鬼澤忍のレビュー一覧
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我々の幸福の大前提である「人間の尊厳」そして誰もが従う「正義」に照らして「能力主義」は人間の尊厳を踏み躙る平等主義の間違った理想であり、正義ではない、という話。
能力ですべてを決める。能力はその人の努力の賜物である。そうすると、努力しても社会が認める能力を持てない人には自信の喪失、屈辱と敗北感、そして貧困が待っている。すべての子供に教育の機会を与えるというACジャパンのCMや、高校の授業料無料といった施策が善とされる。しかし、お金や機会の問題ではなく勉強ができない人は逃げ場がなくなる。成功した者は「機会の平等」を与えれば解決すると思い込んでるが、それは平等ではなく能力を基準とした不平等の再配分でしかないということです。
サンデル教授は、アメリカで民主党が貧しい人や有色人種たちにリベラルな立場として「機会の平等」ばかり与えてきたが、成功できなかった人たちを蔑ろにして不評を買った。本来白人や既得権益を守る共和党だがトランプは逆にアメリカを再び偉大にすると呼びかけ、成功できなかった人にも夢を与えた。そしてインテリたちは有色人種やLGBTの人権は声高に叫ぶが、成功できなかった人たちは怠け者の落伍者として無視する。この恐ろしさ。
子供の頃は「職業に貴賎はない」と親からも学校でも習ったけれど、進学や就職が近づくにつれて、子供の夢や志望を全否定することを散々言われたことを思い出す。当時は大人は汚いと思ったけれど、世界中が能力主義に向かう過渡期だったのですね。究極の幸福は金持ちになることという考え方が全人類を不幸にしてるのです。そして「やればできる」とか「あなたには無限の可能性がある」とかいう言葉も同様に間違ってるのです。
こういう話は社会の常識を打ち破る話なので簡単なことではない。サンデル教授は一人ひとりが神か偶然か運命がなかったら自分もああなっていた、と考える謙虚さが社会の絆を生み、怨みや憎しみのない社会をつくる、と締めくくります。映画「知らないカノジョ」で中島健人が思い知らされるのと似たような謙虚さですね。あれを2人の間だけでなく全人類に対して抱く必要があるんですね。
とはいえ、どういう仕組みを作っても平等にはならないでしょう。平等かどうかではなく、一人でも多くの人が総じて言えば幸せと感じる社会になってほしいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ行き過ぎた資本主義は、全ての物をお金で取引できる市場主義へと変えてしまった。お金の為に人身売買や臓器売買までもが需要と供給によって成り立ってしまう場合だって有るのだ。そこには道徳やモラルが歯止めになる事もあるが、当事者同士が双方利益を享受出来るとしたら、そして市場として成り立ってしまったら、そう考えると恐ろしい世界になってしまうだろう。イスラエルの幼稚園では、時間になっても子供を迎えに来ない親を如何に減らすか、対策として罰金を設ける事にした。結果はどうだろう?意に反して子供を迎えに来ない親が増えてしまった。親たちは、罰金を料金と受け止めてしまったのだ。
などなど、色んな考えさせられる事例がこの本には挙げられている。「これから正義の話しをしよう」の著者マイケル・サンディルの行き過ぎた市場主義に疑問を投げかける素晴らしい本だ。 -
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能力は、神の恩寵でなく努力の賜物である。だから能力が重視されるのである。そのためには能力を評価するための平等な仕組みは必要であり、社会は (学歴や労働の面で) 平等と思われる仕組み作りに奔走してきた。能力があるものが社会やコミュニティへの貢献度が高い。だから富や権力を得るのは当然であり、それが社会を発展に導く。
と、皆思っている (思わされている) がそうではない、が著者の主張。
能力 (とりわけ知的な) は努力だけでは測れない要因 (広く言えば諸々の環境) が多々ある上、厳密に平等を実現するのは困難である。平等を突き詰めれば、より明確な勝者と (言い訳のできない) 敗者が生まれ、敗者はその烙印に耐えられず社会は疲弊していく。大事なのは (一生の間だけでなく世代間含めた) 流動性であり、適度なランダム性や1次元の評価軸でない多様な価値観 (共通善への貢献尺度) が必要 (具体は6章、7章) 。強者は自身の能力に奢らず (もちろんサーカスばりの努力もある) 、自信の立場があるのはコミュニティからの恩恵/他者からの貢献を授かった上で成り立っていることを謙虚に受け止め恩返し、熟議すべしと。
