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成功を決めるのは努力か環境か? ハーバード随一の人気教授が「能力主義」の是非を問い日本中に議論を巻き起こしたベストセラー
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Posted by ブクログ
昨今の世の中の混乱を西洋におけるプロテスタント倫理の崩壊と言う意見を聞くようになりました。 本書でもそのあたりを『自らの健康とささやかな成功を神に感謝する考えから、健康で成功するためにきちんとできる人間である事は神に愛されている証と言う考えに変わり、健康で成功するために努力する事が神に愛される原因と...続きを読む考えるようになり、健康で成功するための努力そのものが個人の選択と能力により獲得できるものと考えるようになり、ついには自分の運命は自分が握るものと言う考えに至った』とページを割いて説明しています。 自分の運命は自分で切り拓くものと言う考えは実に人間本位の考え方だと思います。 多分ですが、今の私があるのは私一人の手柄ではなく、親や友人や先生や他の誰や神様や運命が私に与えてくれたものと考える事が第一歩なんだと思います。 一度こう言う考えに立ち返る事で、私たちの価値や能力は本来は他の誰かとの関係性の中でしか評価できないものと気付けるのかもしれません。 人間には社会生活に積極的かつ生産的に参加したいと言う要素があり、これが満たされる事、つまり他人を承認し他人から承認される事を抜きにしては、分配だろうと流動性の向上だろうと、小手先のテクニカルな政治的な対処ではもはや意味を持たない事も良く理解できました。
入試にくじびきを導入することを提案することが有名なサルデルのメルトクラシー Meritcracy に関する著書。本書のテーマである能力主義やアメリカンドリームといった一見もっともらしいものと、いわゆる公共善との間の矛盾を鋭く、というより丁寧に指摘している。 私は、このような観点について公平か平等...続きを読むか、といったよくある議論どまりの視点しかもっていなかったが、平等というもののロールズやハイエクの主張が無批判にいわば常識として自分に刷り込まれていたことに気付かされた。
当たり前だと思ってきた「能力主義」というものを根本から考え直させられました。 努力すれば報われる、教育機会を広げれば公平になる…リベラルな考えに比較的共感してきて、これまで善意だと思っていた考えが、実は「成功できなかった人は失敗者」という偏見を助長しているのではないか、と気づいて少し衝撃を受けました...続きを読む。 私たちは生まれてから受験、就活、昇進とずっと選別され続けています。何かしらの基準で「優れている」「劣っている」とラベルを貼られるのが当たり前になっていて、達成した人は驕り、達成できなかった人は自分を責めてしまう。 でも本当に大事なのは、そうした基準を超えて、どんな立場の人も尊厳をもって生きられることなのだと思います。 サンデルの提案する改善策は正直まだ現実味が薄い部分もあると思いますが、それでも「この社会の常識を一度立ち止まって疑う」きっかけを与えてくれる一冊でした。
行き過ぎた学歴主義・能力主義がもたらす弊害を広く概観し、能力≒報酬を受けるに値するという発想に根拠がないことを論じ尽くす。日本の社会学者立岩真也にも近いものがあるよね。
我々の幸福の大前提である「人間の尊厳」そして誰もが従う「正義」に照らして「能力主義」は人間の尊厳を踏み躙る平等主義の間違った理想であり、正義ではない、という話。 能力ですべてを決める。能力はその人の努力の賜物である。そうすると、努力しても社会が認める能力を持てない人には自信の喪失、屈辱と敗北感、そ...続きを読むして貧困が待っている。すべての子供に教育の機会を与えるというACジャパンのCMや、高校の授業料無料といった施策が善とされる。しかし、お金や機会の問題ではなく勉強ができない人は逃げ場がなくなる。成功した者は「機会の平等」を与えれば解決すると思い込んでるが、それは平等ではなく能力を基準とした不平等の再配分でしかないということです。 サンデル教授は、アメリカで民主党が貧しい人や有色人種たちにリベラルな立場として「機会の平等」ばかり与えてきたが、成功できなかった人たちを蔑ろにして不評を買った。本来白人や既得権益を守る共和党だがトランプは逆にアメリカを再び偉大にすると呼びかけ、成功できなかった人にも夢を与えた。そしてインテリたちは有色人種やLGBTの人権は声高に叫ぶが、成功できなかった人たちは怠け者の落伍者として無視する。この恐ろしさ。 子供の頃は「職業に貴賎はない」と親からも学校でも習ったけれど、進学や就職が近づくにつれて、子供の夢や志望を全否定することを散々言われたことを思い出す。当時は大人は汚いと思ったけれど、世界中が能力主義に向かう過渡期だったのですね。究極の幸福は金持ちになることという考え方が全人類を不幸にしてるのです。そして「やればできる」とか「あなたには無限の可能性がある」とかいう言葉も同様に間違ってるのです。 こういう話は社会の常識を打ち破る話なので簡単なことではない。サンデル教授は一人ひとりが神か偶然か運命がなかったら自分もああなっていた、と考える謙虚さが社会の絆を生み、怨みや憎しみのない社会をつくる、と締めくくります。映画「知らないカノジョ」で中島健人が思い知らされるのと似たような謙虚さですね。あれを2人の間だけでなく全人類に対して抱く必要があるんですね。 とはいえ、どういう仕組みを作っても平等にはならないでしょう。平等かどうかではなく、一人でも多くの人が総じて言えば幸せと感じる社会になってほしいものです。
