制が崩壊し、新しい体制が生じる際に、その体制が社会のあらゆる階層や意見を多元的に受け入れているものかどうか、それが次の発展を規定すると本書では定義している。なぜならば前者と同じ性質の人たちが次の体制を構築する場合、よりひどい収奪的構造がそこに生まれることが多いことが歴史の多くの事例から証明されているからである。このことを正確に理解していれば、今後の国際情勢を見る上でのひとつのものさしになるような気もする。

    いずれにしても、上下巻全部読むと、人類の社会、経済システム史に相当に詳しくなったような気にならせてくれる良書である。

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    2014年11月25日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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     読み進めるにつれて、この題名の意味について考えさせられる。・・・・副題だけで十分ではないかと。
     たびたび手を休め、考える。副題だけだと、「何だ、富や権力起源はそんなところなのかー」と、狭い範囲で納得してしまう気がした。
     今、12章の悪循環を読んだいる途中だが、最後まで読み、通読してから、タイトルをふりかえりたいと思う。

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    2014年11月18日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    日本は分権、中国は中央集権、大きさが全く違うのに中国が中央集権を出来たのはすごい。
    豊かになるには搾取するか、独占するか。奴隷制度、プランテーション。メディアの独占。
    日本もドイツも経済的に豊かだったがそこからナチス、軍国主義が生まれている。
    搾取をしないのであれば、何かの制限をかけて対等な豊かさを生むしかないのか。

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    2014年08月08日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    収奪の体制になると経済的な成長が止まるという理論。過去のいろいろな地域、国を事例として説明している。
    政治体制によって経済体制が決まり、成長のインセンティブが働くなくなると国家は衰退する。国家の衰退を経済的な衰退ととらえている。
    政治体制が民主的であれば経済成長が促される仕組みになっている。ただ、ローマを事例にとると民主から独裁へと移行しており、民主から他の仕組みに移行する可能性はある。
    「隷属への道」では政治的な自由よりも経済的自由が重要と言われており、つながるところがある。というのも、収奪的な政治体制でなければ経済的な自由は保障されるので、民主主義にはこだわっていないと言える。

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    2014年06月14日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    「国家はなぜ衰退するのか」(上)は「国家はなぜ衰退したのか」「国家はなぜ繁栄したのか」「国家はなぜ繁栄できないのか」の事例のショーケースでした。包括的制度と収奪的制度という本書の提示するフレームワークのもと、産業のイノベーションが事業者に対してインセンティブをもたらす政治体制かどうか、というシンプルな視点で古今東西の国家の盛衰を語っていきます。初めに結論をハッキリさせておいて次々とサンプルを繰り出してくるのでテーマの重さの割りには一気に読めました。そういう意味では本書でも何回も言及されている「銃・病原菌・鉄」がゆっくり読み進まないとならなかったのと違いを感じました。西欧と東欧の違い、イングランドとスペインの別れ道、名誉革命と産業革命の意味、アフリカの苦しみ、中国の不透明性などなど、なるほどの連発です。ただ、その主張の分かりやすさが新自由主義的な市場礼賛にも繋がりかねないような気がしてヒヤヒヤしながら(下)に突入します。

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    2014年05月06日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    非常に刺激的な内容の本であり、著者達の理論には説得力があるように感じた。膨大かつ詳細な事例は、その理論を裏付けるために実に手際よく叙述されている。

    今回、同書を電子書籍で読んだのだが、紙媒体の本で読むべきだったとちょっと後悔。というのも、線を引いたり、ページを折ったり、付箋を貼ったり、メモを書き込んだりするのは、やっぱり紙媒体の本が便利。上記のアクションは電子書籍でもすべて可能なのだが、やはり違うね。

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    2014年03月11日
  • 滅亡へのカウントダウン(上)

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    地球に持続的に居住できるキャパシティを超えた人口になっているのではないか、という考察の本。
    テクノロジーの進化によってマルサスの予言は現実味を帯びないままやり過ごしてきたが、遂に限界まで来たのか、それともまだまだ進化で覆い隠せるのか。

    そうでなくとも人口は少ない方が住みよい社会だと思うけど。少子化は「問題」ではなく、人口の適正なダウンサイジングの過程なのだと思いたい。

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    2014年01月25日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    包括的な政治制度と包括的な経済制度が国家の繁栄をもたらし、逆に収奪的政治制度と収奪的な経済制度が国家を衰退させるという新しい視点がとても納得できた。しかし言ってることがそれだけで、ほとんどがその繰り返しである。豊富な例を挙げていると言えばその通りだが、私にはしつこく感じられた。

