あらすじ
日本中が熱狂したベストセラーが紙版の文庫化に合わせて大幅値下げ。
さらに世界初公開、マイケル・サンデル氏の次作『それをお金で買いますか』より「序章」を先行収録いたしました。
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。
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Posted by ブクログ
1章1章が非常に考えさせられる良本でした。
そして、1章ごとに知識と前提が積み重ねられ、10章に著者の専門の政治哲学を語るに至る。
各章のメモ書きが大変な量になりました。
やはり哲学は面白い。そして意味と価値がある。
少しずつでも学び、著者のように生活や活動に活かせられるようななりたい。
Posted by ブクログ
この本を読んで感じたことは,価値は多義的であり,決して定まりきる事はないという事です。倫理的,社会的な問題と向き合った時,唯々諾々と用意された解答を読み上げるのではなく,自分自身の台本を生み出す事がこれからは必要とされると思いました。
Posted by ブクログ
少し長めの本であったが正義について、多くの哲学から紐解き説明している点は面白い
カントやロールズ、アリストテレスなどの本を読んだことはなかったが、それぞれの主張も丁寧に説明している
また、各テーマに対してロースクールや寮での話などの具体的なケースを引用しているところが多く理解しやすかった
最後の市場原理の話も面白く、「それをお金で買いますか」という本も読んでみようと思う
Posted by ブクログ
再読。
ベンサムやミル、カント、ロールズ、アリストテレス等を参照にしつつ正義とは何かについてアプローチしていく。
難解なところもあるが、普段私たちが何となく正しいと思っていることを言語化してくれていたり、当たり前に見えたものに違う視点を提示してくれる点があって改めて知的好奇心を刺激させられるような内容だった。
Posted by ブクログ
わたしの人生の中でこれまで「正義」について考えたこともなかった。「正義」に限定せずあらゆる視点で物事をみる楽しさがあります。またいつか読み返します。
Posted by ブクログ
自分の正義(信念)は一体なんなのか。人それぞれの想う正義があり、それを信じて生きている。
全て正義である。自分の正義は自分で決める。とても考えさせられる本でした。ぜひぜひ読んで欲しい本です。
Posted by ブクログ
一貫した主義を持つこと、全員の正義感が一致することの不可能を痛感する本。
本作では数々の例を挙げ、多角的な視点から各々の意見が述べられる。それらに目を通すうちに己の主義は何なのかと迷走を始めた。
誰しもが納得のいく政治、経営の難しさが身に染みる一冊となった。
一点疑問だったのは、アリストテレスの奴隷擁護論で、当時の政府への忖度があったのではないかと疑うほどの脆弱性を感じた。
ソクラテスの最期を知ってかどうかはわからないが。
Posted by ブクログ
ハーバードで長年政治哲学を教え、ハーバード熱血教室でも一躍有名になったサンデル氏の代表作です。本書の冒頭に書かれていますが、正義を議論するには3つのアプローチがある。それは福祉(効用)、自由、道徳である。冒頭ではどれが良い、悪いというような結論は示さず、まさにハーバード流ケースメソッドではありませんが、読者の頭を柔らかくし、視野を広くすることを目指している、という印象を強く感じました。そして最後の方で、ようやくサンデル氏の持論として、「道徳」の大事さ、別の言葉で言えば「連帯的な責任」の重要性を説くわけですが、個人的には説得力があったと思いますし、この展開は納得性がありました。
サンデル氏というとコミュニタリアン(共同体主義者)というようなレッテルを貼られていることが多いかと思いますが、本書でも述べられているように、本人としては当惑しているとのこと。コミュニタリアンという呼び名は間違ってはいないのでしょうが、おそらく彼が最も主張したいのは「連帯的な責任」の重要性でしょう。これは日本人にはわかりやすい主張かと思います。個人主義や自由信奉主義がゆきすぎた結果が、今の米国社会の危機(市民的生活の崩壊)だというのは納得できました。またサンデル氏が述べているように、唯一の正解などないし、合意に至ることもないかもしれないが、それでも議論をすること、公共的言説の質を高めていくことが重要だという点は深く共感しました。
Posted by ブクログ
本書は、正義とは何か?という問いに対し、次の3つの視点から説明している。
①最大多数の最大幸福(効用や福祉の最大化を目的にした功利主義的な見方)
②選択の自由(市場を重視する自由至上主義的な立場と、リベラルな平等主義者とで立場が別れる)
③美徳と共通善
