上野正彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書録「死体は告発する」3
著者 上野正彦
出版 角川文庫
P139より引用
“立派な哲学をもったうえで、医学を学ばなければ、道をあやま
ってしまう。
命にかかわる職業人としての、自覚が望まれる。”
長年監察医として多くの死体を見続けた著者による、それらの
死体の中から毒物による死亡例を取り上げた一冊。
架空の毒鳥・鴆(チン)についてから毒物の人体への作用の仕
方まで、豊富な経験を元に書かれています。
上記の引用は、医師による殺人について書かれた項での一文。
人の命を左右する立場にいるのですから、気持ち一つで相手の生
命を奪うことも簡単にできるのでしょう。
医師が足りないからと -
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
あまりに有名ですが、元監察医である法医学者のエッセイ。
例えば樹海で何か薬を呑んで眠るように……なんて考えても、
過剰服薬だけでは
なかなか死ねるもんじゃなくて(普通、呑み過ぎたら吐くよ)
意識朦朧としたまま凍死するとか、
あるいはフラフラの状態で縊死に漕ぎ着けるとか、
第二段階に到達しないと死は訪れない、ハズ。
で、そこを首尾よく超えたら乱歩の「虫」よろしく、
後はジワジワ腐敗という名の死神に蝕まれるワケで、
自殺に妙な美しい幻想など抱くべきではない、
死体は皆、無惨なもの――という一貫した主張には深く頷いた。
ただ、現場を捌く人の苦労や遺される者の悲しみを考えたら
自殺なんか出来ないだろう -
Posted by ブクログ
「死体は生きている」3
著者 上野正彦
出版 角川文庫
p143より引用
“一生の終わりである死が、理由もはっきりしないまま
葬られるのは、やはり心もとないことだとおもうのである。”
元監察医である著者による、
自身が担当した数多くの事例を集めた物と、
事実を基にした小説をまとめた一冊。
1996年に同社から出版された物の文庫版。
30年間勤め上げた著者の、
監察医としての経験が存分に生かされています。
上記の引用は、
行政解剖についての項の締めの一文。
解剖と聞くとどうしても、
各臓器ごとにホルマリン漬けにされてしまう様に思っていましたが、
そのような事が無いとこの本のおかげで知るこ -
Posted by ブクログ
「死体は知っている」3
著者 上野正彦
出版 角川文庫
p36より引用
“いや、目を閉じなければ見えないものもあるのかもしれない。”
法医学者である著者による、
死者とその死因にまつわるエピソードを綴った一冊。
著者の豊富な経験を元にした実例と、
まるでノンフィクションの様な短篇が収録されています。
上記の引用は、
魂の重さと題された項の締めの一文。
本当に大切な物は目に見えないとは、
星の王子様の中で使われた一言だったでしょうか?
死を科学的に分析する法医学者であったとしても、
感傷的な考えを持たざるを得ない、
理屈で分かる事の出来ない事が、
まだまだこの世には数多くあるようです。