鬼澤忍のレビュー一覧
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成功や失敗が単に個人の努力や能力だけでなく、運や環境の影響を大きく受けていることに気づかされた。私たちはしばしば、「努力すれば報われる」という信念に基づいて、成功者を称賛し、失敗者に自己責任を負わせる傾向があるが、この考え方には盲点があるというサンデルの指摘は、価値観を見直すきっかけとなった。
特に印象に残ったのは、教育や経済システムが不平等を助長し、一部の人々に有利な立場を与えているという点。社会において成功を手にするための機会が平等でないことは、実力主義の名のもとに隠されている不公平さを浮き彫りにしている。これに対して、どのように公正な社会を構築していくべきか、考えるべき課題は多いと感じた。
また、自身の生活においても、「成功は自分の努力の結果だ」という自己満足に陥っていないか、あるいは「失敗はその人自身の責任だ」と他者を過度に厳しく評価していないかを省みる機会となった。 -
Posted by ブクログ
グーグルの人事担当上級副社長が2015年に出版したグーグルでの人事制度を通じた人事の本。人事担当になったらもう一回読もう(ならないけど)。
1.仕事に意味を持たせる
2.人を信用する
3.自分より優秀な人だけを採用する
4.発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない
5.2本のテールに注目する
6.カネを使うべき時は惜しみなく使う
7.報酬は不公平に払う
8.ナッジ きっかけづくり
9.高まる期待をマネジメントする
10.楽しもう
失敗の話は考えさせられた。価値観によって動く組織のマネジメントの問題は「あなたが腕を振り回す権利は、誰かの鼻のあるところで終わる」すなわち言論の自由と他人への中傷の境目、要は「鼻はどこから始まるか」の認識が人によって違うことが問題。 食事のメニューでフリーチベットチョコ と出したらチベットは解放(フリー)されるべきだと示唆すると騒ぐ従業員が一定数いて、担当のシェフが解雇されそうになったエピソードは、最近のSNSの炎上に通じるものがある。無料の食事でミートレスの日を設けたら、無料の食事の権利を奪われたという意識の一部の社員が怒りを爆発させた。既得権を侵されたと感じたからだという。 複数の人が集まると、極端な意見を持つ人が含まれ、そういう人を含めたマネジメントをどうするかという問題に、グーグルは性善説で向かい合っているらしい。曰く、これだけ厳しい面接を潜り抜けて社員になった人に、悪い人はいない。ただ勘違いしているだけだから、データや事実を隠さずに公表して、個人の極端な意見を修正してもらおうというものらしい。人事施策(査定の方法やマネジャーの権利)もアジャイルで小さな実験を繰り返して改善して、それらを社内で全て公開しているとのこと。ちょっとグーグルで働いてみたくなったりして・・・・ -
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能力主義は差別を解決しない
"努力して得た能力によって差別を乗り越えた"
は美談ではない。美談にすると差別が温存され
る。
努力は素晴らしいが、そもそも差別がない社会を
目指すべき。
能力社会
能力/学力社会は最後の偏見であり差別。
他の差別は糾弾されるが、能力勝者は見下し、
差別を認識もしておらず、むしろ正当化されてい
る。これが見えない差別を生む。
特に高学歴が差別に敏感かつ無意識差別をする。
労働者、不細工、太ってる、低学歴なんて
努力できるはずなのに!
教育の限界
チャンスを平等にしても結果は平等でない。
欧州
努力を過小評価
欧米
努力至上主義
黙々と努力できる才能は遺伝で決まっている。 -
匿名
購入済み頭の中の高速の独り言
私たちは超高速で頭の中で独り言を言っており、それに支配されているということは意識してみるとその通りだと感じた。
具体事例がたくさん書かれているが、時間がない人は最後の対処法が綺麗にサマリされているので、そこを読めば良いと思う。
私は自分に対して二人称で話しかけるということを意識したいと思う -
Posted by ブクログ
世界には豊かな国(地域)と貧しい国(地域)があるが、それらを隔てる境界線が「包括的な政治・経済制度」か「収奪的」かの違いにある、という主張。「包括的」という言葉の意味するところは、自由主義や民主主義、多元主義といったイデオロギーを重視する政治であり、私有財産や市場経済を重視する経済制度を指す。
別に目新しくはない。日本の歴史教科書にはこの手のメッセージがすでに散りばめられている。啓蒙思想、西洋史観と言って良いかもしれない。実際に本書には「収奪的な政治・経済制度から包括的なものにうまく変革できた成功例」として明治維新が紹介されているが、その解像度は学校で学ぶ程度のものだった。でも本書には取り上げているエピソードの範囲の広さがある。世界各国の「豊かな国」「貧しい国」の紹介事例の多さだ。
少し残念なのは、各章のタイトルから「いつの時代の、どの国(地域)の、どのような統治制度」について解説してるのか?が判別つかず、また章末に「まとめ」もないので再読し辛いことだ。 -
Posted by ブクログ
まず、本書については一言で言うと、
『重い』(物理的にも、内容的にも)
ということに尽きる。
人類の歴史が始まって以来、人類の歴史は
持つ者と持たざる者との歴史
であると言って良いと思う。
本書をざっと読んでみて、平等を実現することがどれほど難しいということかが改めて確認できた。
農耕生活が始まる以前の
狩猟採取生活
が人類が最後に経験した平等であったのかもしれない。
本書で論じられる人類を平等化をさせる可能性のある四騎士
〇戦争
〇革命
〇崩壊
〇疫病
のうち、本当の意味である一定の社会を平等化できたのは
〇戦争→大量動員戦争である第二次世界大戦
〇革命→ソビエト連邦革命と中国共産党革命
だけだったのかもしれない。
〇崩壊(国の崩壊)
〇疫病(ペスト)
も多少の平等化は実現できたが、根本的な平等化とは程遠かった。
ただ、第二次世界大戦もソ連革命、中国共産党革命も圧倒的な暴力とその犠牲により成立しており、いずれも平等化されたからといって手放しで喜べるものではない。
では、今の社会で平等化は実現できるだろうか?