現代において正義をめぐる議論は、効用や自由を中心に行われているが、
本書ではそれらについて功利主義や自由至上主主義における伝統的な議論を踏まえた上でその限界を示す。
そういった正義における考え方の限界を乗り越えるために、美徳や共通善からのアプローチが必要だと著者のマイケル・サンデルは説く。
本書を読んで良かったことは、正義における様々な立場を理解することができたこと。
この本の目的としては、正義をめぐるいくつもの考察を経ることで、自分自身がこれまで漠然と抱いてきた見解を批判的に見るということだと思う。
効用の最大化も、選択の自由も、必ずしも道徳や正義にかなう結論には至らない場合もあり、
「この考えが正解」という万能薬は無く、時代や状況に合わせて共通の善や美徳を追求するという考え方も大事だと感じた。
Posted by ブクログ
自分が政治哲学に興味をもつきっかけになった本。
サンデルの文章は分かりやすくて毎度感動する。現実に起きている問題と政治哲学を結びつけて議論していく内容となっている。例も分かりやすく、これからの世の中を考えるには最適な1冊。ただ、カントの内容は難しい。
2回目
やっばりサンデルの考えはいい。だけど、ロールズの話もなんとなく魅力に感じてきた。
3回目2025.7.11
ベンサム→結果に注目
カント→行為の動機に注目
アリストテレス→ものの性質に注目
共通善を育むことが今後の政治課題らしいが、サンデルは今のトランプ政権を見てどう思うのか。トランプのナショナリズムも一種のコミュニタリアニズムのような気がするが、間違っているのだろうか
Posted by ブクログ
正義と善き生 正義とはという考え方を功利主義、自由主義、そして共通善と美徳を考えた見解でアプローチしている。
哲学をさわり程度知っている方が読みやすいと感じた。
筆者は第三の考え方を主張しているが、それぞれの考え方の論点を細かく様々な例を元に説明しており、難しいながらも自分なりの意見を考えることができる。
Posted by ブクログ
10年前に買ってた積読。今になってやっと読み終わった。
正義とは何か、自由が重視されるアメリカ社会の諸問題を取り上げて論じていく。
何が正しいのか何が善いのか
全てを理解できたとは言い難いが、難しいなりにも面白く読み終えれた。
これを機に哲学を学び直すこともできた。
Posted by ブクログ
正義をめぐるこれまでの政治哲学の議論を、さまざまな事例をもとに紹介している。功利主義(ベンサムとミル)→リバタリアニズム→リベラリズム(カントとロールズ)→アリストテレス→コミュニタリアニズムと展開し、サンデルは功利主義やリバタリアニズム、リベラリズムを批判し、コミュニタリアニズムの立場をとっている。
訳文であるため少し読みにくいけれども、さまざまな事例と政治哲学を結びつけて論述しているため、政治哲学の入門書として読めると思う。
ただ一つ気になるのは、善き生に基づく政治を提案しているが、世界で市場原理を採用した政策、新自由主義的な政治が行われる中で、市場・効率と政治のバランスをどうとるのかということだ。
Posted by ブクログ
自分の中での世界が広がった気がする。
当たり前だけど立場や環境が違うと考え方や正義が違うことが分かった。
読む前に比べるとより深く、それぞれの正義について考えられるようになった。
Posted by ブクログ
大学の頃に読んだ一冊。
哲学の講義の推薦図書として掲げられていたから読んだのだけど、その授業はこの本をベースにしているにもかかわらず悉くつまらくて、マイケル・サンデルに失礼だ!と、思っていたのが懐かしい。
国際政治から友人関係まで、自身の哲学の礎になった名著。全ての学生に読んでほしい。
Posted by ブクログ
改めて読むと2024年までのアメリカにおけるポリコレの根っこが理解できる。この本に書かれていることとして、正義の追求には反対、一定マスの道徳に従うべきとあるが、大きく賛同する。
アメリカのポリコレは行き過ぎた自由主義が暴走したといえよう。
Posted by ブクログ
前半は、有名な「トロッコ問題」や「臓器移植の是非」に対して多角的な視点を挙げており、倫理観を育める内容だった。後半は、内容以前に難解な文章で読むのに疲れた。
Posted by ブクログ
頭でっかちのインテリの考えにもともすると見えてしまうが、国という大きなものを舵取りするためには通らなきゃいけない道だなと思う。
具体的なエピソードが全部面白いのでそれなりに楽しめる。
Posted by ブクログ
アメリカでトランプ氏が復権した時代に、きわめて弱い声かもしれないが、聞かなくてはいけない主張がここにあるような気がした。
自由な選択を尊重するリバタリアンも、全体の幸福を目指す功利主義も、正義の観点からは疑問符がつく。カントも、ロールズも、いまひとつだ。ではどうすれば?