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    2014年01月19日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    本書を読みながら、グローバルヒストリーという言葉が浮かんだ。

    著者の、収奪的制度はインセンティブを起こさず、発展を阻むという理論の例証に、数々の国が登場する。日本も多くのページ数が割かれているわけでは無いが、ペリーの黒船が来航して以降、明治維新への流れが触れられている。ペルーでは、侵略者に対し、なぜ同じように抵抗し、打ち勝つことが不可能だったのか。もし、成功していればペルーは現在よりも豊かな国家となっていたのではないか。

    それは、小さな相違と偶然性という言葉で表される。そして歴史の形態の一部であると。

    横断的展開は、アフリカのシエラレオネやツワナのダイヤモンドへの対応、中国共産党の独裁制など幅広く及んでいく。

    制度とは、繁栄とは、民主主義とは。本書は、考える種を与えてくれる好著だと思う。

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    2014年01月11日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    国家が繁栄するのか、貧困したままでいるのかを分ける原因を国家統治体制に求める大著の下巻。最終章である15章にこれまでの議論がおおよそまとめられている。
    主張のポイントは、収奪的制度の下では一時的には成功したように見えることがあるが、その成功は大きく二つの理由から持続的でないということである。一つは、創造的破壊に伴う変化を嫌うためにイノベーションが発生しないことと、二つ目は支配層が持つ特権をめぐって争いが生じるための不安定さである。
    そして、収奪的制度から包括制度には自然には発展しないということも強く主張する。日本やイングランドを含むいくつかの事例があるが、中国やロシアやアフリカ、中南米の貧困国が包括的制度の元で発展したような経済成長を現在のままの制度のもとで持続的に実現することは難しい、というのが著者の見立てだ。

    人類の繁栄はなぜもたらせれたのかという興味深いテーマだが、ジャレッド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』、ウィリアム・バーンスタイン『「豊かさ」の誕生』、マット・リドレー『繁栄』と合わせて読むとよいだろう。この3つの方がお勧めではあるが。

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    本書の中でも非常に重要なキーワードとなっている包括的制度と収奪的制度という対比される二つの制度原理が規定されているが、原文では次のようにきちんと対比された語となっている。

    包括的 = inclusive
    収奪的 = exclusive

    これを直感的に日本語で理解できるようにするためには、今回採用した訳語は完全ではないが適切であったかとは思われる。ただ、原語ではワードとしても自然に対比させられていることを頭に置いて読み進められるべきであろう。しかし、この訳語の選定には相当に悩んだだろうな。

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    2013年12月30日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    地理的要因と家畜化および農耕化可能な野生生物種の存在を文明発祥の起源としての条件を提示したジャレット・ダイヤモンドの名著『銃・病原菌・鉄』に対して、その統治形態によって、国家の趨勢が決まるというのが本書の要点だ。
    しかし、『銃・病原菌・鉄』のスコープと本書はスコープと論点が異なっており、明らかに互いに排他的な議論をしているわけではない。名が通ったものを恣意的な解釈のもとにアンチとして定義し、それ対して自らを対置することで正当性を主張する手のように見え、あまりいい印象を持つことができない。

    著者の主張をまとめると、ごくシンプルで、統治形態が収奪的である場合は経済的繁栄は持続しないし、包括的制度である場合は繁栄する、というのが主張である。その事例としてスペインとイングランドの植民地政策の違いを歴史的に考察し、南北アメリカの違いを説明する。
    スペインとイギリスの植民地政策の違いは、マクルーハンにも取り上げられて、決して新しい視点ではない。また、収奪的システムが経済的自立を阻害するのは、社会主義国家の失敗やアフリカの多くの独立後の国家の状況、さらには南北朝鮮の明白な違いを見れば明らかだ。

    本書のテーマに対応する本としては『銃...』よりも、ウィリアム・バーンスタインの『「豊かさ」の誕生』を挙げる方が適当だろう。参考文献には挙げられていないので、著者が読んだかどうかは分からないが、そのスコープや着眼点は重なっている。成功した国家としてイギリスやオランダ、明治維新以降の日本を挙げている点も同じだ。『「豊かさ」...』では、「豊かさ」の発展の必要条件として「私有財産制度」、「科学的合理主義」、「資本市場の形成」、「輸送技術と通信技術」の4つを挙げている。本書では、おそらくはそれらに先立ち統治形態がより根源的な支配条件だと主張していると考えることができる。特に、「私有財産制度」と「資本市場の形成」は、包括的制度の必然の要素である。どちらの本に説得力があったかと言われると『「豊かさ」...』の方に自分とした軍配を挙げる。機会があれば合わせて読むとよいだろう。