哲学者らしい道徳的な視点から歴史的な経緯、昨今の事情 (特にアメリカの) を交えて滾々と訴えている。アメリカンドリームを標榜する米が実際には先進他国と比べても流動性が低いのは意外であり象徴的。現在の暴力的な格差を是正するのは並大抵ではないが、土台が揺らげば社会が傾き何かしらフィードバックは掛かるのかな。
「これから「正義」の話をしよう」含め、著者の本は考えさせられることが多く楽しい。ただ、この本はちょっと冗長な感じでくどい感じはする。 -
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第二次世界大戦後、アメリカは豊かだった。1950年代。
これはよく聞く話。
技術革新がなされ、それが労働者にも反映された、古き良き時代。
しかしそれが続かなかった。
機械化がどんどん進み、労働者は隅に追いやられた。切られた。
必然的に労働分配率は下がる。
理屈は分かる。それだけ設備投資に金が要るのだ。その金が利益を生む。
。。ここでまた、ミルトン・フリードマンが登場する。
企業は利益と配当だけ考えればいいと。フリードマン・ドクトリンと。
悪のように書かれる。フリードマン信者としては心外だな。
フリードマンは再配分を疑ってかかってる。私も同じ。うまくできるはずがない。
必ず恣意的なものになる。権力者が有利な分け方になる。
操作せないのが民主主義のはずだが、実態はうまく行かない。
だったら経済に任せれば、、となると今のように富の偏在が起こる。
悩ましい。
話しを本に戻すと、その技術革新はDX、AIで違うステージに入る。
いよいよ人間がいらなくなる。
。。。そうなると答えはベーシックインカム、もしくはベーシックサービスなのか?
奴隷に働かせてローマ人は遊んで暮らしていたように、
富はAIが作って我々は芸術等にいそしめるのか?
この本はそこまで書いていないけれど、そういう未来もあるのかな、、
いずれにしても今の日本もこの本の通りになっている。
富める者と貧しい者に分断されている。
ただ違うのは日本自身が衰退しているということ。衰退の中の分断。
悲劇だ。限られたパイの取り合い、、、
地球環境を考えれば衰退もやむなし、、、とは、思えない。子供たちを見れば。
未来を見れば。
どうしたらよいものか、、、
〇第7章 争い多き道
〇第8章 デジタル・ダメージ
〇第9章 人工闘争
〇第10章 民主主義の崩壊
〇第11章 テクノロジーの方向転換
〇謝辞
〇解説/稲葉振一郎
〇口絵クレジット
〇文献の解説と出典
〇参考文献
〇索引 -
Posted by ブクログ
ネタバレ《「あなた」は今、どんな気持ち?》
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※少し本の内容に触れておりますので、ご注意ください。とても分かりやすく有益なお話なので、未読の方は是非お手に取って頂けたらと思います。
※今回のレビューは私が好きな夢小説というジャンル(自分で苗字や名前を変えられるネット小説)風に、(名前)さんに向けてお届けします。(名前)には皆様の苗字や名前を当てはめてお楽しみください。
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(名前)さん、はじめまして。
不躾な質問で恐縮ですが、あなたは今、どんな気持ちですか?
「不安な記事や動画を見てしまい、動揺している」
「考えたくないマイナスな考えに支配されて、上手く感情を抑えられない」
「何もしていないけど、全て自分が悪い気がしてくる」
このような事でお悩みかもしれないし、悩まれた経験があるかもしれません。
大丈夫!そのお悩み、案外簡単に解決するかもしれませんよ。
今回はその中から、特に簡単で実践しやすいと思った方法をひとつ紹介します。
その方法は、心の中で考え事をしたり、誰かに自分のことを話したりする時、一人称「私」の代わりに、自分の名前や「あなた」を用いること。
それだけ?と思われたでしょう。
はい、たったこれだけで良いんです。もし(名前)さんがこちらの本を読まれた後であれば、この簡単な方法にどれだけの効果があるかは既にご存知だと思います。
私もこちらの本を読みながら試したのですが、一瞬で心が温かくなって、気持ちが楽になりました。
実践しやすい方法が、もう既に実践されている方が多そうなものも含めしっかりと実験の根拠も提示された状態で書かれておりますので、安心して読み進めることができ、読み進めた後はすぐに色々試してみたくなることでしょう。
「アレもコレも自分のせいだ!」と自分を責めてしまっているあなた、それは本当にあなたのせいでしょうか?