著者は悲観的である。
それこそ前述したような圧倒的な暴力による平等化は可能であろう。
つまり、それは核戦争などによって、
全人類が『平等』に死滅する
ということである。
この本を読んで、今までの人類の歴史では
「戦争や革命」はその固定化された社会を一旦リセットする
という役割があったということは、目からうろこが落ちる思いであった。
いずれにせよ、今の固定化された社会が平等化されるのはなんらかの大きな力が作用しなけれならないのであろう。かなり難しい問題である。 -
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ネタバレ「金で買えないもの、買えるが買うべきでないものはどこに線引きされるべきか」
ハーバード大学名物教授による市場主義の問題提起。
・良かった点
2012年出版。世相を見るに慧眼だなーと。日本はアメリカより10年遅れる、とよく聞くけど予言書みたいな現実に「おわ~~」と呻きながら読む。「金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ」って漫画にもあったよなー。
・よくなかった点
「ファストトラック」「インセンティブ」「非市場的規範」「商業主義」・・・問題の根っこは同じなので早めにまとめに入ってほしいのですが結構堂々巡りしていて長い。あと多分「お金で買えない道徳的・市民的善というものがあるべき」という論旨なんだけど、ならばそれをどうやって普及していくか、そこまでは言及していないのであくまで端緒。
総評
切り口は面白いが話が長い。
このままだと多分市場の失敗がどうしようもなくなるまで、各々が欲望のままに非市場的領域を踏み荒らして不毛の地を作るんだろうなあと。一方最近、地球規模の良心的運動・SDGsが流行りなのは激しさを増す商業主義への揺り戻しなのかなーという気も。
とりあえず個人でできることといえば「それはちょっとね・・・」という自分のラインで都度NOということくらいかなぁ。みんなやってる、そんなのやせ我慢だ、って馬鹿にされそうな流れでも、守るべき一線があればそれは最終そんなに悪い選択肢じゃなかった、と思えるようになればいいのだけどどうだろう。 -
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ネタバレなかなか難解な一冊でした。
社会経済と道徳をどう考えるかというのが本書の大きなテーマ。
その中で、第1章では「行列に割り込む」、第2章では「インセンティブ」、第3章では「いかにして市場は道徳を締め出すか」、第4章では「生と死を扱う市場」、第5章では「命名権」を例にあげ、経済学的に金銭でそれを購入することと、道徳的にそれはどうかということを論じている。
奥が深すぎる。
説明
内容紹介
国民的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授、
待望の最新刊登場! 現代最重要テーマに、教授はどう答えるか?
結局のところ市場の問題は、実はわれわれがいかにして共に生きたいかという問題なのだ。
(本文より)
私たちは、あらゆるものがカネで取引される時代に生きている。民間会社が戦争を請け負い、
臓器が売買され、公共施設の命名権がオークションにかけられる。
市場の論理に照らせば、こうした取引になんら問題はない。売り手と買い手が合意のうえで、
双方がメリットを得ているからだ。
だが、やはり何かがおかしい。
貧しい人が搾取されるという「公正さ」の問題? それもある。しかし、もっと大事な議論が欠
けているのではないだろうか?
あるものが「商品」に変わるとき、何か大事なものが失われることがある。これまで議論され
てこなかった、その「何か」こそ、実は私たちがよりよい社会を築くうえで欠かせないも
のなのでは――?
私たちの生活と密接にかかわる、「市場主義」をめぐる問題。この現代最重要テーマに、国民
的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』のサンデル教授が鋭く切りこむ、待望の最新刊。
著者について
マイケル・サンデル(Michael Sandel)
1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。1980年代のリベラル‐コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は、延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義をテレビ番組として一般公開することを決定。この番組は日本では2010年、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。同講義を著者みずから書籍化した『これからの「正義」の話をしよう』は、日本をはじめとする世界各国で大ベストセラーとなった。
訳者略歴
鬼澤 忍(おにざわ・しのぶ)
翻訳家。1963年生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了。おもな訳書にワイズマン『人類が消えた世界』、サンデル『これからの「正義」の話をしよう』『日本で「正義」の話をしよう』(以上、早川書房刊)『公共哲学』、バーンスタイン『華麗なる交易』など多数。