能力は、神の恩寵でなく努力の賜物である。だから能力が重視されるのである。そのためには能力を評価するための平等な仕組みは必要であり、社会は (学歴や労働の面で) 平等と思われる仕組み作りに奔走してきた。能力があるものが社会やコミュニティへの貢献度が高い。だから富や権力を得るのは当然であり、それが社会を...続きを読む発展に導く。 と、皆思っている (思わされている) がそうではない、が著者の主張。 能力 (とりわけ知的な) は努力だけでは測れない要因 (広く言えば諸々の環境) が多々ある上、厳密に平等を実現するのは困難である。平等を突き詰めれば、より明確な勝者と (言い訳のできない) 敗者が生まれ、敗者はその烙印に耐えられず社会は疲弊していく。大事なのは (一生の間だけでなく世代間含めた) 流動性であり、適度なランダム性や1次元の評価軸でない多様な価値観 (共通善への貢献尺度) が必要 (具体は6章、7章) 。強者は自身の能力に奢らず (もちろんサーカスばりの努力もある) 、自信の立場があるのはコミュニティからの恩恵/他者からの貢献を授かった上で成り立っていることを謙虚に受け止め恩返し、熟議すべしと。 哲学者らしい道徳的な視点から歴史的な経緯、昨今の事情 (特にアメリカの) を交えて滾々と訴えている。アメリカンドリームを標榜する米が実際には先進他国と比べても流動性が低いのは意外であり象徴的。現在の暴力的な格差を是正するのは並大抵ではないが、土台が揺らげば社会が傾き何かしらフィードバックは掛かるのかな。 「これから「正義」の話をしよう」含め、著者の本は考えさせられることが多く楽しい。ただ、この本はちょっと冗長な感じでくどい感じはする。
能力主義とは、一般に、家柄などのような本人の意思では変えることのできない属性により生涯が決まってしまう貴族制よりも、公正な制度だと一般に考えられている。 しかし現実には、高額な教育費を支払える富裕層の子は名門私立大学に進学するうえで明らかに有利になっている。現代社会で能力を推し量る最大の目安となる学...続きを読む歴が、親の資産である程度決まってしまうのである。 そのような現実にも関わらず、高学歴のエリートたちは、努力さえすれば誰でも能力の許す限り高い地位を得ることができるという建前を主張する。能力主義を主張することは、エリートたちにとっては自らの現在の地位が己の努力によってのみ獲得したものとみなせる反面、非エリートたちにとっては現在の恵まれない現状は己の努力不足、自己責任である、とみなされてしまう。能力主義社会の敗者たちに救いはない。やりようのない怒りが、学歴エリートへの反発を産み、トランプを大統領へと押し上げたと言える。
ハーバード白熱教室で有名なサンデル教授の本。彼自身はハーバードの政治哲学者であり、コミュニタリアニズムの代表者でもある。得てして我々は、努力をしたものが報われるのは当然である、能力がある人が高い収入を得るべきだというメリトクラシー(能力主義)的な考え方を当然だと思っている。しかし、それは本当なのか、...続きを読む能力に応じた機会の平等を訴えていたリベラル政党が弱まりポピュリズム政党が力を増しているのはなぜなのか。考え直すべき時期かもしれない。米国の能力主義が宗教的価値観が源泉だったというのも非常に興味深かった。
やはりサンデルは良い。たとえ全編そうでなくとも、自分では辿り着けないいくつもの見解に出会うことができる。 例えば、第2章の「能力の道徳の歴史」は、Dトランプ的自力志向や、日本の無宗教性ゆえの自己救済などに思いを寄せることができる「宗教的教養」を提示している。
気づきを与えてくれる1冊。才能を伸ばす、努力する、成果を上げる、報酬を貰う、他人から讃えられる。現代の能力主義の日本で生きていたら当たり前ことを根本から考え直せます。個人的にはトップの成功者ほど、「実力も運のうち」な事に自然と気づけている気がします。その証拠に超富裕層はフィランソロピー(社会貢献活動...続きを読む)に関心が強い人が多い(お金を使い切れないというのもあるが)。SNS等で成功者ぶった人を見ても、この本を読んだ後だと幼稚に見えて、精神が乱されず、本質を見抜くことに繋がります。
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