小路幸也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本の様々な神様と、人間たちとの関りが描かれた短編集。
八百万の神(やおよろずのかみ)、八百万って数字ではなく、たくさんの、ほとんどすべての物に神がいるという意味。知れて良かった。
人の姿をして福をもたらし、そして消えてゆく神、
見える人にしか見えない神、
町に住んで皆の気持ちを良くしてくれる神。
ある章までは、そうかそれは神の仕業か、と合点がいくストリーだったが、だんだん深くなっていった。
人のいるところには必ずいる神様、人と共にある。人によって生かされている、と。神とはただ己が使命を全うするだけの存在、と。
「人は何も知らないで生まれ落ちる。だからこそ、無限の可能性を秘めている。何もかも -
Posted by ブクログ
9歳で母を亡くし、17年間男手ひとつで育てられた一人娘の、「会ってほしい人がいる」という父に向けた一言から始まる感動的な家族の物語です。
自分の娘を信じ尊重する父親なのですが、愛娘のことでオロオロと悩み心配する様子、娘も父や婚約相手へする心遣いなど、人の感情の機微が上手に描かれています。
ドタバタ劇ではなく、父娘ともに実直な性格・行動なのが、物語に奥行きを与えている気がします。
父親と娘交互の視点で物語は綴られ、ふとしたきっかけで出てくる不安材料が、大きく物語の中心に置かれます。
人に対する噂や一面をどう捉えればよいのか、憶測だけでの判断はダメだと分かっていながら疑心暗鬼になり…と、 -
Posted by ブクログ
家族の形・在り方を丁寧に描き、優しさに包まれるような小説です。
物語はいきなり両親の離婚から始まりますが、爽やかで温かく、優しいパステルカラーの風景画を観終わったような読後感でした。
12歳と9歳の姉弟と両親の視点でそれぞれ描かれ、短く平易な文章でとても読みやすく、(子ども視点の部分は日記でも読んでいるような)内容的にも若い世代の方、思春期の子どもさんをお持ちの親御さんにもおすすめです。
登場人物同士の関係性の良好さ、大人との会話から生き方を学ぶ子どもたち、子どもと共に成長する親、などが大きな魅力になっていると思います。
特に父親の、真摯に子どもに向き合い、決め付け等による教えでなく -
Posted by ブクログ
シリーズ第三弾。
堀田家の家系図も、頭の中でどうにか整理できるようになってきました。
義理人情に厚い堀田家は、昔から本当に賑やかな家だったようです。
すずみと亜美の両方に、同じ日に女の子が生まれていたり、藍子とマードックさんがイギリスから帰って来たり、家族がどんどん増えていきます。
我が家の経済事情を心配する紺は、どんな秘策を打ち出すのでしょうか。
私は、この物語に毎回登場する朝の食卓のシーンが大好きです。
食事のメニューと、にぎやかな家族の会話。
この場面にくると、ほんとうに心が和みます。
大家族というものに何処かしら憧れを持っているのかもしれません。
笑いあり涙ありで、何か問題が起こっ -
Posted by ブクログ
神様と人とのつながりを描いた短編集。
短編ごとに話がつながっていて、あーここで!こういうことだったんど!と小説の面白さを感じることができた一冊。
読み終わった時は心が少し暖かくなった。
悲しいことも苦しいことも、たくさん人生には降りかかってくる。でも、同じくらいに幸せもたくさん人生にはある。あまりにもささやかすぎて、あたりまえすぎて気づかないけど、何より不幸は心に突き刺るが、本当の幸せは寄り添うように訪れる。
私たちは生きているだけで、苦しいことがたくさんある。そして、幸せよりも不幸の方がずっこ心に巣食う。嫌だな、辛いな、しんどいな、、。大きな幸せなんかでなく、毎日を生きていられること