    また売れている本では、マット・リドレーの『繁栄』も対比できる本だが、『繁栄』では、人間が獲得した「交換」の能力が繁栄を約束したという。その要因をより根源的なものに焦点を当てているが、国家間で繁栄の差があることについては、あまり気に掛けていないように思われる。その意味で、両者は互いに補完するような関係にあると見ることもできるだろう。個人的には、『繁栄』の方が視点に意外性がありかつ根源的な問いかけがされていて面白い。

    いずれにせよ上下巻に渡る大著である。もう少し短くできたかとも思うが、かなりの史料をベースにした真面目な本である。

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    2013年12月30日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    国が豊かかどうかを規定する因子を考察している。つまり、国民にインセンティブを持たせることができるか、どうか。それは、経済制度であり、政治制度が、どのような形をとっているのか。アメリカとメキシコの国境の街ノガレスを例に挙げ物語が始まる。

    創造的破壊を拒絶するような絶対主義のもとでは、インセンティブは育たない。もちろん、創造的破壊によって、統治者やエリートは多くのものを失いうる。抜本的なイノベーションを導入するためには、常に新規参入者を必要とする。多元的なものを許容できる政治制度、つまり変化し続けることが生き残るための秘策なのだろう。

    私のような基盤を未だ持たない者にとっては、本著はきわめて刺激的な内容に富んでいた。

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    2013年12月07日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    確かに評判通り面白いんだけど....
    説得力はあるんだけれど,ちょっと冗長かな.同じような話,事例が繰り返されて,もうちょっとコンパクトにできんかな?と思いました.
    自分は以前は発展の初期段階では社会主義が効率よくって,その後は上手く資本主義に移行することが出来れば(そんなことを達成出来た国は未だかつてないんだけど),最も早く発展が可能である,なんて考えていたけど,筆者らの理論によれば無理なんですね,それは.我々の(日本の)今の幸せは,極めて危うい綱渡りの末に達成できており,紙一重で成功があることを痛感.

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    2013年11月17日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    ネタバレ

    マックスウェーバーは国家の本質を『合法的な暴力の独占』と定義した。中央集権していない国家は政情不安を招き、混沌となる。そしてその盛衰は文化や地理的気候が決めるのではなく、国家の政治・経済制度が決める。収奪的制度(≒共産主義?)を採る国は一部のエリートが富を得ることで、それ以外の人々との内紛や政情不安を必ず引き起こす。エリートは情報を操作し、自由な発想や創造的なものを破壊してしまうからだという。
    つまり十分に中央主権された強力な国家と多元的価値観を認める政治・経済制度の共存が、繁栄できる条件なのだ。

    植民地時代においても王に集権していたスペインと多元的なイギリスとの差がその後の繁栄を分けた。
    更に植民地にされた国(特に資源が見込まれる国)は搾取を容易にするため、収奪的な政治・経済制度を強要され、繁栄を妨げられた。
    人間の欲望が人間を支配する起源であることがよく分かる。
    資源も少なく、タイミングよく明治維新が成功した日本は、こうした世界の潮流に飲み込まれなかったのかのように思えたが、やはり集権的な時代には数度の戦争に突入した。
    集権・多元を繰り返すことが今後も国家の宿命なのだろうか。

    まだまだ集権的な中国やロシアといった大国は、今後どのような方向に進むのか。

    宗教で集権化されている国々はどうなっていくのか。

    読んでいて根本的な問いが生まれるのは良書の証拠なのだと思う。

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    2013年10月20日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    開発経済についてはトダロくらいしか読んだことがなくて詳しく知らなかったのですが、この本はその方面というよりも、人類学的な視点で読むべきかと思われました
    面白さは折り紙つきであるといえるでしょう

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    2013年10月07日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)

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    批判も賛同も多く出ているので、すでにそれに付け加えることもないのでしょうが、還元主義的というか説明のための歴史や制度の恣意的な採用をして書いているのではという違和感はありました
    それでも経済学のブロゴスフィア的にはあまり扱われない国々についての詳しい説明があったのはおもしろかったのですが

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    2013年10月07日
  • それをお金で買いますか 市場主義の限界

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    『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデル教授が市場主義と倫理の問題を扱った本。原題は、"What Money Can't Buy: The Moral Limits of Markets"でもう少しストレートに道徳上の観点から市場主義を批判していることを示している。

    サンデル教授の授業をTVで見たが、事例が豊富で対話での対応が非常にうまい。本書でも市場で取引される微妙な事例が多数取上げられている。『正義』では、その事例の判断を読者に委ねるところが多かったが、本書では踏み込んで市場主義を倫理によって制限すべきであるとする著者の立場を鮮明にしている。その点は『正義』の方が抑制的であった。