こちらの本を読んで、チャッターと上手く折り合いをつけて生きていくことができる人が増えたら良いなと思います。
【ひとりごと】
「具体的なアドバイスを必要とする時、まず誰に相談するかを考える」というのは、相談相手が浮かばない場合は今回のように本からアドバイスを得るのも良い方法なのではないかなと思いました。 -
Posted by ブクログ
能力主義とは、一般に、家柄などのような本人の意思では変えることのできない属性により生涯が決まってしまう貴族制よりも、公正な制度だと一般に考えられている。 しかし現実には、高額な教育費を支払える富裕層の子は名門私立大学に進学するうえで明らかに有利になっている。現代社会で能力を推し量る最大の目安となる学歴が、親の資産である程度決まってしまうのである。
そのような現実にも関わらず、高学歴のエリートたちは、努力さえすれば誰でも能力の許す限り高い地位を得ることができるという建前を主張する。能力主義を主張することは、エリートたちにとっては自らの現在の地位が己の努力によってのみ獲得したものとみなせる反面、非エリートたちにとっては現在の恵まれない現状は己の努力不足、自己責任である、とみなされてしまう。能力主義社会の敗者たちに救いはない。やりようのない怒りが、学歴エリートへの反発を産み、トランプを大統領へと押し上げたと言える。 -
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ネタバレ行動心理学の本読みたい→検索→行動心理学の本ランキング!→ほえ〜買うか
多分5位?とかだった気がする
シンプルに内容(文章)が面白い。
一つ一つの章が海外ドラマみたい。
著者もそうだけど、翻訳の人が上手いのかな。
・第三者視点で俯瞰して映像化してイメージする〇
・心の中で自分を名前で呼んで語り掛ける〇
・日記を書く〇
・儀式を行う(一連の決まった流れを行う事を習慣化する)
・自分なりのお守りを持ち歩く〇
チャッター(心の声)と距離を置くにはこれがお勧めらしい。
他にも色々あったけど。
〇は自分で無意識にやってた事だった。
儀式するのいいな。
音駒の「俺たちは血液だ。〜」みたいな事でしょ?かっけえ。私靴でも鳴らそっかな。
・心の痛みは体にも痛みとして現れる(実際に数値として出る)
これが面白い研究だと思った。
実際に数値として出るのは意外。
確かに、緊張したりストレスがかかっている時は背中や手が実際に痛くなる。
背中は胃痛かな?と思うけど(胃が弱ってる時よく同じ箇所が痛い)手はなんだ?
肘から指先まで、電気が走ったみたいに痛む。
失恋の痛みとかあるもんな。知らんけど。
頭の中が常に騒がしいのでコントロール出来ればいいなと思う反面、これが無ければ私ではないとも思うので、難しい。
(作中でも、チャッターを完全に消す事は勧められないとある)
よくよく考えたら行動心理学の本だよ!と言って他人に薦められる感じではないな。著者は教授だし、心理学の本だけども。 -
購入済み
例が細かく多様
言ってしまえば、核心は変わらず様々なケーススタディで繰り返し主張への説得力を固めていく形。でもそのケース内容が細かくて、じわじわと教養も広がって、既存の知識と結びついていく感じがして読みがいもあるし、主張内容も納得。
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購入済み
ローマ人の物語の併読を推奨
民主政、共和政が過度にお気に入りの様子なので、少しおかしなこと言ってるのではないの、
みたいなとこもあります。
塩野先生のローマ人の物語で裏をとってください。
ローマは、王政、共和政、帝政、東西に分割、西、東の順番に消失になります。
ライン河、ドナウ河の南西部が最盛期の領土で、ルーマニア、当時はダキア、ローマニアと発音すべき気もします。
領土的には出っ張りもあります。
共和制で協議しちゃうと決定するのに時間がかかる、戦争仕掛けられて対応の協議に時間がかかるのとか、まずいと思いますし、
仕掛けた場合も同様です。そこで頭にいる皇帝が速やかに仕切るようにしたのが帝政ローマ。
初めの約200年はパスクロマーナと呼ばれていて、前世のお手本のように言われてます。
ルビコン渡ったカエサル、英語だとシーザー、7月の人ですね、後釜のアウグスチヌス、8月の人、
の後任のティベリウスが塩野先生の言っていた通りに
ボロカス言われているのは、この人ほんとに嫌われていたんだなと思います。
話は面白いです。お好みで。