多元的社会では、道徳も共通善も一致しない。でも、他者の尊重の名のもとに、議論を回避すれば、「偽りの敵意」が生まれかねない。公共の言説の貧困化につながりかねない。(実際そうなっている)。だから、道徳や共通善を考えるという、困難な道筋をあきらめてはいけない。市民道徳を育み、公民的生活基盤の再構築を目指すべし――。
道徳に関与する政治とは、「正義にかなう社会の実現をより確実にする基盤でもあるのだ」とは、なかなか力強い結論だ。ただ、この困難な時代にあって、この結論をどう形にするかは、また別の、難問だ。
Posted by ブクログ
「正義」に関する哲学の理論体系が整理されている。
ハーバードの授業が元になっているだけあって、網羅的だ。
正義を功利主義(効用の最大化)として捉えることも、リバタリアニズムやリベラリズム(選択の自由、平等)で考えることも、限界がある。
道徳や価値観は人によって異なるが、その差異を無視するのではなく、個別のテーマについて議論を深めることで、共通善を探っていくことが必要だ。
分断が進む社会での示唆にも富む名著。
日本はアメリカほど分断が進んでいないと実感したので(富裕層も公立の学校に行きたがる、公営の病院が機能しているなど)、維持されてほしい…
Posted by ブクログ
◯自由に行動するというのは、(中略)目的を目的そのもののために選択することだ。(144p)
◯カントにとって、自殺は殺人が誤りであるのと同じ理由で誤りだ。どちらも人格を物として扱っており、それ自体が究極目的である人間性を尊重していない。(160p)
◯幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美德に一致する魂の活動」なのである。(255p)
★カント、ロールズの哲学を少しでも知ることができて良かった。
★何が正しいのか、どう生きるべきか、知りたい。
★翻訳本ってやっぱり難しい。
Posted by ブクログ
やっと読めた。
功利主義やリバタリアンといった社会正義の捉え方の変遷を辿りながら「正義」はどうあるべきかを考えさせられる本。
特に序盤、「あーそういう考え方もあるかー」と思った直後その反論が提示され「たしかになー、その目線が欠けてたわ」となり、また別種の反論が提示され…と自分の思考がどんどん揺り動かされるのが理解できて面白かった。
Posted by ブクログ
功利主義と平等主義、どちらも欠点があって私たちのモヤモヤを完全に解消してくれる訳ではない。
アリストテレスの唱えた善き生、道徳、政治のつながりからリベラル・保守など政治のことまでよくわかって
Posted by ブクログ
正義と正義は対立する
正義についてのミニ論文を書くことになり、中学三年の頃に読んだ本。
今でも記憶に残っているのは、暴走列車の話である。5人を救うために1人を救うという数の原理が、状況によって異なるという話だ。一方では正しい原理でも状況が違えば、間違っている。正義とは、一言では表せないと感じさせられる。文化的背景からくる正義、宗教からくる正義、全ての正義は別の正義と対立する事で悪となる。
自分の思考は「リバタリアン」に寄っている。自由である事が活発な「生」に繋がっていると考えている。一方で、先天的な理由によって不利益を被っている人には、その是正をすべきであると考えているため、やはり正義は一つだけの立場では語れないと改めて感じる。
Posted by ブクログ