    サンデルの問題意識は、「市場と市場価値が、それらがなじまない生活領域へと拡大したこと」にある。その事例として非常に多くの具体的な事例を挙げている。

    ・刑務所の独房の格上げ
    ・インドの代理母による妊娠代行サービス
    ・絶滅危惧種のクロサイを撃つ権利
    ・ディズニーランドのファーストトラック
    ・主治医の携帯電話の番号
    ・CO2排出権
    ・額のスペースを広告に貸し出す
    ・ソマリアやアフガンの傭兵
    ・公聴会の席取りのための行列並び
    ・生命保険の買取り
    ・セックス
    ・腎臓

    サンデルは、市場主義にその根拠として「不平等」と「腐敗」を挙げる。倫理において「腐敗」を論じるとき、何らかの論理的跳躍が必要になる。「市場はものを分配するだけでなく、取引されるものに対する特定の態度を表現し、それを促進する」という観点は正しく重要だ。保育園での迎えの時間に遅れた場合に罰金を徴収することとなったとい逆に遅刻する親が多くなったというエピソードは、意図と反対の結果になったとともに直感的には意外ではあるが、よく考えると当然のことのようにも思われる。値付けをして金銭に替えることができるものとすることで、それまでの倫理的な義務の性質が変質した例である。しかし、「生きていくうえで大切なもののなかには、商品になると腐敗したり堕落したりするものがあるということだ」ということの間にはまだ大きな間隙が存在しているようにも思う。

    市場と道徳についての考え方について、サンデルの意見に完全に賛同できるわけではなく、どちらかと言えば市場にまかせてしまった方がいいと思う範囲は広いように思うが、いずれにせよ提起されている問題は切実であり、検討に値するものだ。

    柄谷行人がかつて資本主義は選択できるものではないという意味で「主義」ではない、といったことを思い出した。当時の状況で柄谷がどこまでのことを意味していたのか分からないが、市場を否定しても、市場社会から抜け出ることはもはやできないという意味で捉えた。
    サンデルは、市場の論理が生活から道徳的議論を排除する方向に向けることを危ぶんでいる。市場自体は倫理や道徳について判断を下さないからだ。そう主張するときに、柄谷のことを思い出す。

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    2021年05月16日
  • 国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

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    本書自体は膨大な歴史実証の本で大変素晴らしい内容であるが、上巻に比べると、ケーススタディばかり書いてあって上巻に加えた純な付加価値はほとんどなかった(つまり、オチが一緒だった)ので、読んでいて正直退屈であった。従って、本書を読む際は新たな理論的枠組みを知ろうという目的で読むと期待外れな結果になってしまうので、上巻の理論的枠組みの事例紹介の続きを読むような心持ちで読んだ方が良いと思った。言い換えれば、経済成長史の本として読むのが適切であろうということである。
    個人的に付加価値があるなと思ったのは最終章(15章)で、ここでは本書の締めくくりのみならず開発経済学の観点から見て興味深いポイントがいくつかあった。この章のみは熟読する価値があると思う。

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    2013年07月20日
  • 人類が消えた世界

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    ネタバレ

    久しぶりに読み応えのある読書。未来を考えること=過去を学ぶこと=今を知ること。

    以下、引用
    ●ナードルと呼ばれる小さな粒は、年間5500兆個、重量にして約1億1350万トンが生産されていた。ムーアはこの粒をどこでも見つけたが、それだけではなかった。クラゲやサルバー海中にきわめて多く生息し広く分布する濾過摂食動物ーの透明な体に取り込まれたこのプラスチック樹脂の粒をはっきり目にしたのである。海鳥と同じように、明るい色の粒を魚卵と取り違え、肌色の粒をオキアミと取り違えたのだ。いまやいったい何千兆個のプラスチック片が、ボディースクラブ材に配合され、大型生物の餌となる小型生物が飲み込みやすい大きさとなって海へ流されているのか、見当もつかない。
    ●チェルノブイリのハタネズミに関するそのほかの研究でも、このげっ歯目動物もツバメと同様に、ほかの土地に生息する同じ種より短命だとわかった。それでも、性的成長と出産を早めて埋め合わせをしているらしく、生息数は減少していない。
    ●現時点で、人間が地上から忽然と姿を消したとしたら、世界はどう変わっていくだろうか、と。この問題を考えることによって、人間が地球に対してどれほど負荷をかけているのか、地球は今後どんな運命をたどるのかについて、多くのヒントが得られるのではないだろうか。本書の著者であるアラン・ワイズマンは、そう語りかける。

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    2014年11月29日