Posted by ブクログ
2014年03月11日
監察医 上野正彦による死体にまつわるノンフィクション『死体は生きている』(’89)
本書は、ご自身の検死の体験を語った『死体は語る』(’88)の反響を受けて出版されたもので、『死体は知っている』(’94)と併せて三部作とされているようだ。
上野正彦さんの本はどれも読みやすくて面白い。『解剖学はおも...続きを読むしろい』も同様のタッチで書かれていた。
幾つか他書と重複する話もあるのだけども、描き方が違っていたりする。
本書には、事実を基にして小説化された『炎の画策』も納められているのだけども、これも検死のリアリティが全面に出ていて面白い作品になっている。
”面白い”と表現するのもいささか不謹慎な気もするのだけども、それは楽しむものとは少し違って、生命の不思議や儚さ、尊さを感じるっものであることはこの書を読めば分かると思う。
死を遠ざけるのではなく、もっとも身近にみた人だから描けるものだと思う。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
変死体を検死していくと、喋るはずのない死体が語り出す。「わたしは、本当は殺されたのだ」と。死者が、真実の言葉で生者に訴えかける!突然死や自殺か他殺か不明の変死体を扱って34年。元東京都監察医務院長が明かす衝撃のノンフィクション。
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【目次】
匿名の電話
不倫
いたずら
ためらい創
安易な対応
蹴とばされた女
理と情の間で
子供の事故
転落
誤診
証拠隠し
危険な演技
死因は戒名
ほか
あとがき
「死体は生きている」文庫化に際してのあとがき
解説(西丸興一)
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