鬼澤忍のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
聖書にあるようなユダヤ人の歴史、反ユダヤ主義、ホロコースト、シオニズム、イスラエル建国みたいな話しが書いてあるのかなと思って、読んだ。
実際、そうしたことも書いてあるが、それは前提知識くらいで簡単にまとめてあって、メインは建国以降の歴史。
なんとなくぼんやり知っているような気になっていたことが、全く理解が足りなかったことがわかった。
そして、現代、アメリカなどで論点化するイシューもコンパクトにまとめてある。
この問題に限らず、政治問題をニュートラルに語るというのは困難なことなのだが、できるだけニュートラルに書こうという努力はよく伝わってくる。
一番、勉強になったのは、トランプ政権の時 -
Posted by ブクログ
ハーバード白熱教室のマイケル・サンデルによる能力主義社会に対する警鐘。
2016年の大統領選でトランプがヒラリー・クリントンを破って当選した。そこで明らかになったのは、富める者と貧しい者の間の断絶だった。そしてそれはアメリカが80年代から目指してきた能力主義の行き過ぎにより招かれた事態であると、かつては人種の違いや出自によって生まれた差別を解消する者として、その人の能力で人を評価しようとする能力主義は素晴らしいものに思えた。
しかし、それは能力を安易に測る手段として学歴偏重を生み、結局、社会の流動性を高めるのではなく、裕福な家庭に生まれた者が、様々な手段で高学歴を得て、そのような手段を得られな -
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ヨーロッパを中心に、迫害され続けたユダヤ人。
自己防衛のために、安全な土地が必要で、そういや、神さんにもろうた場所あったやん、あそこうちらのもんやんな、みんなで安全な国作ろうや。
そこには、すでに何世代も幸せに過ごしている人たちがいたが。
うちらのもんや、出てけ。神さんの口約束がこれや、よう見ぃ。
アホか、何いうてんねん、お前らなんぼのもんじゃ。ジジイのジジイの時代から、わしらが住んどんのじゃ。
簡単にいうとそういう話か。
ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、一柱の神は同じ筈なのに、言うてることがちゃう。何千年も前に、誰かがそう聞いたらしいで、ということが、今だに排他的な争いを生む。 -
匿名
購入済み頭の中の高速の独り言
私たちは超高速で頭の中で独り言を言っており、それに支配されているということは意識してみるとその通りだと感じた。
具体事例がたくさん書かれているが、時間がない人は最後の対処法が綺麗にサマリされているので、そこを読めば良いと思う。
私は自分に対して二人称で話しかけるということを意識したいと思う -
Posted by ブクログ
マイケル・サンデルそのものではなく、オマージュというか、マイケル教授の思想、論文を学者が講評しているような内容だ。詩的、いやまさに哲学という事だが、中国の故事に触れ、アジア的な価値観の源泉も辿るような感覚もある。
例えば、「礼」の具体的事象。通勤の途中で通り掛かる人におはようと言って微笑み、その人が同じように挨拶を返してくれれば、二人はお互いに前向きな姿勢を徐々に高め、相手を気遣うようになる。相互に親切であろうとする心構えができるであろう。儒教の理想はこのような「礼」の実践を通じて同胞への気遣いや情を養うこと。
孔子は我々が刑法を頼りに社会を管理すればトラブルを避けられるかもしれないが「恥 -
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世界には豊かな国(地域)と貧しい国(地域)があるが、それらを隔てる境界線が「包括的な政治・経済制度」か「収奪的」かの違いにある、という主張。「包括的」という言葉の意味するところは、自由主義や民主主義、多元主義といったイデオロギーを重視する政治であり、私有財産や市場経済を重視する経済制度を指す。
別に目新しくはない。日本の歴史教科書にはこの手のメッセージがすでに散りばめられている。啓蒙思想、西洋史観と言って良いかもしれない。実際に本書には「収奪的な政治・経済制度から包括的なものにうまく変革できた成功例」として明治維新が紹介されているが、深みは学校で学ぶ程度のものだった。でも本書には範囲の広さが -
Posted by ブクログ
まず、本書については一言で言うと、
『重い』(物理的にも、内容的にも)
ということに尽きる。
人類の歴史が始まって以来、人類の歴史は
持つ者と持たざる者との歴史
であると言って良いと思う。
本書をざっと読んでみて、平等を実現することがどれほど難しいということかが改めて確認できた。
農耕生活が始まる以前の
狩猟採取生活
が人類が最後に経験した平等であったのかもしれない。
本書で論じられる人類を平等化をさせる可能性のある四騎士
〇戦争
〇革命
〇崩壊
〇疫病
のうち、本当の意味である一定の社会を平等化できたのは
〇戦争→大量動員戦争である第二次世界大戦
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Posted by ブクログ
ネタバレ「金で買えないもの、買えるが買うべきでないものはどこに線引きされるべきか」
ハーバード大学名物教授による市場主義の問題提起。
・良かった点
2012年出版。世相を見るに慧眼だなーと。日本はアメリカより10年遅れる、とよく聞くけど予言書みたいな現実に「おわ~~」と呻きながら読む。「金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ」って漫画にもあったよなー。
・よくなかった点
「ファストトラック」「インセンティブ」「非市場的規範」「商業主義」・・・問題の根っこは同じなので早めにまとめに入ってほしいのですが結構堂々巡りしていて長い。あと多分「お金で買えない道徳的・市民的善というものがあるべき」という論旨なん -
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Posted by ブクログ
ネタバレなかなか難解な一冊でした。
社会経済と道徳をどう考えるかというのが本書の大きなテーマ。
その中で、第1章では「行列に割り込む」、第2章では「インセンティブ」、第3章では「いかにして市場は道徳を締め出すか」、第4章では「生と死を扱う市場」、第5章では「命名権」を例にあげ、経済学的に金銭でそれを購入することと、道徳的にそれはどうかということを論じている。
奥が深すぎる。
説明
内容紹介
国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授、
待望の最新刊登場! 現代最重要テーマに、教授はどう答えるか?
結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかと