あらすじ
「法医学者は死体の専門医だ」と自負する東京都監察医務院院長を務めた著者が、死体から社会や世相を見る。
二万体を超える死体と対面し、死体の発する声を聞く「逆の発想」で現代日本の抱える病理まで探っていく。
殺人、事故死、自殺といわゆる「外因死」と病気による「内因死」が、社会や残された者たちにどういう影響を及ぼすか。
身近な者の死は悲しみだけではなく保険金や相続の問題も引き起こし、少年犯罪や子殺しといった弱いものが犠牲になる殺人はいじめや育児放棄の結果でもある。
「死とは脳、心、肺の停止した結果で、その原因が重要なのだ」と「死体」論を結論付ける。
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Posted by ブクログ
語りかけるような調子で書かれているので大変読みやすい本でした。
行政解剖・司法解剖の詳細、検死の仕組みがわかりやすく解説してあり、必要性を痛感させられます。
著者が経験した実例を紹介していて、まさに事実は小説より奇なり、興味をかきたてられる内容です。
殺人の手口を載せた後には、必ず「こういうことをしてもプロの目はごまかせないので、真似しないように」ということが付け加えてあるので、ちょっと笑ってしまいました(笑うところではないのですが…)。
死体が時間の経過とともに変化していく様子を述べている部分で、「青鬼」「赤鬼」「黒鬼」「白鬼(白骨)」と表現しているところを見て、昔の人は実際に死体を目にすることが多かったから、昔話の「赤鬼」「青鬼」もこういうところからきているのかなぁと考えてしまいました。
タイトルが強烈なので、電車の中では、カバーをかけてどうぞ。
Posted by ブクログ
語り口が柔らか。法医学の解説書よりも読みやすくざっくりとしている。そのため情報量はやや少なめだが、死亡者が発見された場合の流れについてや監察医の制度などについては要点を押さえておりいきなり法医学の関連書籍を読むよりは判りやすいか。
Posted by ブクログ
監察医の話。
死ぬ前に病院などにかかっているとか、病気が原因で死んだことが明確であれば、警察に届けることはほぼ不要だが、それ以外は警察への届けが必要。というのは初めて知った。
死んだ後の状態(ステージ)を、色わけされた「鬼」で表すらしい。
地獄に表現される鬼は、死後のなれ果てということ?