"正義"とは何か。を問う本。複数の人間を救うために一人の人間を犠牲にすることは正義なのか?といったようなありがちながら刺激的な質問に始まり、最大多数の最大幸福、自由至上、仮想的な共通正義などさまざまな理論が紹介されていく。そういった過去の人たちの考察はそれぞれに特色があって面白いとは思うものの、やはりどこか無理があるなあ。と読み進めると、アリストテレスが出てきて社会道徳が強く押し出されてくる。結局最後は正義と道徳は切り離せない。というオチになって尻すぼみな感じ。そりゃそうなんでしょうが、そこの共通認識ができず、一部の人の思想を他者に強制するようなことが起こるから、いつまでたってもどこかに不満が渦巻いているんでしょうがと。まあ、共通認識を築くためにも健全な議論をしましょう。なんだろうけど、それすら危ういのが今の時代だと思うんだけどな。
Posted by ブクログ
授業の教科書として、この本と出会った。この本を通じて、多くの新しい視点を得て、あたりまえだと思っていた現代の社会制度などに疑問をもち、考えることができ、知恵がついた気がする。
Posted by ブクログ
「正義」という言葉はあまりピンと来ない。
日常的に使う言葉ではないからだ。もちろん、子供向けの特撮ものや、映画のなどには「正義」の味方がたくさん登場する。それは世界制服を企む、街を破壊するなど、はっきりとした悪が存在しているからだ。その対比として、正義の味方が存在する。悪がいなければ、正義の味方の出番はない。
改めて、「正義」という言葉を知るために辞書で引いてみると、「人の道にかなっていて正しいこと」とある。この定義であれば、ふだんの生活の中で、「正義」を選択する場面は多くあるのではないだろうか。
駐車場から出ようとしている車に道を譲るのは正義か?
電車でお年寄りを見かけ、席を譲るために声をかけるのは正義か?
あるいは、それをしないのは悪なのか?
正義とは何か。なにが正しいのか。
本書はそれらを考えていく本である。
ハリケーンのあとに便乗値上げした事例。
あなたが暴走する路面電車の運転手で、線路上に立っている5人の作業員をはねるか、それとも待避線入ってそこにいる1人の作業員をはねるのではとちらが正しいのかという思考実験。
ベンサム、ミル、カントら、哲学者たちが考えてきた基準ではどうか。
扱う題材が興味深く、哲学書でありながら堅苦しくない。本書はハーバード大学の人気講義から生まれた。人気があるのも納得の内容だ。
Posted by ブクログ
・感想
現代の正義、善についてあらゆる哲学者の理論や具体例を交えながら模索している本。
納得したり反感もったりそもそも書いてる内容が理解できなかったり。
正義なんて「人によって違う」ものだけどその「人によって違う部分」をもっと掘り下げて考えてみましょうという本。
著者がコスモポリタニズムの第一人者らしくやはり結論はそっち向きになってた。
読みながらそんなこと言われたって一般大衆(私含めて)ってあんたが思ってるより馬鹿なんだよなって気持ちになってしまった、
まぁだからこそもっと思考して考えて議論して、生きなさいと説いている。
あえて苦言を
考えさせられる、考えなくてはいけない提言がなされているのは事実ですが、
アフガニスタンの話は、この人の根幹は白人の毛唐だと感じました。
隠密行動でアフガンに侵攻した特殊部隊の人たちが羊飼いに見つかります。
羊飼いといっても10代前半の少年、殺して作戦を進行するのか、殺さずに作戦を進行するか。
実際は殺さずに進めて、多大な損害を出した上に、作戦は失敗。
羊飼いを殺すのが正か、殺さないのが正かを問うているのですが、、
羊飼いに見つかった時点で作戦失敗でしょう。
羊飼い殺す、羊の挙動がおかしくなったことに気がつかないくらい、
アフガンの方々がボンクラだとお考えで?気が付かないと考える方がおかしい。
彼らにとって、羊は大切な財産なのですから。
作戦立案者のボンクラぶりが目に浮かぶ様です。
どっかの国の再選されなかった大統領みたい。
また候補になってるみたいですね。ボンクラがまたボンクラを担ぐと、
非ボンクラの力を信じましょう。
パレスチナでも同じ様なことしていると思うと、同情、憐閔の念を禁じ得ません。
お好みで。