石田衣良のレビュー一覧
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秋葉原、オタク、AI(人工知能)、略奪と奪還がキーワードの石田衣良さんの冒険活劇です。
今でこそAKB等のアキバ発のPOPカルチャーが広く活躍していますが、2002年当時に秋葉原という電脳街を舞台にこんな面白い話を書いていたのですね。
一見どこにでもいそうなオタク達がネットのコミュニティーを通じてチームを結成、HPの目玉として作ったコンテンツ・ツールが世界のネット社会の常識を根底から変えてしまう様な大成功をおさめ…
とここまで書くと順風満帆の様に思えますが、その過程でIT社会を牛耳ろうとする強大な敵が登場し、手痛いダメージを受け反撃ののろしを上げる…といった物語です。
登場する悪役が、まんまホ -
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IMGP(池袋ウエストゲートパーク)シリーズ最新作です。
2008年代からの短編とあって、かなり現代社会の問題点を追求した作品になっていました。
美しくなりたいという女性心理につけ込む真の手『キャッチャー・オン・ザ・目白通り』
池袋界隈のホームレスたちを脅かすモノ『家なき者のパレード』
新手の「出会い系」で惚れた彼女を救うには。『出会い系サンタクロース』
中国から日本来る研修生たちの哀しい物語『ドラゴン・ティアーズ-龍涙-』
詳しいストーリーはもうすでに、hi2515さんが書かれていますので、ここではふれませんが、全体的にかなり深刻な社会問題が現実的に描かれており、「真島誠」の活躍に胸がす -
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最近、ベンチャービジネスという言葉に引かれて、本を買うことが多くなってきている。
最近はまっている、石田衣良。
この人は基本的にデジタルトレンド系の作家なのだろう。
今回は、秋葉原に集うオタクたちが、Web上の人生相談サイトの管理人に導かれ、会社を結成。それぞれの特技を生かして、画期的な検索エンジンの開発を始める。
ところが、中込(孫正義をモチーフにした)率いる、デジタルキャピタル(通称デジキャピ)の陰謀により画期的な発明を奪われる。
オタクたちは、意を決して悪の秘密結社であるデジキャピと戦うという、まさにマンガの世界を描いた作品である。
全体の雰囲気はデジタルトレンド名な世界は以 -
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2001年9月11日に起きた同時多発テロに触発されて、書かれたというこの小説もまた、テロの材料はインフルエンザだった。
今年の豚インフルエンザ騒動、昨今の鳥インフルエンザ騒動がこれだけ顕在化する前に、200年後の恐怖の根源をインフルエンザとした、著者の先見の明、想像力の豊かさに脱帽するばかりである。
久しぶりに読んだSF小説は、空想の世界だとわかっていながら、次第に引き込まれていき、混雑する電車の中が、未来空間に変わり、会社についても200年後の世界から戻ってこれない、そんな話となっている。
石田 衣良といえば、トレンディーでおしゃれな都会派の作家というイメージがあったが、ここでは新宿と -
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石田衣良さんの代表作池袋ウエストゲートパークシリーズ第VI弾。
ウエストゲートパークとは聞こえがいいのですが訳せば「西口公園」。
英語名にしただけで、なんだか冴えない印象の池袋西口が、グーンとスタイリッシュで近代的なイベント広場に思えるから不思議です。このあたりやはり作者のセンスの良さだなと思います。
主人公は「池袋西口公園」でたむろする果物屋の息子、真島 誠(マコト)。
影では“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれ、池袋のでおこるトラブルを解決しています。ウエストゲートパーク近辺でおこる、ドラッグ話や売春・幼児誘拐事件・少女監禁事件など、日常生活の裏に潜む悪が現実味を帯びて書かれているので